世界は変えられる
代表取締役社長/CEO/CPO
寺田 親弘
世界は変えられる。私たちはそう信じています。
なぜそう考えているのか。Sansanがどんな未来を信じ、どんな人と一緒に働きたいのか。CEOの寺田が語ります。
「世界は変えられる」と捉えて動く
「世界を変える」という言葉は、当社が創業以来、ずっと向き合ってきた言葉です。「世界」とまで大げさではなくても、「未来を変える」「世の中の当たり前を変える」「社会を動かす」───そんな野心的な世界観を持ち続けながら、これまでやってきました。
なぜ、世界を変えたいのか。それは世界を変えられると思って行動しているからです。
逆にもし「世界が変えられない」のだとしたら、それは何を意味するのでしょうか。それは、運命がすでに決まっていることと等しい、ということです。
世の中の流れは、自分とは関係ないところで決まっている。何をしても、どうあがいても変わらない───そんな世界はつまらないと思います。
マザー・テレサが言った有名な言葉があります。
「思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから」
日々の思考がやがて運命になっていくと説いています。私たちも、世界に対して「無限の可能性に満ちている」という思考で向き合う。「世界は変えられるかどうか」を問うのではなく、世界は変えられるものなんだと、自分の人生に主体的になり、情熱と行動で変えていく。そうやって日々向き合うことの先にしか、世界は変わらないんだと思います。
Sansanは、そんな「世界を変えよう」と動き続ける人々の集まりであってほしいと思いますし、今現在そうであるとも思います。風を待つのではなく、風を起こす側の人々が日々「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションの実現に向き合っている。それ自体が、Sansanが世界を変えていけると信じている所以です。
Sansanは世界を変えてきたか。
手ごたえと物足りなさ
では、私たちSansanはこれまで世界を変えてきたのか。これを私は常に自問自答しています。
ある角度から見れば、私たちは「世界を全然変えられていない」と言えます。例えば「グローバルマーケット」という視点で捉えれば、まだまだちっぽけな会社でしかない。世界どころか、日本国内でさえまだまだだという物足りなさを感じ、それは自分を奮い立たせる原動力になっています。
一方で、違う角度から見れば、「世界を変えてきた」とも自負しています。私たちがいたからこそ生まれたイノベーションが確実にあるからです。
かつて私が商社で働いていた時は、名刺の管理や共有は本当に面倒なものでした。出先の先輩から「机の上に、XXさんの名刺があるから、電話番号を教えて」という電話がかかってきて、それを探して電話口で伝える。自分の業務は中断され、効率が落ちてしまう。そんなことがよくありました。
しかし、今営業DXサービス「Sansan」を使っている企業では、そんなシーンは起こり得ません。スマートフォンの「Sansan」アプリには、同僚が交換した何万枚もの名刺が共有されていて検索ができる。さらに、企業に関するさまざまな情報もそこから確認できる。私たちの顧客の中には、20代の若手社員で、紙の名刺を探したことがない人もいます。
日々「Sansan」やインボイス管理サービス「Bill One」を使っている企業にとって、そこに「Sansan」や「Bill One」がなければ、生まれなかった出会いやビジネスの可能性がある。それによって、さまざまな変化が起こっていく。私たちの「世界を変える」チャレンジがなければ存在しなかったものですから、非連続の変化、つまり世界を変えたことだと考えています。規模はまだまだ小さく、満足のいくものではないですが、それでも世界を変えています。
当社がその先に目指すのは「ビジネスインフラになる」ことです。インフラとは、電気、ガス、水道のように、なくてはならないもの。それがもし止まればとても困るもの。ビジネスにおいてそのような存在になりたいと考えています。
現在のAIのように、世界を変えるイノベーションは、はじめは驚きとともに便利さを感じさせます。しかし、それがインフラになる過程では、存在が当たり前になっている。動いていないと不便に感じるようになる。この過程こそが、イノベーションがインフラになるということです。
私たちのサービスも、現在一部の分野においてインフラ的に利用されていますが、まだまだ限定的で深度も浅い。より広く、より深く、ビジネスパーソンにとってのインフラとして、存在感を発揮していきたいと考えています。
そのスケールで考えれば、今はまだ序章。そんな風に世界を捉えることで、世界を変えていけると信じる集団であり続けたいです。
薄皮を一枚一枚積み重ねることの先にしかイノベーションはない
当社は、ミッションやビジョンという、目指している北極星に対して、確固たるまなざしを持っている会社です。誰もが遠くにある北極星を見据えている。しかし、その一方で日々できることは足元にしかありません。
どんなに大きな山でも、一歩一歩登っていくことでしか頂上には行けません。これまで、私たちは目の前のやるべきことをやり、薄皮を一枚一枚積み重ねるように、価値を紡いできました。
創業当初は、私自身、スキャナーを担いで、オンライン会議もない時代に一日8件の商談をし、ユーザーの名刺スキャンを代行して回りました。立場に関係なく、目の前のやらなければならないことをやり通す。どちらに進んでいいのかわからないときも、疲れ切ってまぶたが重たくなるときも、半歩でも、10センチでもいいから前に進むことを繰り返してきた。それが今、会社のカルチャーになっています。
ただ一歩一歩、地道に進めばいいと言いたいわけではありません。その中でも、私たちは毎回違う挑戦をしなければなりません。一夜にして世の中を変えようと意気込みながら、ものすごいスピードで走れないか、空を飛べないか、ワープできないかと貪欲に試行錯誤しています。
どんなに一歩を大きくしようとしても限界があるのは事実です。それでも、最大限できることを一日一秒積み重ねる。そうしてようやく前に進んでいけるのだと信じています。
よく、外部の方が「Sansanはどこそこで一気にブレイクした。あそこが成長の起点だ」などと言うことがありますが、私にはそのような特効薬があったとは思いません。あくまでも一歩一歩の積み重ねでしかない。逆に言えば、その「一歩」の力は半端なものじゃない。
北極星に対するまなざしの強さと、一歩を踏み出すことへのコミット。これは当社が誇れる特徴だと思っています。
成果によってこれからの自分をつくっていける人と出会いたい
共に世界を変える挑戦をしていきたいと考える人物像の一つは、「成果」を求め続けられる人です。今、これを読んでいる皆さんは、学生という立場にある方が多いでしょう。学生時代は、インプットした結果を「試験」で測りますが、社会人になるとアウトカム、つまり「成果」でしか測れません。そこには試験も偏差値もありません。
何かを学んでも、それは成果でしか証明できない。社会に出ると「うまくいかなかったけど、頑張ったね」ではなく、ただ「うまくいかなかった」という事実が残るのみです。むしろ、成果を上げるために必要なインプットをしていくという順番になります。
会社が社員に提供できることとして常々思っているのは、「成果を求めること」です。成果を強く求めることが、その人の成長の機会につながると考えています。
Sansanを志望する人の多くが、「世界を変えたい」「何か成し遂げたい」という想いを抱いています。しかし、日々の仕事はそんなに華やかなことばかりではありません。「どうして毎日こんなに細かい仕事や調整ばかりしているんだろう」と苦しくなることも多々あります。私自身がそうだったように。
しかし実際には、成果はそういった積み上げの日々からしか生まれません。さまざまな葛藤はあると思いますが、それを引き受けてみてください。成果を求められる環境を引き受け、成果に愚直に向き合って、そこに自分の成長機会を見出す。そんなマインドセットを持てる人を求めたい。一緒に働きたいと思います。
その根底にあるのが「グロースマインドセット」です。「グロースマインドセット」とは、「変化を恐れず挑戦し続けるマインドセット」のこと。そこには失敗という概念はなく、たとえうまくいかなくても、それを成功に向けた一つのトライアルと捉えます。Sansanの社員はそのようなマインドセットを持っています。
社会に出る際には、「自分の力を証明したい」という気持ちが必ずあると思います。これまでの自分を証明するため、何かを成し遂げたいと考えるでしょう。しかし、これはある意味、「グロースマインドセット」と対極にある「フィックストマインドセット」になっています。
今、この文章を読んでいる学生の皆さん、そして20数年前の自分自身に言いたいことは、「あなたにはまだ、何もない」ということ。これから自分を作っていく。その成長こそが自分自身の証明であり、その成長こそが自分なのだと思えることが大事です。
「あの人は幼少期から天才だから成功したんだ」という物語を人は好みますが、私はそれをあまり信用していません。なぜなら、これからの人生こそが、今の自分をつくっているからです。Sansanをつくってからの十数年間で現在の自分があり、未来の自分も今からつくっていくものだと考えています。
世界は変えられると信じ、グロースマインドセットを持つ人が集まれば、Sansanがビジネスインフラになる未来は加速します。
そんな人との出会いを楽しみにしています。