グローバルテックカンパニーを目指して、技術の力でSansanをリードする
取締役/執行役員/CIO/CISO/DPO/技術本部 本部長/Eight事業部 事業部長
塩見 賢治
技術本部 Sansan Engineering Unit 部長
笹川 裕人
2023年入社
技術本部 Sansan Engineering Unit 部長として、営業DXサービス「Sansan」のプロダクト開発に携わる笹川裕人。彼は「Sansan」関連の業務だけではなく、技術本部の組織横断で人材開発・育成の活動に携わるなど、企業全体のエンジニアリングの底上げにも取り組んでいます。その笹川に過去のキャリアやSansanの魅力、今後のビジョンなどを聞きました。
まずSansan入社前のキャリアから話すと、大学院ではコンピュータサイエンスの博士号を取得しました。専門は正規表現照合のアルゴリズム。今でも、関連するアルゴリズムの話題を調べたり、友人の研究者やエンジニアと議論したりして楽しんでいます。
学位取得後は、新卒でリクルートに入社しました。配属されたのはデータ基盤を構築・運用する部署で、データを分析したり、各サービスに提供するレコメンド機能を改善してABテストを実施したりしていました。
2年目には、オンプレミスのHadoopで構成されていたシステム基盤を、クラウド環境にマイグレーションするプロジェクトのリーダーを担当しました。このプロジェクトでは技術検証や実装だけではなく、コストの見積もりやスケジュール管理、経営陣への説明といった技術以外の業務も経験できて、たくさんの学びがありました。
それまで、「エンジニアはエンジニアリングさえ一生懸命やっていればプロジェクトが前に進む」と思っていたんです。でも、当然ながらそんなことはありません。エンジニア以外のステークホルダーとも連携を取らなければなりませんし、「相手がどんな価値観を持っていて、何を重視して仕事をしているのか」ということを考えて接する必要があります。
そうした経験を積んだ後に、2社目はエムスリー株式会社で働きました。現在はSansanのVPoE/VPoPを務める西場正浩が私の少し前にエムスリーへ入社していて、彼と一緒にAIチームを立ち上げました。私はそのチームでAI以外の技術領域、たとえばインフラやアプリケーション開発、データ基盤の構築などを担いました。
特にタフだったのは、アメリカやフランスなどのグローバル案件の開発です。地理的な制約や時差などの大変さがあったうえに、働き方も商習慣も文化も違う人たちと足並みをそろえてプロジェクトを進めることは苦労が大きかったです。また、ヨーロッパは個人情報関連の法律が厳しいため、機能開発の制約もたくさんありました。
「仕事の報酬は仕事」という感じで、エムスリーでは成果を上げると、さらに難易度の高い仕事が舞い込んできました。タフなプロジェクトも多かったですが、なんとか毎年の目標をすべて達成して、その過程で成長できたように思います。
就職先を考えるときに常に大切にしているのは、データを自前で持っている会社であることです。何らかのノウハウやロジックだけを提供するサービスは、大企業などの潤沢なリソースを持った他社に模倣されるリスクが常にあります。しかしSansanは人と人とのつながりや、人のキャリア、企業同士のやりとりといったデータをお預かりしており、他社と差別化できています。
また、ビジネスモデルの独自性も魅力的でした。世の中には「それまで人間がやっていた仕事をシステム化しただけ」というサービスも存在します。ですが、Sansanが取り組んでいる事業は既存のビジネスの延長線上ではなく、Sansanが生み出してきた新しい概念です。さらに、採用選考中の面談などで、高度な技術的チャレンジをしていることや、優秀なエンジニアがたくさんいるとわかったことも、入社の決め手でした。
入社後も、「優秀なエンジニアが多い」という印象は変わりません。営業DXサービス「Sansan」は時代の変化やニーズに合わせて大きく進化しているプロダクトのため、システムは相当に多機能ですしシステムの構成も複雑です。格納されているデータの量も膨大であるため、既存機能を破綻させないように設計を行い、まともなパフォーマンスでシステムを動かすのは相当難しいんです。
Sansanの開発・運用に携わるエンジニアは、この難易度の高い仕事と向き合う過程で技術が磨かれます。特にこの会社のエンジニアの特徴だと思うのは、若手からベテランまでみなデータベースやSQLに非常に詳しいことです。Sansanというガラパゴス島の中で、独自の進化を遂げてきた生物のようだなと思いました。
私はデータベース関連の知識をある程度持っているつもりでしたが、みんなと一緒に仕事をしていると「まだまだ自分は知識が不足しているな」と痛感します。たとえば少し前に名刺ダウンロード機能の開発を行っていたところ、「○○がパフォーマンスのボトルネックになる可能性があります」とか「こういった解決策を取るとよいです」といったアドバイスをたくさんもらえました。こうした瞬間は、技術的に成長できている実感を覚えます。
Sansanのパフォーマンスを向上させるために、一般的なIT企業では絶対に目にしないような設計や運用方法をとっている部分もあります。そうしたアイデアを思いついて実行してきたエンジニアもすごいですし、改善案についてエンジニア同士が議論する機会が多いことも、この会社の特徴だと感じます。
現在(取材時点)、Sansanに入社してから半年ほどが経ちました。前職で培ったスキルが活きている点として、私が「なんでもやるエンジニアであること」が挙げられます。前職では、1チームあたり5名前後で構成されていました。チームの構成メンバー一人ひとりがなんでもやることを求められたため、インフラやバックエンド、フロントエンド、データ基盤、QAなど幅広い知識が身に付きました。また、たくさんのプロジェクトを推進した経験から、ロールが違う人の間に立ってコミュニケーションすることも得意です。
そうしたスキルがSansanの業務にも活きています。入社してから日が浅いため、事業のドメイン知識はまだまだキャッチアップの必要がありますが、各エンジニアの得意領域の間に落ちているような課題は、拾って対応できていると思います。
また、Sansanの開発組織全体を良くしていくための取り組みとして、私は全社的な設計レビューを担当しています。これは、プロダクトに何らかの変更が加わる際、実装に入る前に簡易的なドキュメントを書いてもらい、それを私ともう一人のエンジニアでレビューするというものです。
設計の不備や漏れをチェックできるといったレビューの一般的な効果はもちろん、やりとりの中でメンバーへの知識の移譲や多様な視点を持ってもらうこと、さらに第三者に向けたドキュメンテーションスキルの向上などを狙っています。私が技術本部の組織横断で人材開発・育成の活動に携わっていることにも通じますが、Sansanの開発組織全体における技術的なノウハウの共有や人と人との関わりを作っていくことを重要視しています。
Sansanの掲げているバリューズには「強みを活かし、結集する」というものがあります。これは私の個人的な考えですが、一緒に働く仲間には自分よりも強い何かのスキルを持っていてほしいんです。異なる強みを持つメンバーが集まることで、強いひとつの組織になっていくと思っています。
さらにSansanを良くするための課題として、プロダクト間の連携を強化することが挙げられます。Sansanはいまなお進化を続ける営業DXサービス「Sansan」や名刺アプリ「Eight」の他に、成長著しいインボイス管理サービス「Bill One」や契約データベース「Contract One」など、複数のプロダクトを展開しています。そして各プロダクトは独立性が高い状態で開発されています。
今後、Sansanの事業をより成長させるためには、プロダクト間の連携を実現していくことが重要になります。エンジニアにとって、これからのSansanは非常に面白いフェーズです。事業や技術と向き合うことが好きなエンジニアに、ぜひ仲間に加わってほしいです。
Sansanとの出会いや入社を決めたきっかけ、入社前のキャリアなど、多様なメンバーの声はこちらから読むことができます。