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チームパフォーマンスを最大化する社内制度「コーチャチーム」

こんにちは。最近、ブログ冒頭のつぶやき的なこの一言書いてなかったな、とつぶやいている人事部のびんです。

今回は、社内制度の1つである「コーチャチーム」を紹介します。

以前、個人を対象とした社内制度である「コーチャ」を紹介しました。コーチャチームは、対象が個人ではなくチームになりますが、同様にパフォーマンスを最大化させるためにコーチングを実施する制度となり、内容は共通しています。

なぜコーチャチームを実施したのか、何を行ってどんな成果が得られたのかなど、コーチャチームを実施したSansan事業部営業部に属する1つのグループ(以下、「Mグループ」)でマネジメントを担当する社員に話を聞いてみました。

プロフィール

コーチャチーム実施者
柳田栄一
Sansan事業部営業部シニアマネジャー
コーチ
三橋新
人事部
2009年12月にSansan株式会社入社。6つの部署を経て、2016年9月より人事部に配属。2015年1月、認定資格「CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)」取得(日本での取得者は約600人)。コーチング経験は約100名(累計1000時間以上)。「2016-2017 株式会社ウエイクアップ・アワード」で大賞を受賞(認定資格教育機関による表彰)。

インタビュー時の様子。写真左から、びん、三橋、柳田。

正直、最初はコーチングそのものに懐疑的だった

では、本日はよろしくお願いします。

柳田:よろしくお願いします。

三橋:よろしくお願いします。

柳田さん、私が新卒入社時に最初に配属された営業部時代には大変お世話になりました。こうして柳田さんにインタビューするのは何だか新鮮です。

柳田:やっと僕の番ですか。待ってましたよ(笑)。

早速ですが、柳田さんの経歴や今の役割、所属するチームについて改めて教えていただけますか?

柳田: Sansanに入社して5年経つのですが、それ以前は人材系の会社に6年半、医薬品卸の会社に1年半在籍し、ずっと営業畑で働いています。Sansanで営業を担当している5年間で、ベンチャー企業から中小企業から大企業まで、さまざまな業界・規模の企業を担当してきました。入社3年目からは、営業部に属する小規模なグループをマネジメントし始め、現在は201名~1000名規模の企業を担当するMグループと社内で呼ばれているグループのリーダーを務めています。

これまで営業部には、いろいろな変遷がありましたよね。Mグループは、いつ発足したんですか?

柳田:今の組織構成になったのは、2017年の6月。まだ発足して1年も経っていないグループなんです。これまでに培ってきた営業部としてのノウハウや提案の軸となるものは変わりませんが、新たなグループということもあって、Mグループの発足当時は本当に真っさらな状態でした。

Mグループ発足当時からコーチャチームを利用していたと聞きました。コーチャチームを受けてみようと思ったきっかけは、何だったんですか?

柳田:きっかけは、Mグループ発足前にさかのぼるんです。現在の組織構成が出来上がる前から、営業部はいくつかのグループに分かれていましたのですが、あるときに各グループのリーダー陣でコーチャチームを行ったんです。当時は、正直なところ、コーチングそのものには懐疑的だったんですよ。何というか、お悩み相談のようなイメージがあって、仕事の内容を話しても上辺だけになるんじゃないかなと。

三橋:そうだよね。よく持っている人がいるよ、そのイメージ(笑)。

柳田:何だかすみません(笑)。話を戻すと、そのグループリーダー陣で行ったコーチャチームを実施した後に、コーチングに対する自分の概念が変わりました。そのときのコーチャチームには、入社当時から同じ営業担当者として切磋琢磨していた、Aさんという社員も参加していました。当時、Aさんとは、互いの主張をぶつけあっていたこともあり、摩擦が生じていたと思いますし、表面的な会話しか交わしていなかったと思います。でも、コーチャチームを行ったときに、かなり深い会話をすることができました。Sansanで同じリーダーという立場で働く者としての姿勢や考え、成果との向き合い方、そもそも持っていた価値観など、Aさんと話した内容は多岐にわたりました。そのとき、僕とAさんの間には、気が付けていなかっただけで共通した考えがあることが分かったんです。もちろん、仕事のスタイルをはじめとした細かい点を挙げれば違いはありますが、根底にある価値観や仕事上のポリシーについて話したときは、共通した考えがあることが分かり、意気投合することも多かったように思います。

コーチャチームを通して、Aさんと意気投合したことがきっかけということですか?

柳田:そうですね。もちろんそれだけではないですが、そのときに改めてチームや周囲との関わり方について考えさせられました。チームを受け持つ責任者として、周囲とのコミュニケーションやチーム全体で成果に向き合うためには、自分はどうしたらいいのかと考えました。そんなときに、コーチャチームをやってみようと思ったんです。

コーチャチームは、いつごろから実施しようと思っていたんですか?

柳田:グループが発足する前からやろうと決めていました。それは、メンバーもまだ確定していないような状況の時です。

メンバーが決まっていない時点から、コーチャチームをやろうと決めていた理由はありましたか? 他の手段も考えましたか?

柳田:オフサイトミーティングや営業のロープレ大会の実施も考えました。グループが置かれているフェーズや状況によっては、いずれもとても有効な手段だと思います。しかし、まだグループができあがっていないような状況ですから「互いを知る」という、実に基本的なところにこそ、まずは時間をかけるべきと考えました。どんなメンバーが配属されるとしても、メンバーを理解していないと、成果を最大化することにつながりません。だからこそ、メンバーが誰であろうとも、グループが発足した直後にコーチャチームを実施したいと、三橋さんにあらかじめ相談していました。

コーチャチームを実施した、きっかけについて語る柳田。

互いの遠慮を無くして、チームとしての在り方を共有したかった

Mグループとして行ったコーチャチームでは、どんなことをしたんですか?

柳田:「互いを知る」というテーマを設定して、入社直後の心境と現在の心境をそれぞれ絵に書くということをやりました。全然難しいことではなかったです。その絵で何が分かるかというと、入社直後から現状に至るまでの意識や気持ちの変化です。もう少しドライに言ってしまうと、「理想と現実のギャップ」ですかね。できていること、できていないこと、個々が感じているモヤモヤをそれぞれ理解することで、リーダーとしてどういう接し方をしたらいいのか、ヒントを得られました。

例えば、どんなことですか?

柳田:そうですね、例えばBさんは褒めて伸びるタイプだから「ポジティブに接して欲しい」、Cさんは「良し悪しをストレートに言ってもらった方がやりやすい」と思っていることが分かりました。でも、それだけなら他の方法でも知ることができますよね。「そうしてほしい」って本人が言えばいいだけなので。でも、そういったことに加えて、今回のコーチャチームでは、なぜBさんやCさんがそう思うのか、そう思うようになったきっかけは何だったのか、という考えの背景までをも深く知ることができました。それを知れたことで、その後のコミュニケーションにおいて、スピーディかつ正確に伝えたいことを伝えることができるようになったと思います。

コーチャチームを受けて、チームに何か変化はありましたか?

柳田:ただ単に「数字を達成しよう!」と目標を掲げるだけではなく、チームとしてどう在りたいか、チームの理想像はどんなものなのか、ということをメンバー間で共有できたことは大きかったと思います。コーチャチームでは、本当に立場をフラットな状態にして会話をするので、メンバーからどんどん意見が出てきます。それぞれのメンバーは、考えていることを吐き出しました。そんな言葉で作られたチームの理想像を共有することで、チームとしてのまとまりがグっと強くなったと思います。

定性的な面での成果については理解しました。では、定量的な面ではどんな成果が得られましたか?

柳田:今期における上期の成果としては、期末前に最後の1週間を残して、チームとして設定した目標数値を達成することができました。実は、コーチャチームを行ったときに、目標を期末ギリギリに達成するのではなく、最終日を待たずして軽やかに達成したい、と考えていることを共有していたんです。

三橋:当時のグループ内では「レッドカーペッドを優雅に歩くように」という表現で共有していたね(笑)。

柳田:そうです! そうです! 数値目標を達成することはもちろんですが、どのように達成するのか、というもう一段階高いところでも理想を実現できたんです。チームの理想とする在り方について、コーチャチームを通してあらかじめ共有できていたことが、今回の成果につながったのだろうと思っています。

コーチャチームの実施時に、柳田のチームが実際に作ったものの一部。メンバーが持つ強み(特性)を特徴別に分類することで、チーム全体の強みを把握した。

自分がいなくても、成果を出せるチームを目指して

コーチャチームを行うことで目指す、柳田さんの目標ってありますか?

柳田:究極的には僕がいなくても、チームの在り方が共通言語としてあることで、メンバーが、それぞれで課題を解決して達成に向かっていけるようになることです。僕がいないと物事が進まないというのは、スピードが命のビジネスにおいて致命的ですし、何よりメンバーたちが育ちませんので。

今後はコーチャチームという社内制度をどのように活用したいですか?

柳田:状況やメンバーも変わっていますから、コーチャチームを行うこと自体が目的とならないように気を付けたいと思います。ただ、行ったことに対する効果は自身の体験を通して実感していますし、今回は営業数字にもそれが表れたので、新たなメンバーを迎え入れたときなど、ここぞいうときにこそ、上手に活用していきたいです。

コーチからのコメント

コーチングを行う立場からは、どう見えていましたか?

三橋:チームビルティングには、タックマンモデルというチームビルティングにおける発達段階の理論があります。集団が形成されてから成果を出せる状態になるまでには、5つの発達段階がある、という考え方です。
柳田さんのグループは、発足当初、1段階目の「Forming(形成期)」という状態でしたが、コーチャチームを行い、チームの在り方を全メンバーで作り上げたことで、3段階目の「Norming(規範期)」に到達しました。そして、日常業務に戻ってチームが「Performing(機能期)」に達したことによって、成果を出すことができたと整理できます。

今回はグループ発足直後にこの制度を利用したチームについての話を聞きましたが、すでに稼働している組織であってもコーチャチームを行うケースもあるんでしょうか?

三橋:もちろんあります。社内では、約3年ですでに70回以上のコーチャチームを実施しています。今回のように発足後すぐに実施したケースと、課題が抱えた組織がその解決策として実施するケースは、半々くらいです。互いを知るということ、そして理想の状態をトップダウンで伝えられるのではなく、チーム内のメンバーが対話して創ることはどんなフェーズにおいても大切なことです。
チームとして上げる成果を最大化させることは、ひいては会社にとって事業成長を底上げすることにつながります。今後もコーチャチームが、その手段の1つとして活用してもらえたら嬉しいですね。

柳田が参加してきたコーチャチームの歴史を振り返りながら話す、三橋。

インタビュー後記

コーチャチームは、3年間で70回も行われている制度です。社内でもかなり利用が浸透しつつあると感じています。

実施して終わりにするのではなく、そこで得たものを実業務に生かすこと、組織に変化があったときに繰り返し行うことで、安定して成果を出すことができる組織形成にコーチャチームは貢献しているのだと感じました。

interview & text: 人事部 伊東敏(びん)