2018.07.24

【つながりに効く、ネットワーク研究小話】vol. 1「切れやすいつながりの見つけ方」

Sansan DSOC研究員の前嶋です。

先日、Eightのオウンドメディア『BNL』で、社会的ネットワークについての解説記事を書かせていただきました。この連載では、もう少しカジュアルな形で「つながり」に関する小話をしていこうかと思います。

今回は、「切れやすいつながりの見つけ方」について解説します。

例え、どれだけ価値ある出会いをしても、いつの間にか相手と疎遠になってしまうことはよくあることです。もし、切れやすいつながりと、そうでないつながりを見分ける術があれば、どの人との関係性をより重んじるべきかの判断がしやすくなるのではないでしょうか。

つながりの「構造」による「切れやすさ」

実は、つながりの「切れやすさ」と、社会的ネットワークの「構造」の間には、密接な関係があることが知られています。重要なのは、そのつながりが「橋渡し的なつながり」なのか、それとも「結束的なつながり」なのかという見方です。「橋渡し的なつながり」とは、つながっていない人同士を架橋するようなつながりのことを指します。一方で、「結束的なつながり」とは、自分がつながっている人同士もまたつながっている、という密なつながりのことを指します。

橋渡し的なつながりは、自分が属するコミュニティーとは別のコミュニティーとの接点を持つことができるので、さまざまな情報がそれを通って入ってくるという利点があります。ビジネスパーソンにとって、このようなつながりは非常に重要です。社会科学では、何らかの利益をもたらしてくれるつながりのことを「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」と呼びます。

しかし、橋渡し的なつながりは、利益をもたらす一方で、消失するのも速いということが実証されています(Burt 2002)。研究によると、ある投資銀行の内部のネットワークにおいて、橋渡し的でないつながりは翌年に77%が消失していたのに対して、橋渡し的なつながりは90%が消失していました。理由としては、橋渡し的つながりでつながっている人同士はお互い異なる性質を持っていることが多く、コミュニケーションコストが高くなってしまうということや、つながりに関与する人が少数であることなどが挙げられます。資本は利益を生みますが、その維持管理にはコストがかかるものです。

つながり続ける方法

では、橋渡し的なつながりをできるだけ失わないために、何ができるでしょうか。二つの戦略があります。一つは、消失を相殺するほど多くの橋渡しを築くこと、もう一つは橋渡し的なつながりをより長く維持することです。優れた業績を持つ銀行家ほど、橋渡し的なつながりを維持しているという分析結果もありますが、どちらの戦略を選ぶべきかは、その人の職種や環境、あるいは好みによるところが大きいと考えられます。

もし、ある出会いに対して価値があると思った時は、その人は自分の知り合いとも知り合いだろうか? と自問して、それが橋渡し的なつながりだと判断される場合は、積極的にその人とコミュニケーションを取って、関係をメンテナンスするのがよいでしょう。

個人向け名刺アプリ「Eight」はFacebookなどの他のSNSに比べて「橋渡し的つながりのためのSNS」という側面が強いですが、価値ある出会いを失わないためにも、必要とあれば積極的にケアすることが重要です。そのための一つの基準として、今回紹介したようなネットワーク構造について考えてもらえれば嬉しく思います(もちろん、人と人との関係は完全にコントロールすることはできませんが)。

次回は「つながりと性格の深イイ関係」という題で書きます。

参考文献

Burt, R. S. (2002). Bridge decay. Social networks, 24(4), 333-363.

text: DSOC R&Dグループ 前嶋直樹