こんにちは、人事部のびんです。さて、恒例の社内制度紹介です!
今回は、先日発表したばかり! 出来たてほやほやの社内制度「MOM(マム)」を紹介します。
本制度は、社員が「保活」の状況に左右されずに職場へ復帰し、活躍してもらえる環境を整えるために設置されました。
正式名称は「Measures Of Maternity」。この名称には、産休・育休を取得した女性社員の職場復帰を支援したい、という気持ちが込められています。
2017年時点での社員の平均年齢は、約30歳。ここ数年で社員数は3倍に増え、「出産」というライフイベントを迎える女性社員の人数も自然と増えてきました。
いくら社員数が増えたといっても、一人一人が「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」というSansanが掲げるミッションの達成を目指すために必要な大切なメンバーです。
それは、産休を経て育休に入った社員も同じ。それぞれが会社にとって重要な役割を担っていることは変わりません。そんな大切なメンバーの一部が「保育園が見つからない」という理由によって、本人の希望に反して復帰が先延ばしになってしまっていました。
そういった状況に直面した社員を見て、Sansanは「産休・育休を取得した社員の早期職場復帰を後押しすることは事業の成長につながる」と考え、「MOM」の設置を決めました。
MOMの制度内容と4つの支援
- 保育園料全額補助
認可/認可外にかかわらず、子どもが満3歳を迎える月までの保育園料を全額補助(上限15万円まで)
- タクシー費用の補助
保育園が通勤ルートから外れた場所にある場合、自宅〜保育園〜最寄り駅間の移動にかかるタクシー費用を月額4万円まで補助
- 入園予約金の補助
認可外保育園への入園申し込みにかかる予約金を総額10万円まで補助
- 保活コンシェルジュの利用補助
子どもの預け先が決定するまでの期間、外部サービスの保活コンシェルジュ(保活代行サービス)を利用した場合にかかる費用を補助(費用は会社負担)
ここで、人事部社内制度チームの責任者・我妻小夜子に「MOM」設置の目的などを聞きました。
−「MOM」という制度を設置しようと思ったきっかけは何ですか?
事業成長とともに増加する社員数に比例して、ここ数年で産休・育休を取得して一時的に会社を離れるメンバーの人数も増えてきました。
産休・育休に入る社員とはいえ、会社にとって貴重な戦力であることは変わりません。会社としては、一時的に仕事から離れたそんなメンバーたちに対して、早期に復帰を果たし、また仕事で活躍してもらいたいという思いがありました。
そんな中で壁になったのが、待機児童問題でした。
会社と同様に、知識もキャリアもある社員自身も早い復帰を望んでいたにもかかわらず、子どもの預け先が見つからないという理由で仕事に復帰できない。それは、本人にとっても、人事担当者としても、非常に歯がゆい思いをする状況でした。そういった状況を経験したことから、会社として何かサポートできることはないかと制度設計に向けて動き出したのが始まりです。
−「認可/認可外に関係なく全額補助」というのはとても思い切ったように思いましたが、そこにはどんな狙いがあったのですか?
数年前から保育園料の一部を会社が負担する制度は存在していましたが、その制度は「6万円を超える保育園料について上限3万円まで補助する」というもので全額補助はしていませんでした。
しかし、Sansanにはさらなるベビーラッシュが訪れ、その内容を考え直す機会が改めてあった際に、代表の寺田から「全額補助はどうか」と意見がありました。その他にも、社内に託児所を作る、どこかの保育園と提携するといったさまざまな案を検討しましたが、「保育園料を全額補助する」という発想はシンプルで、この状況において大きな後押しになるかもしれないと感じました。
保育園料は月数万円から月10万円以上となることもあり、認可、認可外などを問わずに探すと、預ける施設によって大きく異なります。そのため、首都圏近郊に在住する社員が多い当社では、産後1年以内に認可保育園に子どもを預けられたケースはほとんどありませんでした。
保育園の選び方については、ご家庭それぞれの方針があることが大前提ですが、費用面に着目した際に、もし自宅の近所に月数万円の認可保育園と月10万円以上という高額な保育料がかかる認可外保育園があったとしたら、そのときに高額な認可外保育園を選択することは非常に難しいと思います。
もし費用面がハードルとなって、預け先が限定されてしまい、それによって待機期間が延びて復職が遅れてしまうのなら、そこを会社がサポートすることで費用面の問題と復職が遅れてしまう状況を解決すれば、それは本人にとっても会社にとってもハッピーだよね、と話がまとまりました。
早期に復帰したいと思ってくれるメンバーを何とか後押ししたい。そして、メンバーの早期復帰を会社の事業成長につなげたい。それがこの施策に込めた思いです。
−育休中の社員からの反応はどうですか?
反応は非常に良かったです。
私にはまだ子どもがいませんし、このMOMという制度を設計するに当たっては出産経験者の声が必要でした。そんなときに自分ごととして積極的に制度設計に対してアドバイスをくれたのは、社内のママさん達でした。どんなサポートがあると復帰しやすいか、そして復帰したいと思えるか、送り迎えのハードな実情なども聞いて、それらを参考にしながら検討した集大成がこの4つの施策です。
そういった経緯で設計したこともあり、形骸的なものでなく、実際に使えるものとして制度化できたと思っています。
この制度の設置をした際に、「私たちの事を考えてくれてありがとう」という言葉をいただいたことがあり、「やった! 伝わった!」と感激したことを覚えています。MOMによって、復帰を控えているメンバーが一日も早く会社に帰ってきてくれるのが楽しみです。
実は私、びんの妻はSansanの社員でして、現在育休中です。
人事部の一人として、MOMの制度設計に関係する立場である一方で、MOMは自分の家庭にも関係する内容だったので、自分ごととして捉えて臨んだとても思い入れがある制度です。
実際に妻が復帰することを考えると、子どもを預けられる時間の制約なども含めて、費用面だけでなく、さまざまな障壁があると思っています。正直、保活にはそれなりのお金もかかりますし、それら全ての障壁を乗り越えるのは簡単なことではないと実感しています。
正直なところ、費用面が原因で保活の選択肢が狭まってしまうのはもったいないなとも感じていました。夫婦で妻の復帰のことを話していて悩んでいたときに、MOMが設置されたことで、今後の選択肢は確実に増えたと感じています。
産休・育休を取得した社員の早期復帰を後押しすること、そして復帰後も高い生産性を保ちながら社員が仕事にコミットできる環境をこれからも整えていきたいと考えています!
interview & text: 人事部 伊東敏(びん) photo: 馬場健太