
自前のデータを活かし、高度な技術的チャレンジでプロダクト連携に挑む
技術本部 Sansan Engineering Unit 部長
笹川 裕人
取締役/執行役員/CIO/CISO/DPO/技術本部 本部長/Eight事業部 事業部長
塩見 賢治
Sansanの創業メンバーであり、現在は技術本部の本部長を務める塩見賢治にインタビュー。設立から2年半の間、着実に成長を続けてきた技術本部。その設立のきっかけや技術本部で働く醍醐味、今後向き合うべき課題のほか、海外への事業展開をめざすSansanが、今どんな技術者を求めているかなどを聞きました。
技術本部は、2年半前に設立された部署です。当時のSansanは事業部制を採用しており、SansanやEightなど、それぞれの事業部内に技術部門を置いてプロダクトを推進していました。この体制にはひとつのプロダクトに注力できるというメリットがある一方で、技術部門の横のつながりが希薄になったり、採用が一括で行えなかったりというデメリットもありました。そこで、会社の組織体制が事業部制からマルチプロダクト体制※へと変わるタイミングで、エンジニアと研究・開発職をひとつの組織に集めることになりました。これが、技術本部が設立されたきっかけです。
設立当初は、ビジネス側の組織と技術者の組織を分けることで、技術者のプロダクト推進に対するコミット力が下がってしまうのではないかという懸念もありました。しかし、結果的には、部署全体で育成計画や評価の仕組みを整理することができ、技術力や開発力が定性的にも定量的にも上がったんです。さらに、設立から1年後にVI(Visual Identity)をつくったことで、部署としての一体感やメンバーの所属意識がよりいっそう強くなりました。現在のSansanは再び事業部制に戻りましたが、技術本部は軌道に乗りはじめたこともあり、体制を変えずに継続しています。
現在、技術本部にはエンジニア・研究開発職を中心に500名ほどのメンバーが所属しています。メンバーのバックグラウンドは本当にさまざまです。エンジニア職でいうと、SaaSの企業で活躍していた人をはじめ、SIerで大規模なシステム開発に関わっていた人、リサーチャーからエンジニアへ転身した人などが在籍しています。また、研究・開発職には、大手の電機メーカーや自動車メーカー、企業の研究機関で働いていた人など、BtoBサービスではない業界から来た人も多いです。
技術本部で働く魅力は「成長できること」です。なぜなら、Sansanのプロダクトそのものが今まさに成長中だからです。一口に成長中といっても、プロダクトごとに抱えている課題が違いますし、求められるスキルも違う。技術的な難問に直面することも日常茶飯事です。そういった状況の一つひとつに対応することが技術者としての成長につながっていく。つまり、会社の成長と自分の成長を重ねられる環境であるということです。また、技術本部全体にも、事業の成長スピードに追いつくために変化を恐れず挑戦を続けていこうというコンセンサスがある。プロダクトと組織の両方が成長を続ける環境なので、個人が成長するチャンスも大いにあります。
また、「データがある」というのも技術本部ならではの特徴です。もともとSansanは名刺などのアナログ情報をデータ化する技術を培ってきた会社ですから、日本国内のデータが集まっているんです。もちろん、そのデータの取り扱いは非常に難しいですが、工夫次第でそこにさまざまな価値を生み出すことができます。大量のデータを活用して、いかに唯一無二のプロダクトをつくっていくか。それが私たち技術本部のメンバーが日々向き合っていることでもあり、やりがいを感じていることでもある。誰かがつくったシステムではなく、自分たちでゼロから世界のビジネスを変えるプロダクトを開発したい。こういった姿勢に共感してくれる方にとっては、技術本部は非常に働きがいのある場所です。
組織として着実に前進している一方で、これから取り組まなければいけない課題もあります。ひとつは成長速度を上げること。先ほども触れたように、今、Sansanのプロダクトは伸びている最中ですが、その成長に見合うだけの技術力を私たちが提供できているかというと、まだまだ不足しています。例えば、会社として取り組みたいことに対して、現状のエンジニアリングのリソースをすべて投入しても、実際は60%ぐらいしか応えられていないという実感があります。
この課題を解決するために、まずは生産性を高めていきたい。具体的には、採用に力を入れていく予定です。今までも、技術者自らが求める人物像や採用のメッセージを考えるなど、主体的に採用活動に関わってきましたが、今後はさらに採用のプロセスにコミットしていく必要があると考えています。一方で、生産性を高めるためには、単に人員を増やすだけではなく、強い組織をつくることも不可欠です。そこで今、力を入れているのがマネジャーの育成です。会社がさらに成長するためにはマネジメントのレベルも上げなければいけません。チーム全体の意識を統一させながら、メンバーに成長のきっかけを与えて、長期的な成果を出していけるマネジャーを育てていくことが急務だと感じています。こういった状況がありつつ、実は最近マネジャーになりたいというメンバーが増えてきているんです。これは、個人の成果よりも「どうすればチームで成果を上げていけるか」という目線で仕事に向き合うメンバーが増えている証拠だと思います。
もうひとつの課題はエンジニアの流動性を上げること。技術本部の設立前はほとんどのエンジニアがひとつのプロダクトのみを担当していたので、プロダクトへの愛が非常に強いんです。もちろん、それも大切なことなのですが、個人のキャリアという観点では別の可能性も提示したい。例えば、同じプロダクトを長い間担当していると、Sansanという会社ではなくそのプロダクトに所属しているという感覚が強くなってきます。そうなると、プロダクトと自分の成長フェーズが合わなくなったときにせっかくのチャンスをつかみ損ねるかもしれない。これは非常にもったいないですよね。そこで、関わるプロダクトを事業ニーズによって変えながら技術者としての成長を促せるような仕組みをつくりたいと考えています。
技術本部のメンバーは真面目な人が多いです。普段の業務でもそうですし、フィードバックや評価を伝える場でも、目の前の課題とまっすぐ向き合って努力を続けている印象が強いです。楽をするためにショートカットするのではなく、一歩一歩積み上げて着実に進んでいく。それだけでなく、みんな熱量を持って仕事に取り組んでいます。その根本にあるのは「ミッション・ビジョンにコミットしたい」という想いです。みんな本気で「世界を変えたい」と考えているんです。
Sansanは今、第二創業期を迎えています。この先も成長を続けるためにはプロダクトをこれまで以上に磨いていく必要がある。つまり、技術者の力が必要になる局面がよりいっそう増えるということです。それと同時に、今までの技術本部のやり方を大きく変えなければいけない可能性もある。これからの技術本部には、こういった常に変化する状況を積極的に楽しめる人に来てほしいですね。また、変化を楽しめる人という意味では、BtoBサービスやSaaSの経験がない方も大歓迎です。別の業界のスキルや知見がこれまでにない刺激を技術本部にもたらすかもしれないですから。
技術本部のビジョンは「世界のビジネスを変える、技術者集団であれ」。ここに込められているのは「グローバルスタンダードなプロダクトを生み出したい」という想いです。これまでSansanの主戦場は日本でしたが、今後は海外展開にも力を入れていきたい。一方で、プロダクトをグローバルスタンダードにするには、いろいろとハードルもあります。具体的に言うと、日本国内ではプロダクトの力とセールスの力の両輪を活かして成果を出してきましたが、海外市場ではセールスの力がうまく発揮できない可能性もある。そこで、私たち技術本部がすべきなのは、使いやすさやわかりやすさを追求して、説明をせずとも価値が伝わるようなプロダクトを設計すること。つまり、技術力で会社をリードしていくことです。その一環として、フィリピンのセブ島に開発拠点を設立したり、日本でも海外のエンジニアを採用したりと、具体的な活動に力を入れているところです。
日本発で世界に出ていくSaaS企業は実はすごく少ない。私たちの挑戦もまだ始まったばかりです。例えるなら、Sansanは今まさに世界へと航海に出ようとしている船です。会社が新たなフェーズへと向かうこのタイミングで、この船に乗ること自体がきっと個人のキャリアとしても成長のチャンスになる。特に「今までにないステージで仕事をしたい」と思っている技術者の方には、ぜひチャレンジしていただきたいです。「出会いの可能性を切り拓く」という意思を持つメンバーが一人でも多く増えれば、その分、Sansanがグローバルテックカンパニーへの足がかりをつかめる可能性も高くなる。この船旅を通じてともに成長できる仲間との出会いを楽しみにしています。見たことのない場所を目指して、進み続けましょう。
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