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Sansanの技術基盤を関西から築く。新設組織で未来を創る、エンジニアの挑戦

Sansan株式会社のプロダクト開発は今、事業成長を加速させるため、その技術の根幹を支える新しい挑戦に乗り出しています。それが「Platform Engineering Unit(以下、PEU)」の新設です。PEUは全社横断的な技術基盤の構築を担い、構想フェーズから実装、推進に深く関わります。

今回mimiでは、PEUの初期メンバーとして、関西拠点をベースに全社横断の基盤構築に挑む辻田美咲に、その挑戦のリアルと、この立ち上げフェーズだからこそ得られる成長機会とやりがいについて話を聞きました。

 

PROFILE

辻田 美咲Misaki Tsujita
技術本部 Platform Engineering Unit Application Platformグループ

2021年3月にSansan株式会社に入社。前職ではWebエンジニアとしてJavaを中心に、フロントエンドやクラウドインフラにも携わる。次の挑戦をしたいという思いからSansanへ転職。入社後は、ビジネスデータベース「Sansan」のアプリケーション開発、研究開発部でアーキテクトを担当し、2024年6月より現組織(PEU)に参画。何事にも積極的に挑戦し、困難を乗り越える強いマインドセット「やっていき精神」を持つ。


大阪から挑む、新しいキャリアの一歩

転職のきっかけや、数ある選択肢の中からSansanを選んだ理由は何だったのでしょうか?

転職を考え始めたのは、コロナ禍でリモートワークが中心となり、東京に留まる必要性を感じなくなったことがきっかけです。キャリア4年目で、コンフォートゾーンを抜け出して新しい挑戦をしたいという思いもありました。出身地である大阪に帰りたいという希望もあったため、大阪に拠点がある自社サービスの開発ができる会社を探しました。いくつか内定をいただいた中で、当時のSansanのCTOから直接「来てほしい」という熱いメッセージを電話でいただき、それが決め手の一つになりましたね。

入社されてから現在まで、Sansanではどのようなキャリアを歩んできましたか?

入社当初は、ビジネスデータベース「Sansan」のアプリケーション開発を担当していました。私はフロントエンドもバックエンドもインフラも幅広く経験し、ビジネスサイドと直接やり取りしながら提案にも関わっていきたいと考えていました。

開発体制として役割分担が明確にされていたことで、専門領域を深く磨く経験を積むことができましたが、一方で自分の志向に沿ってより広い領域へ挑戦したい気持ちも強まりました。そのため、入社から約6カ月後、幅広い技術領域に携われる研究開発部へ異動することになりました。

研究開発部ではどのような役割を担ったのですか?

研究開発部ではアーキテクトとして、研究員が開発したモデルやプログラムを実際に動かすためのシステムを構築したり、研究成果をプロダクトに組み込んだりする役割を担っていました。中でもSansanの、メール署名を名刺情報として抽出する機能の開発では、機械学習エンジニアと連携して、評価の改善や自動化の推進に取り組みました。

私自身、機械学習のバックグラウンドはなかったものの、新しい分野の勉強ができ、非常に面白かったです。研究員の方々はアプリケーションエンジニアとは異なる視点を持つスペシャリストで、彼らとの仕事は刺激的でした。

その後、現在のPEUに移ったのはどのような経緯からでしょうか?

研究開発部に約3年間在籍した後、2024年6月にInfrastructure Groupへ異動しました。ちょうど私が加わったタイミングではSRE Groupという名称でしたが、その後2025年6月にPlatform Engineering Unit(以下、PEU)へと変更されました。

異動の背景に、当時のチーム内では自分が唯一のシニアメンバーだったこともあり、より経験豊富なエンジニアがいる環境で、さらなる学びと成長を得たいという思いがありました。ちょうどPEUでも新たな人材を求めていたこともあり、自分の志向や挑戦したい方向性と一致していると感じ、ジョインを決めました。


関連記事

以下の記事では、Platform Engineering Unitの目指す世界と具体的な挑戦を紹介しています。ご興味のある方はぜひご覧ください。

Sansan社内向け開発基盤「Orbit」の価値を磨き続ける

PEUでの新しい挑戦とは具体的にどのようなものでしょうか?現在の担当プロジェクトや開発領域について教えてください。

現在は、社内向けの開発基盤「Orbit」の開発や継続的な改善に取り組んでいます。Application Platformグループでは、Site Reliability Engineering(SRE)を専門とするメンバーを除く全員が、Orbitの価値向上に注力しています。

Orbitとは

Orbitは、Sansan社内向けのシステム開発基盤です。従来、各プロダクトごとに個別対応していたインフラやCI/CDパイプラインなどを共通化・標準化することで、開発チームの負担を軽減します。これにより、開発者はプロダクトの価値向上に集中でき、アプリケーションの構築からデプロイまでのプロセスを高速化することを目指しています。

なぜSansanにはOrbitが必要なのでしょうか?

以前はAI契約データベース「Contract One」をはじめとした新規プロダクトに、専任のインフラ担当者がいませんでした。

Orbitの目的は、インフラ準備に必要な複雑な手順や設定を、あらかじめ共通化・自動化し、一つの仕組みとしてまとめて提供することです。これにより、開発チームはサーバやDNS、ロードバランサ、CI/CD、セキュリティー、モニタリングといった共通のインフラ機能を、コマンド実行で利用できます。その結果、開発チームはそれぞれの言語やフレームワークを自由に選びながら、本来注力すべきプロダクトの価値向上や顧客ニーズに応える機能開発に専念できます。開発チームの認知負荷を減らすことが、私たちの大きなミッションです。

まさに開発体験を向上させるための取り組みですね。関わる中で、どのような瞬間にやりがいを感じますか?

やりがいを感じるのは開発メンバーから、日々の運用で感じている課題をヒアリングし、「これはOrbitを使えば管理や運用が不要になりますよ」と提案できたときや、それが実現できたときです。 「アプリの構築からデプロイまでが本当に高速道路のようにスムーズでした」と言ってもらえたときは、とてもうれしかったですね。開発チームからのフィードバックは、本当にありがたく感じています。

辻田さんは技術的な役割だけでなく、PdMのような役割も担っていると聞いています。エンジニアがPdMの役割を兼ねることについては、どのように感じていますか?

実は当初、PdMの役割に専念する人を採用したいと考えていましたが、社内プラットフォーム領域のPdMは市場にも事例が少なく、採用が難航していました。加えて、Orbitも立ち上げからまだ1年というフェーズだったため、専門のPdMを配置するのは時期尚早と判断され、私がエンジニアとしてPdMにチャレンジすることになりました。

この役割をストレスに感じたことはなく、むしろユーザーである開発チームとのコミュニケーションを大切にしています。まだ完璧にできているとは言えませんが、アンケートの実施やKPI・SLOの設定、可視化・分析の仕組みづくりを進めています。直近では、Orbitのビジョンステートメントを言語化し、それを実現するためのロードマップの見直しや、バックログの優先順位付けにも取り組んでいます。

技術選定や設計、他チームとの連携など、具体的な裁量はどの程度持っていますか?

技術選定から設計、開発の初期構築までは、ほぼ一人で担当していました。昨年6月時点でチームに在籍していたのはマネジャーと私を含めて3人でしたが、実際に手を動かしていたのは私だけで、デジタル名刺メーカーへのOrbit導入まではほぼすべてを一人でやりきりました。当時は裁量もほぼ私に任されていたと思います。

現在はプラットフォーム専任のメンバーが3人おり、各自がオーナーシップを持って課題に向き合いながら、チームで協力して進めています。

初期構築時には判断に迷う場面もあり、その際は上司やGoogle Cloudのスペシャリストの方々に相談していました。現在は必要に応じてサポートやアカウントチームに問い合わせています。「任せるけど、責任は取る」という上司のスタンスがあるおかげで、安心して挑戦できています。

海外出張など、主体的な動きを会社が後押ししてくれる環境についても、何かエピソードがあれば教えてください。

昨年、ラスベガスへ出張したのですが、その最大の目的は、Orbitで利用しているGKE(Google Kubernetes Engine)に不足している機能について、本国のGKEのPdMに直接、機能実装を要望することでした。

オフラインで直接伝えるためにわざわざラスベガスまで行ったんですか?

はい。ただし、海外カンファレンスは費用が非常に高額なため、ROI(投資対効果)を明確に示さなければ、当然出張の承認は下りません。そこで上司と一緒に、「この機能がリリースされれば、年間でこれだけのコスト削減ができる」「出張費以上の効果が見込める」といった具体的な数字を算出し、最終承認者に掛け合いました。チーム合宿中、みんなで必死に数値をはじき出したのは、今でも良い思い出です。結局、機能のリリースは少し遅れましたが、要望はしっかりと届きました。

そのラスベガスでの経験から、特に印象に残っていることはありますか?

本当に、人生の中でも特に濃密な3日間を過ごせました。現地のエンジニアとの交流もでき、自分のキャリアを見つめ直す良い機会になったと思います。特に印象的だったのは、カンファレンスのエキスポ会場が、ほぼすべてAIエージェント関連の展示で埋め尽くされていたことです。 世界はすでに、単一のAIエージェントではなく複数のエージェントを管理・連携させる時代に入っているのだと肌で感じ、「これは、私たちもまだ追いつけていない。早くキャッチアップしないと」という強い危機感を覚えました。

 

ラスベガスで開催された「Google Cloud Next 25」に参加した際の様子。詳細は下記の記事をご覧ください

Sansan Tech Blog

現在は関西支店で勤務されているとのことですが、拠点をまたいで働く中で感じていることや、意識していることはありますか?

Sansanには、各拠点をベースにしながらも全国のメンバーと連携し、成果を出せる文化と仕組みがあります。私自身も関西支店を拠点としつつ、開発チームとの密な協働を通じてプロジェクトにしっかりとコミットできている実感があります。

拠点が異なる分、特に意識しているのは日々のコミュニケーションです。なかでも開発チームとのやり取りは、こちらから積極的に関わっていかないと、相手も日々の業務で忙しいため、信頼関係を築くのが難しくなると感じています。

具体的には、導入初期のチームに対しては週次の定例ミーティングでフォローアップを行ったり、技術的な課題があれば一緒にペアプロで解決したりしています。

一緒に成長し、変化を楽しめる仲間と働きたい

チームとして、どのようなエンジニアと一緒に働きたいと思いますか?

成長意欲や挑戦意欲が高く、何事にも積極的に取り組める方と一緒に働きたいです。そして、コミュニケーションを大切にできる方を歓迎します。どれだけ技術力が高くても、いわゆるソフトスキルが不足していると、チーム全体の生産性に影響を与えてしまう可能性があると考えています。

また、技術発信に前向きな方にもぜひ加わってほしいです。自分の学びをアウトプットすること、例えばブログ記事を書くことは、知識の定着にもつながりますし、チームや組織の発信、さらには採用活動にも大きく寄与します。実際に私のブログを読んで、面接に来てくださった方もいらっしゃいます。

最後に、PEUという環境で働くことの魅力を、候補者の方々に一言で伝えるとしたら何ですか?

一言で言うなら、「組織横断的な挑戦を通じて、事業に貢献できる」ことです。PEUはまだ立ち上がったばかりの組織だからこそ、自分自身でオーナーシップを持ち、さまざまなことを主体的に進めていける環境があります。不完全なプラットフォームだからこそ、自ら課題を見つけ、改善していくという貴重な経験が得られます。

技術的にもKubernetesのカスタマイズなど、挑戦的で面白いテーマに取り組むことができます。私たちは、プラットフォームエンジニアリングを通じて開発の認知負荷を下げ、生産性を向上させ、開発のリードタイムを短縮することを目指しています。そして最終的には、それが事業成長への貢献につながると強く信じています。

技術に情熱を注ぎ、深く探求する姿勢に加えて、「開発プラットフォームで組織を変革したい」という強い意思を持った方と、一緒に働きたいと思っています。

 


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text&photo: mimi