再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

Members
2019/06/20

こんにちは、ブランドコミュニケーション部の高橋です。

「出会い」を深く研究しているメディア「BNL」。これは名刺アプリ「Eight」を通じてビジネスパーソンに届けるSansan株式会社のメディアです。今回はその編集長の丸山のキャリアと、これまでとこれからのBNLについて聞きました。

プロフィール

丸山裕貴
Eight事業部 コンテンツストラジスト/BNL編集長

1986年生まれ。大学卒業後、メディアジーン「ギズモード・ジャパン」編集部を経て、2012年よりコンデナスト・ジャパン『WIRED』編集部に所属。その後、16年3月よりSansanに転職し、8月より新メディア「BNL」を立ち上げ、編集長を務める。


メンバーの思いを聞くうちに
自分のやるべきことが見えてきた

Sansanに入社するまでの経歴について教えてください。

大学を卒業後、企業のWebサイトやオウンドメディアの制作と運用を行う企業で働いていました。その会社の業務とは別に、『WIRED』日本版のライターとしても仕事をいただけるようになり、半年ほど記事を寄稿していました。

その縁から、編集者として、その雑誌を発行している出版社に転職しました。1社目は1年、2社目は4年いて、3社目がSansanです。

4年間在籍していた2社目から、転職を考えたのはなぜですか?

当時、海外の経営者をインタビューすることが度々あったのですが、「この人の下で働いてみたい」と思わされるような魅力的な方が多くて、そんな会社が日本にもあったら働いてみたいと思ったからです。

タイミングよくSansanがコンテンツ作りに携われる人を募集していて、これはいい機会だなと思いました。

Sansanに入社後はどんな仕事からスタートしたのですか?

個人向け名刺アプリ「Eight」の事業部に配属され、マーケティングから始めました。アプリのダウンロード広告を運用したり、マーケティングキャンペーンを訴求するLPをつくったり、新機能に関するプレスリリースを書いたり。それから、アプリに新機能が追加されたときに、それをどうユーザーに伝えるかといったEight全体のコンテンツストラテジーの領域まで徐々にカバーしていくようになりました。

これまでの仕事と大きく変わったのはどんなところですか?

今までは第三者の立場から伝える仕事だったので、理想を語ることが多かったんです。特に前職はサンフランシスコ発の雑誌で、時代の一歩二歩先の情報を伝える編集方針でした。雑に言えば「海外はこれほど進んでいて、未来はこういう方向に向かっているのに、日本はまだまだ遅れている」といったメッセージが多かったんです。

でも、実際に会社の中へ入ると「こうしたほうがいい」ということはわかっていても、リソースや優先順位、コストなど、ビジネスの現場では課題がたくさんあるんですよね。それでもみんな、理想を追い求めて頑張っている。会社の中にいるからこそわかるそうした思いを、もっと社外の人にも届けたいという気持ちが強くなりました。


いろいろな業界で
活躍している人の視点で伝える理由

DSC05437 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

「BNL」をつくることになった経緯を教えてください。

まず、「BNL」の前身の話なのですが、もともと社内に「Eightブログ」というものがあって、広報担当が、Eightの新機能の説明やメディア掲載情報などを発信していました。そこで自分が何か記事を書けば、ほぼノーコストでコンテンツが作成できることに気づきました。

さらに、Eightを立ち上げた時に表示される画面で、全ユーザーに対してコンテンツを運営側から投稿できる機能があったので、それを使って記事を配信してみようと考えました。その時すでにユーザー数は100万人を超えていましたので。

100万人へ一斉にコンテンツを共有できるメディアって、なかなかないですよね。

そうなんです。記事を公開できる場所があって、それを多くの人に拡散できる機能もある。コストもほとんどかからない。それならまずはやってみようと思って始めました。

Eightには「Your Business Network」というタグラインがあるのですが、当時は私自身、その言葉に込められた可能性をまだ理解しきれていないと感じていました。だから、まずはその可能性とはいったい何なのか、メディアを通して探求してみようという思いで、メディアを「Business Network Lab」と名づけたのです。

最初に始めたのが、Eightユーザーの中でも特に目立ってご活躍されている方のインタビューです。浜田敬子さん(現「BUSINESS INSIDER JAPAN」統括編集長)が雑誌『AERA』の編集長を務められていた頃からEightをご利用いただいていて、ご縁があったので、まずインタビューをお願いしてみました。

DSC05407 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

Eightブログは、社内のメディア掲載情報などを発信していたとのことですが、社外の人にインタビューしたのはどういう目的があったんですか?

もちろん「Your Business Network」というコンセプトについてEightの事業部長をインタビューすることもできましたが、それだと運営側からメッセージを押し付けている印象になってしまいます。

それより、今、いろいろな業界でご活躍されているユーザーの方に、人とのつながりを仕事に生かしていくことの可能性について、その人なりの視点で話していただくほうが、ユーザーには届きやすいのではないかと考えました。

「Business Network Lab」が「BNL」になったきっかけは何ですか?

しばらくは、Eightブログのロゴを「Business Network Lab」の仮のロゴに差し替えて運営していたんですが、半年くらいたって社内でも記事が評価されてきて、もっと本格的なメディアの形にしていこうという話になったんです。それで、デザインをいちから考えて、フルリニューアルしました。

「Business Network Lab」という名前は長すぎるので、社内ではみんな「BNL」と呼んでいたんです。いろいろと検討した結果、リニューアルに合わせてメディアの名前も変更しました。


一番大切にしているのは
「BNL」にしか書けない切り口や表現

DSC05430 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

現在、どのような体制で「BNL」をつくっているのですか?

今は、社内に自分を含めて編集が2名。そして、外部のライターが3名くらいです。

記事は丸山さんが書かれているものも多いですよね。編集長が書くことって珍しい気もしますが、そこにこだわりはあるのでしょうか。

編集者が書くというのは前職の雑誌のカルチャーとしてありました。もちろん、自分よりうまく書ける人にお願いすることも多いですが、新特集の立ち上げとか、「BNL」の編集方針に深く関わるような記事は、自分で書くことにこだわっています。

いろいろな特集がある中、お茶の特集は意外だと思いました。

ビジネスメディアって写真がつまらなくなる傾向があるんです。基本的に会議室で取材するので、人の顔しか撮るものがないし、しかも責任のあるポジションの人を取材すると、おじさんの顔ばかりが並ぶメディアになってしまいます。

そこで、出会いをテーマにしたメディアなので、その出会いの場にある物として日本茶に着目しました。特集自体はもう終わっていますが、今でも来客があると、急須でこだわりのシングルオリジンの日本茶を淹れています。

DSC05529 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

「BNL」を通して読者に伝えたいことって何ですか?

最初の2年くらいは、先ほどからお話ししている通り、ビジネスネットワークの価値というものを、インタビューを通して探求するというスタンスだったのですが、2年も取材を続けていると、だいたい傾向が見えてきました。

そこで、この探求を深く掘り下げるのは一旦区切りをつけて、もう少し幅を広げてみようと考えています。

キーワードは「再発見」です。名刺って、それ自体はずっと昔からありますよね。でもEightは新しい。数年間でEightがこれだけ世の中に普及したからこそ、あらためて名刺や出会いの可能性について考える機会ができたわけです。そして、そこには再発見がありました。今後は、出会いや名刺に限らず、テーマの幅を広げて、さまざまな分野で再発見を探っていきたいと考えています。

記事をつくるうえで大切にしていることは何ですか?

一番大切にしているのは、「BNL」にしか書けない切り口や表現をすることです。うちのインタビュー記事って、けっこう長いんです。じっくり最後まで読もうと思ったら5分以上はかかります。日本では長い記事を扱うウェブメディアってあまりないですが、BNLでは3分以上の平均滞在時間を記録しているので、意外とみなさん読んでいただけるんです。

もちろん、読みにくかったり、冗長な原稿は読まれないので、そこは書き手の力量が問われるわけですが、長くないと伝えられない話だってあるわけでして。

特に「再発見」にたどり着くために、インタビューでは深い本質的な問いを投げかけていくので、なかなか短い記事ではその内容を伝えきれないのです。

これまでの記事で印象に残ったものはありますか?

出会いについて探求していく中で、その核心に触れることができたと思えた時があって、それが関西大学文学部の教授で哲学者の木岡伸夫先生のインタビューです。

たまたま何かいい本はないかと、近所の本屋でぶらぶらしていたら、木岡先生の『邂逅の論理 〈縁〉の結ぶ世界へ』(春秋社)という本が目に入って、手にとってみたんです。

序文を立ち読みして衝撃を受けました。哲学の歴史の中で、「出会い」というテーマを研究した哲学者はこれまで世界で一人もいなかったと書いてあったからです。

さまざまな人と人の出会いの中から人類は発展してきた。そんな大事なこと、「人間とは?」ということを研究している学問なら、すでに研究しつくされているはずだと思い込んでいました。でも、そうではなかったことに驚きました。

木岡先生はインタビューの中で、日本人だからこそ世界に提示できる哲学があるのではないかと仰っていました。出会いって世界共通のものですが、それを改めて本当に大事だと思ったり、その可能性について深く考えたりしている人たちって、ほぼ日本人しかいないわけです。だからこそ、日本に独特な名刺の文化が生まれて、Sansanという会社ができて、そこで働きたいという人がたくさん集まってきているのではないか。そのように考えるようになりました。


良いコンテンツを届けることが
企業の成長の一環になる

DSC05355 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

「BNL」は最近リニューアルしましたね。どう変わったのですか?

以前は週に2本くらいだったのですが、今は毎日1本配信しています。

Eightを立ち上げると毎回何か新しい記事があるという状態にしていきたいと思っていて、読み応えのあるインタビュー記事も今までのように続けていきながら、仕事中のすきま時間にも読めるような記事も制作しています。

例えば英会話の連載記事では、ネイティブも用いるような気の利いた表現を紹介しています。あとは相手やシチュエーションに合わせて、お薦めの「手みやげ」を紹介する企画も始めています。

今までインタビューした方は、すごく斬新なことをしているというよりは、ちょっとした人間関係のやり取りに人一倍気を配っている方が多かったんです。SNSでメンションされたら必ずコメントを返すとか、気の利いた手みやげを持って行くとか。頑張れば誰にでもできることだけれど、実際はなかなかできていなかったりする。だからこそ、やっていると差がつくわけです。

これまではインタビューを通して、その人の思考を深く掘り下げる記事が中心だったのですが、そうした日々の実践に役立つような情報であれば、短い記事でも十分伝えられることがわかりました。

今後のビジョンを教えてください。

大まかな編集方針としては、先ほどからお話ししている「再発見」というものを、いろいろな分野にまたがりながら、人間関係の構築のヒントになるようなコンテンツを増やしていくことです。

メディア自体の収益化も進めています。うれしいことに最近、企業からの問い合わせが増えています。ビジネスタイムにじっくり読んでもらえる質の高い記事をEightユーザーに配信できるので、他のメディアとはまた異なる価値を提供できると考えています。

DSC05416 2880px - 再発見でビジネスが変わる。メディアとしての「BNL」のこれから

インタビュー後記

Sansanの成長を後押しするために、BNLにしかできないコンテンツづくりを追求している丸山。スタートから2年が経ち、媒体自体がもつネットワークが広がる中で、「再発見」というキーワードで進化していくBNL。一人の読者として、同じSansanのメンバーとして、今後がとても楽しみです。

interview & text: 明道聡子 photo: ブランドコミュニケーション部 高橋淳

Pick Up