我々が手にしている”価値の卵”が生み出すものは、
「ニッチな市場」なのか、それとも「新しい当たり前」なのか。
そこを問われる1年がはじまりました。
2013年は「非連続な成長の実現」をテーマに掲げていました。
例年、年末にかけて1年を総括して、新たな1年に臨みます。
その中で”区切り”を感じるものですが、今年はその感がまったく持てませんでした。
年末会議でも総括した通り、確かに前年に比べてはるかに大きく伸びました。
が、非連続な成長の実感はなく、仕掛中のことばかりです。
そんな中、2014年は、非連続な成長への陸続きの1年として
“信じてやりきる”をテーマとして掲げたいと思います。
我々は、創業以来、”クラウド名刺管理”という基礎価値を磨いてきました。
そして、それを市場に届けるために、色々と手を打ってきました。
ただ、これまでの戦いは、その基礎価値を両手にもって前面に出すのではなく、
それを左手にもちつつ、右手で届く範囲で他の何かを掴み、右手の力で体を引っ張り出す、
そんなやり方でした。
Sansanのブランドコンセプトは「名刺を企業の資産に変える」→
「名刺から収益を最大化する」→「名刺管理から収益を最大化する」→
「名刺管理から、働き方を変え、収益を最大化する」→「営業を強くする名刺管理」
と変遷してきました。
“名刺管理”という言葉をきちんと使えるようになったのは3つ目からです。
かつては、”名刺管理”というと個人向けの安価なパッケージが連想されるか、
“何のためにやるの?”という反問が殆どでしたので、あえて”名刺管理”という言葉を隠すことで、
結果として、その基礎価値を届けようとしてきました。
そして、昨年から「営業を強くする名刺管理」へと進化しましたが、
ここにきて漸く”名刺管理”を目的としたブランドコンセプトを掲げたわけです。
このコンセプトと共に、昨年はTV CMに打ってでました。
Sansanの土台の上に誕生したEightは「つなげて育つ名刺帳」→
「すべての名刺を持ち歩こう」→「名刺をビジネスのつながりに変える」
と変遷してきました。
何れにせよ、左手で基礎価値を持ちながら、右手で何かを掴もうとしてきた歴史です。
現場の打ち手からTV CM以外の例を拾えば、案件管理機能の開発、色々な賞への挑戦、
トップ営業、力技での利用立ち上げ、Eightのデフォルト招待等が、
右手によるものと言えるでしょう。
これらの意思と意図をもった打ち手によって、今の基礎価値を育ててきたことは
間違いありません。
が、今2014年を迎えて、物事はシンプルに収斂しつつあります。
逆にいえば、右手の力で基礎価値を引っ張るのも限界です。
ここから先は右手で新しい何かを掴みに行くのではなくて、今こそ、
我々の手の中にある基礎価値を両手につかみ、それを磨き、前面に出していく。
右手の力ではなくて、その磨きあげた価値そのものが、我々を次のステージに押し出していく。
基礎価値の持つ力 を”信じてやりきる”そんなフェーズに入ったと思います。
そんな中、それぞれの組織と、一人ひとりが成すべきは何か?
当社には、「開発」「マーケティング」「営業」「CS」「GBD」「業企」
「オペレーション」「管理」「人事」「広報」「制作」「Eight」といった組織があります。
価値を形成するバリューチェーンです。何か一つ欠けるだけでも、
「世界を変える新たな価値を生み出す」というビジョンは色褪せ、価値が価値たり得ません。
一方で価値のセットとしては揃ったとも言えます。
これまでは経営のレベルだけでなくて、各組織のレベルで考えても、右手に頼ってきました。が、物事がシンプルに収斂するとした中で、各組織が成すべきも、新たな打ち手を悪戯に探すのではなくて、今手にしている武器を磨き切ることだと思います。それだけの武器を創ってきたと信じています。
そして組織をつくる”一人ひとり”においては、自らの役割に”オーナーシップ”を持って
臨んでほしいと思います。”オーナーシップ”、年末挨拶で加藤さんがあげたキーワードです。
なぜSansanにJoinしたのか?
当社においては、「他に仕事がなかったから」という人はいない筈です。
自らの意思と意図をもった”決断”によって、この場に集ったのだと思います。そして、
その延長線上に「今」があって、今の先に「未来」があります。
人生は時に、左手に自分の目標や夢を持ち、右手で何かをつかまえにいくというフェーズもあります。
皆さんもそんな心境になることがあるかと思います。私は、皆さんの人生に立ち入る資格も権利もありません。
ただ、物事には、やりきった先にしか見えてこない”何か”があるものだと思います。そのためには、自らの”決断”の延長線上にある「今」を両手で掴み、そのミッションにオーナーシップを持ち、信じてやりきって貰いたい。
経営×組織×個人がそろわなければ、次のステージにはいけない。
はたして、クラウド名刺管理という価値が生み出すものが、
ニッチな市場で終わるのか、それとも「新しい当たり前」になるのかは、結果のみが証明します。
ただ、私は信じています。
この古くて新しい課題は、働く人たち共通の課題です。
そして、その課題の解決の先には、利便性だけではなく、新しい働き方が待っています。
我々のミッションは、それを現実にすることです。
さあ、2014年、皆で信じてやりきりましょう!!
2014年 1月
寺田親弘
※年始会議にて行われた寺田の全社スピーチを、一部修正の上、掲載。