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「経営情報学会2018年 春季全国研究発表大会」で発表してきました

こんにちは。DSOC R&Dグループ研究員の真鍋です。

この度、経営情報学会2018年春季全国研究発表大会におきまして、DSOCの名刺データ活用研究について発表をさせていただきました。

経営情報学会は、1992 年から始まった経営情報に関する研究報告をする学会です。社会科学系・工学系、企業・アカデミックのバックグランドを持つさまざまな研究者が、経営と情報科学を結び付けるという目的の下で混在しながら交流・発表をしており、多様な場であることが特徴の一つです。毎年、春と秋にそれぞれ一回ずつ、全国各地で研究発表大会が行われています。

今回、春季の全国研究発表大会は、筑波大学東京キャンパスで開催されたのですが、実は、私はこの東京キャンパスで開講されている社会人大学院の博士課程後期の学生なのです。ご指導頂いている先生がお声掛けをくださり、査読を経て発表させていただくことになりました。

発表の演題はこちら

私は、日々、 DSOCで広くは人脈とビジネスの関係性、より具体的には名刺データと会社間取引の関係を分析し、何かしら営業戦略に有効な知見が得られないかと研究を行っております。今回は、その研究の中で見えてきた「営業プロセスで入手した名刺の構成と営業成績や取引規模の関係性」についての発表を行いました。それに加えて、ネットワーク分類による会社分類の新手法についても提案しました。

今回の発表のうち、名刺から見える営業戦略分析に関する要旨は以下のようになります。

  • 受注件数の多い営業パーソンは、一つの企業に多くの接点を持ち、また複数企業間ではバランス良くタッチポイントを築いていた。
  • 営業パーソン間で共有名刺が多い時期ほど、個々人の受注件数は下がる。すなわちパフォーマンスが低下することが分かった。
  • 取引案件規模の大きさと、最初に名刺交換をした人の役職クラスや、最も高い役職クラスの間には有意な関係が見られた。また、役職と部署の異なり数が多いほど、案件規模は大きくなる傾向にあった。

質疑や発表を経て、営業戦略上、「誰とどのようなパスで出会うべきか」または「人脈から契約の規模を推定できるか」などのような目指すべき諸問題については、まだまだ解決すべき点があるものの、このような分析結果やツールに対する興味や需要の高さをうかがうことができました。より一層の成果を目指して、これからも研究を進めていこうと思います。

本大会では、いくつかの発表を聴講しましたが、刺激に富む内容が多くて勉強になりました。

同じ企業事例セッションの中では、アナリティクスラボ様の特許文書分析の新手法についての発表が興味深く、単語レベルの分解では全体的な意味が把握できないところをトピッククラスに変換することで見通しを良くして分析結果を示す方法は、大変参考になりました。

また、ドワンゴ人工知能研究所の山川様の講演では、Advanced Chessの事例を用いて AIと人をうまく組み合わせることが最もパフォーマンスを発揮するということをおっしゃっておられましたが、「まさにそうなのだろう」と思いました。その意味では、AI の特性と人の特性を熟知して、その組み合わせを最適化できるようなマネジメント人材が、今後は求められていくのだろうと思います。

東京工業大学の飯島淳一先生の「企業活動の骨格を可視化するモデリング方法論」のチュートリアルにも参加しました。企業の活動を行為者(actor)とactionの次元に分解して記号として表現する方法は、まさに我々の目指している分析に使える手法なのではないかと思いました。

企業活動は、人のコミュニケーションを基軸とした「調整」の世界なのだと思います。名刺交換の履歴をマイニングすることで、その調整の世界がどのように浮き彫りになっていくのか、試行錯誤を繰り返し、これからもこのような発表の場にどんどんぶつけていきたいと考えています。

なお、今回の発表内容につきまして、DSOC R&Dグループの同僚である前嶋直樹と、DSOCのインターン生だった吉田将大の協力をいただきました。ありがとうございました。

執筆者プロフィール

text: DSOC R&Dグループ 真鍋友則