こんにちは! DSOCの大木です。
お盆休みはどのように過ごされましたか?
私は朝の公共交通機関や歩道が信じられないくらい空いていて通勤しやすいなー! と思ってました。
休暇中の方が多いので、社内が広々として集中しやすいなー! とか。
適正な人口密度は生産性を向上させるということを実感しました。
では、今回もサシランチ始まるよ!
今回のゲスト
ゲスト:DSOC R&Dグループ 真鍋友則
入社歴:4カ月
エニアグラム:タイプ8「強さを求め自己表現する人」
ストレングスファインダー:収集心、着想、信念、原点思考、自我
大木CHECK:R&Dの中で一番机の上に不用品が多い。
お店:IDOL
ごはん:タコライス(真鍋)、サラダランチ(大木)
大木:iPhoneで録音開始しますね!
真鍋:録音するの? 脳内でとどめてよ。
大木:覚えられないですよ。
真鍋:録音されるとなんか・・・。
大木:真鍋さん、お話が上手だから大丈夫です! 気にせずにいきましょう!
左)サラダランチ。右)タコライス。こちらは真鍋さんが撮影。写真を取るのが得意じゃないことがよくわかります。
大木:じゃあ、まずはストレングスファインダーとエニアグラムから教えてください。
真鍋:ストレングスファインダーは、上位に「信念」が入ってます。
大木:「信念」? 初めて聞きました。
真鍋:珍しいみたいですね。「信念」を上位の資質として持っているのは、社内でも数人らしいです。
大木:エニアグラムは何ですか?
真鍋:タイプ8です。
大木:「強さを求め自己表現する人」ですね。
真鍋:まあ、強いてタイプ分けすればってことだと思いますけど。
大木:Sansanに入社されたのは、今年の4月ですね。私もDSOC兼務になったのが4月1日で、真鍋さんと同じだったのでよく覚えています。最初は怖そうな人だなと思ったんです。
真鍋:えーなんで?
大木:うーん、あまりにも堂々としてたからですかね。動じない感じの印象でした。主張がしっかりありそうというか。
真鍋:割と間違ってはいない、その印象は(笑)。
「レミーのおいしいレストラン」のレミーに似てると言われるそうです。
大木:真鍋さんは以前からデータ分析を専門にされてたわけじゃないですよね。
真鍋:学生の頃は生物です。農学部でした。
大木:牛の出産とか?
真鍋:いや、学科が違うのでそれは経験してないですね。僕がやってたのは、バイオテクノロジーです。遺伝子組み替えとか。
大木:品種改良とかですか?
真鍋:そういうのもあるんですけど、僕は基礎レベルで遺伝子がどう働いているかを研究する、というようなことをやっていました。
大木:へー。それは動物ですか? 植物ですか?
真鍋:僕はネズミでした。
大木:ネズミ。ラット?
真鍋:いや、マウス。小さい方です。遺伝子の働き方を調べる方法はいろいろあるし、最近はまた新しい技術が出てきていますけど、僕が調べていたのは、ノックアウトマウスの形質でした。ノックアウトとは、遺伝子を人為的に破壊することにより遺伝子の機能を調べる手法です。そういうことをやっていました。大学4年生の時です。
大木:結構ヘビーですね。
真鍋:そうですね。最初の頃はネズミなんて触れないというところから始まり、命まで奪うわけだから、そこを乗り越えるのは大変ですよね。
大木:その後は、どうされたんですか?
真鍋:大学院に進みました。マウスを使って「脳」をやっていました。シナプスって分かりますか?
大木:情報伝達するやつ。
真鍋:そうそう。そのシナプスの性質を調べていました。
大木:大学院を出た後は、どうされたんですか?
真鍋:脳の研究を続けていました。独立行政法人でアシスタントとして働いていたんです。
大木:エリートですね。
真鍋:自分が何ができるか分からなかったので、何をしたいというのもなくて、でも研究を続けたいというか研究の現場にまだ居たかったので、そういう形になりました。給与は高くないし上がらないし、1年契約なのでボスが要らないと思えば職を失うし、エリートどころかフリーターみたいな不安定な立場でしたよ。
大木:何年くらい続けたんですか?
真鍋:4年か5年。
大木:結構長いですね!
真鍋:そうですね。今と同じですけど、ビーチサンダルに短パンTシャツで働いてましたし、ネズミと薬を準備して実験して、周りの人とディスカッションしてという毎日で、利益を追求しているわけではないですし、浮世離れしている世界にいましたね。だから、一般的な「社会人」としてのスキルは何も持っていない状態でした。
研究所ってただでさえ個性が強い人が集まっている上に、違う文化の中で育ってきた外国人の方も多かったので、日常的にカルチャーショックを受けていました。強烈なエピソードはたくさんあるんですが、それはまたの機会に話しますね。とにかく、そういう中にいたので、今自分が信じている常識は、数多くある常識の中の一つに過ぎない、ということがごく自然に自分の一部として培われました。なので、ある組織の中で追い詰められたとしても、外の世界に行けば評価は全く変わることもある、という視点を持てるようになりました。それは良かったと思います。
大木:でも、その研究機関を去るタイミングが来たんですよね?
真鍋:29歳の時に、今のままじゃ人生まずいな、と思いました。就職しよう! と。
リーマンショックの直後で、就職氷河期と言われていましたが、専門商社から内定が出て、そこに入社しました。これは結構きつかったです。学生時代と同じ服装で、外国人とフリーディスカッションをしていたような環境から、着慣れないスーツ姿で、決められたことを正しい手順でこなすことが良しとされ、社内の上下関係もしっかりある、というような職場への転向だったので。
大木:そこでは何をしていたんですか?
真鍋:「受託」と言われる業務を担当していました。ユーザーから問い合わせを受けて国内外の検査機関とつなぐ、仲介の仕事です。
大木:これまでされてきたこととは随分違うようですが、なぜそのお仕事を選ばれたんですか?
真鍋:すぐ決まったから、というのが大きいです。
大木:やりたい、というわけではなかったんですか?
真鍋:社会に出たことがなかったので、何をやりたいのか分からなかったんです。とにかく「社会に出て普通に働く」ということをやりたかったんだと思います。
大木:研究に未練はなかったんですか?
真鍋:そうだよね。飽きたのかなぁ。そのときの心理は覚えてないんですけど。僕は不器用なんで、実験自体はそんなに得意じゃないんですよ。そういうこともあったのかな。
大木:実験に得意・不得意があるんですか。
真鍋:ものすごくありますよ。料理と同じです。レシピは同じでも細かい工程や出来上がったものは、それぞれ違いますよね。実験も個性が出ます。
大木:面白い。人柄が反映されるんですね。真鍋さんはどんな個性が出るんですか?
真鍋:僕は雑だから、失敗するんですよ。片付けも几帳面じゃない。あと、人の実験器具を勝手に使っちゃって怒られたり。
大木:自分のルールがある人からしたら、勝手に使われるのは嫌かも。
真鍋:そうなんですよ、すっごい怒られるの(笑)!
実験が上手い人は、道具の配置にもこだわってた。一度共用スリッパの向きが違うと言われたことがあって。壁に対して平行か垂直かの違いなんだけど。その時は、本当にいつもと全て同じじゃないと違和感を持つんだ、という感覚の鋭さに驚きましたね。劇薬の類もたくさんあるから、自分を守る意味でもある程度几帳面じゃないとやってられないということはありますけどね。
真鍋:話を戻しますが、とりあえず初めてのサラリーマン経験はきつかったです。でもしばらく経ったら、上司から仲介業の適性があると言われました。
大木:何年くらいやったんですか?
真鍋:5年くらいやったかな。
大木:これまでと違うことを急に始めたのに、続いてますね。
真鍋:そうだよね。働くことが初めてだったから、とにかく辛抱して続けてた部分もあるかな。
3年が経った頃からは、うまく仕事を回せるようになってきたんだけど、自分で何かを生み出せていないなという思いが強くなって。メーカーとか、あるいは何か考えて仕組み作りをしてみたいという漠然とした思いを持ち始めました。同時に、会社が自社の売り上げなどに対して行っているデータ分析に関して、もっと違うアプローチをすればいいのにとずっと考えていました。今のままでは適正な評価をされていないなと。
そんな中で、世間では「ビックデータ」という言葉が注目されるようになっていて、これは面白そうだ! 乗っかりたい! と思いました。事実を把握し、それを分析して思考できていないところが社会の問題でもあるんじゃないかと。
大木:おー! そこからデータ分析の世界に足を踏み入れるんですか?
真鍋:そうですね。データ分析ができるような仕事ないかなと思っていたら、ある企業が未経験可のデータサイエンティストを募集しているのを見つけて、そこに転職しました。
大木:どんな企業だったんですか?
真鍋:広告系の分析をするコンサルですね。社員数30人ほどのベンチャー企業です。
最初はメディア系の用語なんて知らないから、GRP(延べ視聴率)って言われてもなんなのか分からない。ベンチャーだから、育てるっていう風土ではないし、社長から「あの役に立たない奴を辞めさせろ」って言われるような感じでした。
大木:データ分析をやってみて楽しかったですか?
真鍋:楽しかった部分もあるけど、大変だった。クライアントの前で、ほとんど素人のような自分がいきなりプレゼンするわけだから。そのうちにたくさんのクライアントを任されるようになってきて、グローバル展開しているような大企業も担当したけど、だんだん危機意識が強くなってきて。そもそも素人で、大した知識もないまま続けている状態だったから。勉強をもっとちゃんとしよう、と思って。それで、学べるところはないかと調べていたら、統計とか経営工学を学べる筑波大学の社会人大学というのを見つけて、ダメもとで応募してみたんです。そうしたら受かったので、よし行こう! と。
大木:どんな試験があるんですか?
真鍋:研究計画書というのを出しました。A4で6枚とかだったかな。面接があって、その計画書について教授から厳しく突っ込まれて。後は、筆記試験とか小論文があった。研究計画書が一番大変でしたね。
大木:前職の会社にいる時に大学に通いだしたんですよね?
真鍋:そうです。今から2年くらい前ですね。仕事が終わってからキャンパスに行ってました。修士2年では修士論文を書いて卒業して、今はドクターの課程です。
大木:ドクターになるんだ!
真鍋:うまくいけばね。
大木:どのくらいの頻度で大学に行ってるんですか。
真鍋:今はあんまり行ってない。ゼミがあるから、最低週1回は行くけど。
大木:Sansanには、どんな経緯で入社されたんですか?
真鍋:社会人大学の修士を卒業したタイミングで転職するっていうのは結構多くて、そこでできたコネクションとかMBAを取得したことを使って新しい会社に行くんです。僕はそういうことは考えてなかったんですけど、ずいぶん前に登録したままになっていたエージェントから、急にメールが届いたんです。会いに行くから、話を聞いてほしいと。そこで紹介されたのがSansan。過去の登録者の中に適性のある人がいないか、洗い直していたらしいです。
エージェントからSansanの持つデータを聞いて、面白そうだと思いました。その時、転職意識が顕在化しました。ただ、Sansanのみに絞っていたわけじゃなく、他の会社も紹介してほしいと伝えて、同時に6社くらい選考を進めました。でも結局は転職を始めるきっかけになったSansanに入社することにしました。
大木:Sansanのデータを面白そうとおっしゃってましたが、最初に聞いた時にそう思ったんですか?
真鍋:僕がデータ分析を面白いと思う理由は、他の人と少し違うんじゃないかと思うんですが、社会学や経済学や心理学などの文系的な考え方を持ち込めることなんです。幅広い知識を使える、あるいは幅広い興味を生かせる。自分の好きなことを詰め込めるんです。理系だと、専門性というものをかなり狭めて限定されていて、「タコツボ化」とか言われているんですが、あるすごく特殊な小さいものを追うような、パズルの1ピースを一人一人が担当するような世界なんですよね。でも、特にビジネスで使うデータ分析っていうのはそういう細かいことではなくて、マクロな動きも仮説にどんどん組み込める。ある種の自由さがあります。逆に理系バリバリの人から見ると、乱暴で疑似科学だということになるかもしれないけど。
そういう意味で、名刺を起点にしたデータは人文的なテーマが見えて面白い。それを理系の知識と合わせるっていうことが、自分がやってみたいことに近いと思った。文系的なことと理系的なことのどちらかだけじゃなくて、合わせるってことに面白さを感じたんですね。名刺を起点にしたデータというのは、ある出会いがどのくらい経済に関係しているのかというものをちゃんと見れるんじゃないかなっていう気がしたんです。
大木:「名刺を起点にしたデータ」と聞いただけで、そこまで着想したんですか。
真鍋:まあ、そうですね。経済って結局人がやっていることじゃないですか。経済上のアウトプットって個々人の能力と比例してるって思われがちだけど、実際はもっと人と人との出会いや関係性に左右されやすくて、というかそういう出会いや関係性が「経済」そのものなんじゃないかって思うんですよね。そして人との出会いって結局偶然ですよね。経済のダイナミズムって、割と偶然の出会いで発生しているものなんじゃないかって。まあ、そんなことを研究したいなと思いました。
大木:今、そういうお仕事ができていますか?
真鍋:そうですね。そういうプロダクトの一端を担っています。これからも、経済のメカニズムとしての人の関係性に対する研究を深めていきたいですね。
今回のまとめ
Slackの「#randd now playing」 にあげる曲:韓国、台湾、中国の歌謡曲。
属性:早口で掃除嫌いの呑んだくれ(事実を並べただけだよ! 悪口じゃないよ!) 。
こぼれ話:最近、他部署からデータ分析依頼が殺到中。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。
今回はサシランチ始まって以来の長編でしたが、面白く読んでいただけていれば幸甚です!
それではまた!
text: DSOC 大木由香