こんにちは。DSOC R&Dグループの黒柳です。
先日開催された、「SIGIR」という国際学会に僕を含めたR&Dグループのメンバー3名が参加しました。僕自身は、同じくACM(Association for Computing Machinery)が主催する「SIGKDD(Special Interest Group on Knowledge Discovery and Data Mining)」には参加した経験がありますが、情報検索(Information Retrieval)分野のSIGへ参加するのは初めてであり、この分野の最先端の概況を捉える良い機会となりました。
せっかくですので、SIGIR2017の様子をレポート形式にてお伝えさせていただきます。
トップカンファレンス「SIGIR」とは?
SIGIR(またはACM SIGIR)とは、「(Association for Computing Machinery's) Special Interest Group on Information Retrieval」の略称です。
SIGIRは、情報検索の学術研究分野でのトップカンファレンスであり、毎年1回開かれます。この会議は、世界中のトップクラスの情報検索研究者が参加する国際的にも非常に有名な学会のひとつです。
Conference
SIGIR2017は、8月7日〜11日の期間、東京で開催されていましたが、僕はConferenceが行われた3日間(8月8日〜10日)のみに参加しました。
Conferenceは、主にKeynoteとメインとなるSession、Poster and demo sessionで構成されています。Keynoteは情報検索における重要トピックとなる内容についてのトークで、Sessionは個別テーマにおける研究に関するプレゼンテーション、Poster and demo sessionはポスターによる研究やデモンストレーションの発表で、実際に発表者と近い距離でディスカッションをすることができる場となっています。
ConferenceのメインのSessionに関しては、情報検索技術の発展により形成されたランク学習によるレコメンデーションや、それに関連するドキュメントやコンテンツ分析、さらに検索クエリの分析の話題など多岐にわたります。特に近年のDeep Learningの発展の流れを受けて、Generative Adversarial Network(GAN)を応用したIRGANや、Neural Machine Translationで使われているEncoder-DecoderやAttentionのような仕組みを活用した情報検索の研究がいくつか見られたのは印象的でした。
Banquet
Banquetにも参加し、さまざまな研究者の方と交流する機会にも恵まれました。機械学習やデータマイニングの分野でご高名な神嶌先生も参加されており、ご挨拶させていただくことができました。神嶌先生は、さまざまな学会に参加されており、いつも通りTweetがまとまっていたので、そちら(しましまのSIGIR2017まとめ - Togetterまとめ)も参考になると思います。
また、東京開催ということもあり、すしが振る舞われたのですが、外国人の行列ができており、すしを食べるのには時間がかなりかかりました。回る回らない以前に、並ばなくても美味しいすしが食べられる日本は素晴らしいなと思った次第です。
SIGIRは40周年
2017年はSIGIRの40周年記念の年ということで、Conferenceの中で40年の歴史を振り返るセッションが用意されていました。情報検索分野の論文のタイトルで使われたキーワードやトピックの変遷についてのレポートや、これまでのSIGIRに関してのレビューなど、さまざまな角度からSIGIRの発展に貢献した人をフィーチャーし、表彰も行われました。情報検索の研究の長い歴史の上に、現在の技術が成り立っていることを思い返すきっかけになりました。
収穫の多い初参加でした
簡単ではありましたが、以上がSIGIR2017のレポートです。
SIGIRには初参加だったので、情報検索分野の雰囲気をつかむだけで終わってしまいましたが、引き続き最先端の研究をキャッチアップしてこれからのSansan DSOCにおける研究開発につなげていきたいと考えています。また、名刺から得られる情報という独特なデータを保持している我々にしかできない研究もできるであろうという予感を学会で感じることができました。それを何かしらの形でアウトプットできるよう尽力していきます。
text: DSOC R&Dグループ 黒柳敬一