2017.11.28

【R&D beans】第10回 サシランチ企画「ファッションを数式化する」

こんにちは! DSOCの大木です。

先日、東京国立博物館で開催されていた「運慶展」に行きました。学生時代に同美術館でアルバイトをしていたのですが、その頃に開催されていた仏像展を見て以来、わりと仏像好きなのです。制咜迦童子(せいたかどうじ )のお顔に加工されたネームはんこをお土産に購入したので、署名の代わりに積極的に社内で使っていきたいと思います!

では、今回もサシランチ始まるよ!

今回のゲスト

ゲスト:DSOC R&Dグループ 西田貴紀(にっし)
入社歴:5カ月
エニアグラム:タイプ5「知識を得て観察する人」、タイプ3「成功を追い求める人」
ストレングスファインダー:学習欲、個別化、分析思考、最上思考、着想
大木CHECK:隣の席である、わたしのチェアを最近荷物置きに使っている

お店:freehand AOYAMA
ごはん:海南チキンライス(西田) 、ガパオライス(大木)


 

大 木 :にっしにはブログを書いてもらっているから、サシランチで何を話してもらうか迷うね。最近、何かトピックスはありますか?

西 田 :この指輪を買いました。下北の古着屋で。

大 木 :見せて。あ、思ったより軽い。手を洗うとき指輪は外す?

西 田 :外さないです。水に濡れても大丈夫なやつしか買わない。

大 木 :これも平気なの?

西 田 :店員さんに3回くらい平気か聞きました(笑)。シルバーじゃないからそもそもさびないらしい。真鍮(しんちゅう)でもなさそうだし、ステンレスなのかな。

大 木 :軽いし軟らかいね。

西 田 :それは、内側のところが布で、全部が金属じゃないんで。

大 木 :そういうことか。

西 田 :デザインが特殊すぎて、この間は会議中にいきなり「西田、その指どうしたの?」って言われて会議を中断されたことがありました(笑)。

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視線独占! 会議中断必須の指輪はこちら!

大 木 :業務ではどんなことをしているんですか?

西 田 :言えないことも多いんですが、共同研究周りのこととか。最近は人事部とも絡んでいて、ライトなことで言うと、Sansan社員のストレングスファインダーの結果についてクラスタリングとかやりました。

大 木 :具体的にはどういうことですか?

西 田 :上位5つの資質がどのくらい似ているかとか、強み自体で一緒に現れやすいものなどでのクラスタリングです。例えば、「社交性」と「コミュニケーション」と「活発性」は同じ人に重なって出やすかったりします。三橋さん(人事部のコーチ)のコーチングなどで使ってもらえると思います。

大 木 :なるほど。

西 田 :後は業務ではないんですが、100BANCHの関連で「Computational Creativity 〜新しいクリエイティビティの探求〜」っていうイベントがちょっと前にありました。

大 木 :そうなんだ。どんなことやったんですか?

西 田 :人間と機械が協働して新しいクリエイティビティーを生み出せないか? というのテーマで話をしました。僕らの主張としては「本当のコンピューターはまだできていない」ということなんです。

大 木 :僕らというのは?

西 田 :石川善樹先生が率いるチームです。100年先の100個のプロジェクトを考える、というのが100BANCHなんですが、じゃあこれまでの100年で一番の発明って何かと考えた時に、コンピューターだろうと。コンピューターって、comが「共に」、puteはラテン語が語源で「考える」「判断する」という意味なんです。では今、人間と機械が一緒になって考えられているかというとまだ実現していないんじゃないかと。

大 木 :へー!

西 田 :人間は複雑なものを捉えるのがうまいですけど、一方で機械は多くのデータに対して単純な処理をすることが得意です。そのお互いの強みを掛け合わせた形には、まだなってないんじゃないかと思ったんです。

大 木 :まだ最大値が引き出せてない、進化の途中だということですね。

西 田 :そうです。そこがクリアできた時に、本当のクリエイティビティー、つまり、これまでにない新しいものを生み出すことができるんじゃないかというのが主張ですね。そこを起点として、「食」と「ファッション」にスポットを当てて、発表しました。

大 木 :どんな研究なんですか?

西 田 :「食」の方は、すでにフードペアリング理論というのがあるんですが、簡単にいうと、風味化合物といって、食べ物にはそれぞれ香りがあるんですけど、その食べ物同士の香りが似ていると美味しいと感じるという理論です。実際に西洋では香りが近い組み合わせが美味しいと認識されやすいんですが、東洋ではそうでもないことが分かっているので、東洋で好まれる組み合わせを探すこととか、フードペアリング理論にのっとった上で、これまでに発見されていない組み合わせを研究しています。外国人としては、最年少でフランス・ミシュランの星を獲得された松嶋啓介シェフに僕らのアルゴリズムで提案した新しい料理を作ってもらって、実際に食べてみるというイベントを何度かやったりしました。

大 木 :どんな料理が出たんですか?

西 田 :例えば、生ハムイチゴです。生ハムメロンに変わる組み合わせを科学的に探した結果、生ハムイチゴだったんです。

大 木 :イチゴかぁ。生ハム大根もいけそうじゃない? カラスミ大根もあるし。

西 田 :うーん、理論的にはフルーツが合うらしいです。イベントでは、生ハムグレープフルーツや生ハムミカンも提供して、評判が良かったのは生ハムミカンでした。あとは、コーヒーとビールを一緒に飲むっていうのもありました。コーヒー1とビール4を混ぜて飲むと地ビールっぽい感じになるんです。

大 木 :それは何となくイメージがつきますね。

西 田 :僕は、お酒は得意じゃないですけど、飲みやすかったです。

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今回のランチはこんな感じでした! お代わりできるドリンクと大きなボウルに入ったサラダも付きます。

大 木 :にっしは登壇したの?

西 田 :しましたよ。記事も上がっています。講演を見ていた企業から登壇依頼ももらいました。

大 木 :すごいね。どんな話をしたの?

西 田 :「食」にはフードペアリング理論がありますけど、「ファッション」には同じような理論がまだないんです。「食」の「おいしい」に値するものは「ファッション」だと「オシャレ」や「かっこよさ」になるんですけど、それをどう定義していくかという話をしました。

大 木 :なるほど。それってある程度普遍的じゃないとダメなんですよね?

西 田 :ダメですね。ただ、ファッションって好みのスタイルが違うと、同じものに対する価値観が違うじゃないですか。だから、一律とか絶対的とかいうアウトプットにはしたくないなと思っていて。それぞれのアイデンティティー(価値観)によってかっこよさが違うっていうことを前提において、研究を始めています。具体的には、スタイルのクラスタを作るところから始めて、そのクラスタの中で判定するという感じです。ここが僕の力を入れたい部分です。クラスタができれば、その後は配色とかシルエットとかになるんですが、そこは理論がすでにあると思うので、それを掛け合わせて可視化できるよう点数を付けようと思っています。そこに、さらにノベルティーというか目新しさのあるアイテムを合わせることで加点しようと思っています。そこで「はずし」とか「抜け感」を見れるんじゃないかと思うので。

大 木 :なるほど。じゃあ、例えばだけど、現在トラッドと言われるコーディネートがあるとして、それがそのままかっこいい、目新しい時代があったわけじゃないですか。でも、それを今やったら「はずし」になったりする。そういうことが起こると、普遍ではなく変化していってしまうことになると思うんだけど。

西 田 :そうですね。それは「データとして相対的なものとして捉える」という方法でやろうかなと思っています。そうなったら、そこは回避できたりしないですか?

大 木 :あーごめん。すんなり入ってこなくて一瞬で判断できない。

西 田 :つまり、昔はそのスタイルがあったけれど、今はそのスタイルがほとんど使われてない、となったときは、過去には一般的だったそのスタイルで、今となっては逆に自己のオリジナリティーを主張でき「目新しさ」があるので、オシャレと定義していいと思うんです。

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大 木 :なるほど。トレンドという目線が含まれることで解決できるんですね。「オリジナリティー」とか「目新しさ」ってワードが出てきましたけど、奇抜であればあるほど点数が高くなってしまったりしないの?

西 田 :「奇抜さ」だけだと、点数を低くしようと思っています。他の要素とかみ合ってバランスが取れていることで、初めて点数が高くなる仕組みです。下駄を履いて、アフリカの民族衣装を着て、シャツ合わせるとか、そういう奇抜なだけの組み合わせではスタイルとして良くないと判断する感じです。

大 木 :その「スタイルとして良くないという判断」はどうやってやるんですか?

西 田 :それはまだ仕組み化できてないんですが、IラインなのかVラインなのかというシルエットや配色が理論にのっとっている上で、それでも目新しいんだとしたら、それはファッションとして成立しているのかなと思います。

大 木 :それは「シルエット」とか「配色」とかが、すでに出尽くしているという前提ってこと?

西 田 :新しいスタイルを見つけられるかもしれないことが、数式化することの意味かなと思いますね。既存の理論にそぐわないけれど、かっこいいものが出てきたら、理論をアップデートできる。つまり、「例外にこそ本質がある」と考えます。例外を説明することができれば、より理解を深められる。

大 木 :その「かっこいい」ということを判断する必要が出てくると思うんだけど、それはどうやったら可能になるのかな?

西 田 :そこには人間の判断が必要になってきますね。

大 木 :どういう人が判断するんだろう? 「かっこいい」の基準には、個人差がありそうだよね。

西 田 :そこでクラスタが効いてくるんですよ。同じクラスタの人が「かっこいい」と判断すれば「アリ」ということになります。

大 木 :そうなると、仲間内での判断になって、普遍性とは離れてしまわない?

西 田 :あるファッションをどのクラスタの人が見ているかっていうことです。Aのクラスタの人から見ると点数が高くても、Bのクラスタの人から見ると低いとか。それによって、自分がどのクラスタだと一番かっこいいのかっていうことが分かる。つまり、自分のアイデンティティーが見えるんじゃないかと考えています。

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大 木 :服が好きな人ってたくさんいますよね。その中で、本当のファッション愛好者ってなると、そのパイってかなり減るんじゃないかと思うんです。今の話って、対象が主に20〜30代くらいの上級者に絞られそうだなって。ターゲットが狭くて、ちょっともったいない気もします。例えばですけど、骨格って、人種や国によって結構特徴が分かれるじゃないですか。その骨格に対してアプローチしていったら、対象が「世界」になり得るなって思ったんですけど。

西 田 :ああ。

大 木 :ジャストアイデアで恐縮ですけど、そういうものがあれば、日本のブランドが海外進出する時に使えるんじゃないかと。

西 田 :各都市の店舗ごとにカスタマイズするんですね。

大 木 :そう! 同じ商品でも、その都市の人たちがかっこよく着こなせるフォルムに細かく調整して店舗に並べられるようになったら、ブランド側も購買者側も嬉しいんじゃないかな。

西 田 :そういうアプローチもありだと思いますね。服をどう着たらおしゃれになるのかという本が、特に女性向けに多く出版されていますよね。書店でファッション誌の横に並んでいたりするので、たまに見てみると、組み合わせのルールなどが書いてあったりします。あれって、体型とか骨格とかによっても変わってくると思うので、そういうデータが取れれば、組み込むのは面白いと思います。

大 木 :この服が好きなんだけど着てみるとなんか似合わない、ということとかありますよね。それでもいいから着るって選択肢もあるとは思うんですけど、自分の骨格や体型に似合う服装を知っていれば、服を選ぶときに便利ですよね。もしかしたら体つきによって相性のいいスタイル、さっきの言葉で言えば、クラスタがあるかもしれないし。

西 田 :まさにそこをどうしようかなと思っていて。確かに体つきによって似合う・似合わないってあるんですけど、僕としては「ブランドが服に込めた思いへの共感」とか「着る人がどうありたいか」っていうことを重視したいんです。今の話でいうと、提案されたものを試して気に入ればそれでいいし、気に入らなければデータの分析を無視して自分のスタイルを貫いてほしい。

大 木 :それだと、やっぱり対象は服がものすごく好き、という人になるんだろうね。

西 田 :それは、そうかもしれないですね。全ての人に興味を持たれるものではないと思ってはいます。でも、基準としてあったらいいなと思います。

大 木 :その人が備えているもの(骨格など)を最も生かす服の形、みたいなものは知れるといいなと思います。よく似た形でも、胸元の空き具合が少し違うだけで、大きく変わることとかあるので。アイテムごとに自分に似合うベースの形を知っているだけで、服を選ぶのがもっと楽しくなるような気がします。

西 田 :それも、どっちが先かっていう問題がありますね。

大 木 :というと?

西 田 :つまり、服が好きで、似合う・似合わないが分かる目があるからこそ、そこまで行けるのかなっていう。

大 木 :あぁ。

西 田 :むしろ、そのレベルで似合う・似合わないで服を試しているってことは相当ファッション楽しんでいるんで、そういう人には必要ないかもしれません。笑

大 木 :なるほどー。

西 田 :体型に合う・合わないから、ファッションを選んでいく人もいれば、デザインから見ていく人もいますよね。

大 木 :うん。個人に落とすと難しいよね。好みや趣向の問題になっちゃうから。だから、さっき言ったみたいに国とか都市っていう単位を出してみたんだけど。自分じゃなくて、平均値っていう形で見えると、受け入れやすいし、データとしての汎用性が増すかなって。まぁ、にっしはそこを目的にしているわけではないと思うんだけど。

西 田 :そうですね。「個人として」というのが欲求ではあるんです。ファッションって、自己表現だと思っているので、今は服に対してそういう思いを持っていない人にも、そこに気付いてほしいなっていうのが、僕の希望です。

大 木 :志があるんだね。

西 田 :ファッションの企画やってmimi(本ブログ)に記事を載せたいです。

大 木 :それいいね! 社内の人に協力してもらって、クラスタリングして、服やスタイルを提案するとか。

西 田 :データ集めたりするのに3年くらいかかりそうですけど(笑)。

今回のまとめ

よく着ている服:ヨウジヤマモト
属性:巨人ファンのファッショニスタ
こぼれ話:最近Kaggleで一瞬だけ「世界10位の男」になった


 

今回はにっしらしく、ほとんどファッションのお話でした。最後に話していますが、Sansanのメンバーに協力してもらって何かアウトプットを作れればいいなと思います! おたのしみに!

text: DSOC 大木由香