コーポレートガバナンス

基本的な考え方

当社は、持続的な企業価値の最大化と社会への貢献を実現し、全てのステークホルダーの皆さまから継続的な信頼を得ることが重要であると認識しています。このような認識の下、取締役による監督機能を強化することでコーポレートガバナンスの一層の充実を図り、経営の健全性と透明性をさらに向上させることを目的として、当社は監査等委員会設置会社制度を採用しています。監査等委員会の設置により、経営の意思決定と業務執行の監督において透明性を確保するとともに、内部統制システムの構築及び運用の徹底を図り、コーポレートガバナンスの維持・強化に努めています。

コーポレートガバナンスに関する報告書 (2.49MB)

コーポレートガバナンス体制

体制図

取締役会

当社は、定款により取締役(監査等委員である者を除く)の員数を8名以内、監査等委員である取締役の員数を5名以内とそれぞれ定めており、現在は取締役9名(うち、男性7名、女性2名)を選任しています。取締役会を構成するメンバーについては、経験、知見及び能力等のバランス並びにジェンダーや国際経験を含む国際性、職歴、年齢の面を含む多様性に配慮した選任を行っています。ジェンダーについてはその重要性を認識しており、2030年までに女性取締役比率30%の達成を目指します。また、独立社外取締役を1/3以上選任することとし、監査等委員である取締役として財務・会計に関する相当程度の知見のある者を1名以上選任することとしています。

当社は、定時株主総会招集通知等に取締役候補者のスキルマトリックス及び各候補者の選任理由を記載し、当社が備えるべき経営陣のスキル構成を開示しています。また、独立社外取締役には自身が企業経験を持つ者や現任において他社の取締役を兼任する者を含めており、自社によらない意見具申が期待できる体制を整えています。

監査等委員会

監査等委員会は監査等委員である取締役4名によって構成され、その全員が社外取締役かつ独立役員です。監査等委員である取締役には、法務や会計等の専門知識や他の企業の役員経験を通じ、企業経営について独立した観点を有する者が含まれており、各々の職業倫理の観点で経営監視が行われる体制を整備しています。監査等委員である取締役は、取締役会等において、取締役の業務執行について適宜意見を述べています。監査等委員会は、ガバナンスのあり方とその運営状況を監視し、取締役の業務執行を含む日常的活動の監査・監督を行うことを目的に、監査等委員会を毎月1回開催するほか、内部監査室及び会計監査人との会合を設け、監査に必要な情報の共有化を図っています。

コーポレートガバナンス強化の変遷

当社は、経営の健全性と透明性の実現に向けて、コーポレートガバナンスの強化に関するさまざまな取り組みを行っています。2015年には監査等委員会設置会社を採用し、社外取締役4名を選任しました。また、2019年から2021年にかけては、独立役員の選定及び増員を行い、独立性の確保に努めました。加えて、2021年には女性取締役の増員(1名→2名)により、取締役構成のさらなる多様性向上に努めたほか、取締役(監査等委員である者を除く)の個別報酬等の内容決定について、代表取締役への委任から取締役会決議へと決定方針を変更しました。そのほか、取締役会構成メンバーのスキルマトリックスについて開示しました。
2023年には独立役員の増員を行ったほか、指名及び報酬等に係る取締役会の機能の独立性・客観性を高めるとともに説明責任を強化する目的で、取締役会の任意の諮問機関として指名報酬諮問委員会を設置しました。

主な取り組み

取締役会の実効性評価

株主より取締役会に委嘱された経営等について、毎年、取締役会実効性評価を行い、取締役会が評価結果に基づきながら自らPDCAサイクルを回すことにより、コーポレートガバナンスの高度化を図っています。

2023年5月期の実効性評価では、全取締役を対象として取締役会等の実効性に関するアンケートを実施し、その調査結果について監査等委員会による協議及び意見表明を得た上で取締役会にて調査結果の審議を行い、認識の共有及び改善方針を決定しました。本調査結果では、アンケートの主項目である「取締役会等の責務」「取締役会の規模と構成メンバー」「取締役会の開催頻度等」「取締役会の意思決定プロセス」及び「取締役会に提供される情報の品質」について適切または概ね適切であると評価する意見が多く、取締役会等の実効性は確保されていると判断しました。

その上で、取締役のトレーニングの一環として、中長期的な経営課題や事業の方向性に関する議論の機会を設けることによる社外取締役の知見を取り込んだ多角的な視野の醸成及び経営基盤のさらなる強化、社外取締役の事業内容及び事業の方向性の理解を深める情報提供及び取締役会審議に資する資料・情報提供の拡充等を行い、当社の事業規模や上場企業としての社会的責任等が大きくなる中において、取締役会の実効性向上に向けた継続的な取り組みを行っていきます。

取締役報酬の決定方針とプロセス

当社は、取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等に係る決定方針につき、指名報酬諮問委員会への諮問を行った後、その答申内容に基づいて取締役会において決定しています。2023年7月開催の取締役会において、2024年5月期以降の取締役(監査等委員である者を除く)の報酬等に係る決定方針を一部変更し、短期のインセンティブ報酬である業績連動賞与を支給する旨及び株主総会の承認決議を条件として取締役(監査等委員である者を除く)の個別報酬として非金銭報酬である株式報酬型ストックオプションを付与する旨の決議を行っています。

基本報酬(固定の金銭報酬)及び業績連動報酬に関する取締役の個別報酬等の額または算定方法の決定

取締役(監査等委員である者を除く)に対する個別の金銭報酬等として、基本報酬(固定の金銭報酬)及び事業年度毎の業績向上に対する短期のインセンティブ報酬としての業績連動賞与を支給します。取締役(監査等委員である者を除く)の個別基本報酬額は、株主総会にて決議された報酬総額の限度内において、各取締役の職責や業務執行状況及び会社業績や経済状況等を勘案し、毎期、更新・決定するものとします。取締役(監査等委員である者を除く)の個別業績連動賞与額は、株主総会にて決議された報酬総額の限度内において、各事業年度の業績目標値に対する達成度合いに応じて0%~200%の範囲で算出し、各取締役の職責等を勘案した上で、毎期、更新・決定するものとします。各事業年度の業績目標値には当社において最も重要な経営指標である連結売上高を用います。なお、監査等委員である取締役の個別基本報酬額は、株主総会において決議された報酬総額の限度内において、監査等委員全員の協議により決定しています。

非金銭報酬の導入及び決定

取締役 (監査等委員である者を除く)の個別報酬等として、中長期のインセンティブ報酬としての株価条件付ストックオプション及び株式報酬型ストックオプションを付与する場合があります。これらのストックオプションについては、経営環境や他社における報酬水準等を踏まえ、取締役のパフォーマンス及び貢献意欲を最大化させ、かつ株主価値との連動性をより強化し、適切なリスクテイクが図られるようなインセンティブとなるべく、基本報酬との割合の決定並びに適切な制限及び条件設定を行うものとします。また、その他取締役の個別報酬等として非金銭報酬制度を導入する場合には、取締役会の決議を要するものとします。当該報酬制度を導入する際には、その内容及び金額(算定方法)の決定方針並びに個別報酬等を構成する各報酬の割合について、指名報酬諮問委員会への諮問を行った後、その答申内容に基づいて取締役会にて決定します。

取締役報酬等の支給・付与の時期や条件の決定

取締役の報酬等のうち、固定報酬は月例とし、取締役(監査等委員である者を除く)の個別報酬等として導入する業績連動賞与については、毎年一定の時期に一括して支給します。また、株価条件付ストックオプション及び株式報酬型ストックオプションは、過去の付与実績や在任年数等を踏まえ、支給・付与の時期を検討するものとします。なお、報酬として支払われるべき費用が別途発生する場合にはこの限りではありません。

報酬等の内容決定に関する事項

取締役(監査等委員である者を除く)の個別報酬等は、指名報酬諮問委員会への諮問を行った後、その答申内容に基づいて取締役会にて決定します。なお、取締役(監査等委員である者を除く)に対する株価条件付ストックオプション及び株式報酬型ストックオプションを発行する場合、株主総会決議を得るものとし、株主総会議案の内容については、指名報酬諮問委員会への諮問を行った後、その答申内容に基づいて取締役会にて決定します。

取締役候補者の選解任方針とプロセス

当社は、定款で取締役(監査等委員である者を除く)は8名以内、監査等委員である取締役は5名以内と定めており、取締役会構成メンバーは、経験、知見及び能力等のバランス並びに多様性を考慮した選任を行っています。取締役(監査等委員である者を除く)候補者の指名に当たっては、担当事業に関する豊富な知識と経験並びに担当事業を通じた会社への高い貢献度が期待でき、取締役としての職務を全うし企業価値の向上に資する人材を選定する方針としています。監査等委員である取締役候補者の指名に当たっては、他の会社の役員経験を有する者や企業法務、会計及びコンプライアンスに精通する法律専門家等、各自の実務経験に基づく企業経営に関する豊富な知見を活用し、経営全般に対して意見具申が期待できる人材を選定する方針としています。

取締役候補者の指名手続については、代表取締役社長が上記方針に適合する人材として提案する候補者について、指名報酬諮問委員会への諮問を行った後、その答申内容に基づいて取締役会にて決定しています。

取締役会は各取締役の業務執行状況を監視・監督し、その要件を満たしていないと判断した場合には、指名報酬諮問委員会へ事前に諮問を行い、取締役会はその答申を踏まえて当該取締役の解任について審議することとしています。

取締役のトレーニング方針

取締役による経営監督・監査が十分に機能するよう、取締役会資料の事前配布・説明及び関連情報の提供により、取締役会での審議の充実化に努めています。また、社外取締役で構成される監査等委員会において、円滑な職務遂行を支援する目的で専任の事務局員を配置しています。当該事務局員による主要会議への参加、重要書類の閲覧等を通じて、監査等委員会の要請に応じた報告や情報提供を適時に実施しています。そのほか、社外取締役に対する第三者機関による研修の機会を提供しており、その費用は会社負担としています。

グループガバナンスの強化

子会社への経営関与に関する基本方針として、「子会社管理規程」を制定し、当該規程に基づき子会社との間で経営管理契約を締結する等、グループガバナンスの強化につながる体制整備に努めています。また、子会社の法令、定款、社内規程等の遵守状況について、当社の内部監査室による定期監査を実施しています。

寺田 親弘 代表取締役社長/CEO/CPO

大学卒業後、三井物産(株)に入社。米国・シリコンバレーでベンチャー 企業の日本向けビジネス展開支援を行い、帰国後は子会社の経営管理など に従事する。2007年にSansan(株)を創業し、営業DXサービス「Sansan」をはじめとした「働き方を変えるDXサービス」を提供。2021年、東証一部(現東証プライム)上場。

富岡 圭 取締役/執行役員/COO

日本オラクル株式会社に入社し、上海やバンコクを拠点にグレーターチャイナ(中国、香港、台湾)、東南アジア、インドのマーケット開拓を担当。2007年にSansan株式会社を共同創業し、営業DXサービス「Sansan」の事業を指揮する。現在はCOOとしてSansanをはじめ、BtoB SaaS事業を統括。2023年から、Sansan Global Pte. Ltd.のCEOに就任。

塩見 賢治 取締役/執行役員/CISO/DPO/技術本部 本部長​

株式会社物産システムインテグレーション(現・三井情報株式会社)で、大手携帯キャリア向けのメールシステムの設計・開発責任者などを務めた後、2007年にSansan株式会社を共同創業し、2012年からキャリアプロフィール「Eight」の事業責任者を務める。現在は、技術本部の本部長として技術戦略や組織強化を指揮。2023年からSansan Global Development Center, Inc.の代表取締役社長に就任。

大間 祐太 取締役/執行役員/CHRO

人材系企業へ入社し、採用コンサルティング事業の立ち上げを経験し、独立。その後、採用領域のベンチャー企業の立ち上げに携わる。2010年にSansan株式会社へ入社し、営業部門のマネジャー、人事部長を務める。現在はCHROとして、人材価値を高めるための人事戦略を指揮する。

橋本 宗之 取締役/執行役員/CFO​

外資系証券会社に入社。東京及びニューヨークで約9年間勤務し、M&Aや資金調達のアドバイザリー業務に従事。その後、日本政策投資銀行のグループ企業でプライベート・エクイティ投資に携わり、2017年にSansan株式会社へ入社。現在は、CFOとして財務戦略を指揮する。

鈴木 真紀 社外取締役/監査等委員​

弁護士。2003年よりTMI総合法律事務所に勤務した後、ニューヨーク州弁護士に登録。2017年、佐藤真太郎法律事務所へ入所し、2021年から第二東京弁護士会に所属。2022年8月、Sansan株式会社の社外取締役に就任。企業法務やコンプライアンス等に関する専門的な知識を有し、法律や多様性の観点から提言を行う。

赤浦 徹 社外取締役/監査等委員​

インキュベイトファンド代表パートナー。日本合同ファイナンス株式会社(現・株式会社ジャフコ)にて投資育成業務に従事後、ベンチャーキャピタル業を独立開業し、現在に至る。2007年8月、Sansan株式会社の社外取締役に就任。経営全般についての提言を行う。

塩月 燈子 社外取締役/監査等委員​

株式会社サイバーエージェント取締役。会計士補、法務博士(専門職)。日本航空株式会社に勤務した後、株式会社サイバーエージェントの常勤監査役を経て2017年から現職。2021年8月、Sansan株式会社の社外取締役に就任。会計や法務の知見と事業会社での経験を通じ、監査や多様性の観点から提言を行う。

齋藤 太郎 社外取締役/監査等委員​

株式会社dof代表取締役。コミュニケーションデザイナー。株式会社電通に勤務した後、株式会社dofを設立し、2009年から現職。2022年8月、Sansan株式会社の社外取締役に就任。コミュニケーションデザイナーとしての豊富な職務経験と複数企業の役員として得た見識を踏まえ、経営全般についての提言を行う。