2017.08.10

【どうして私がDSOCに?!】第4回「特別編!師匠にインタビュー」

こんにちは! もうすぐ誕生日! 孫六食堂に行きたい! 
DSOCの西田です。

Sansanにジョインして2カ月が経ち、会社にも慣れてきて、具体的にどういうデータがあって、何を分析することが求められるのか、少しずつ分かってきました。 
今は「リッチで面白いデータ」が目の前にあるので、とにかくなんでもデータ分析したい、という欲求に駆られていますが、改めてデータサイエンティストに求められる役割について考え直してみたいなと思いました。

そこで、今回は私が師匠と仰ぐ、あらゆる分野の研究に見識のある石川善樹さんと「科学の役割」というテーマでディスカッションをしてきました!

以下、対談形式でお楽しみください!


西 田 :僕は学部時代に「エビデンス・ベースドポリシー」という考え方に関心を持ち、データサイエンスを極めたいと思うようになりました。「エビデンス・ベースドポリシー」とは、“データ分析などの科学的根拠に基づいて政策の意思決定を行ない、より良い社会を作っていく”という考え方です。政策運営だけでなく、ビジネスでも「エビデンス・ベースド」の考え方は重要です。
今は、名刺交換のデータを分析することで社会にインパクトを与える存在になりたいと思っています。そんなとき、これまでの科学者はどのように社会貢献してきたのか知りたくなりました。後世に名を残すような科学者たちは、どのような役割を通じて社会に貢献してきたんでしょうか?

石 川 :科学者の重要な役割の一つに「限界」を提示することがあると考えているよ。「限界」を提示することで、その後の技術進歩に貢献し、産業が発達したという事例は多い。
例えば、19世紀にカルノーという物理学者は、エンジンの燃焼効率には「限界」があることを証明している。このカルノーの証明によって、開発中のエンジンが「100点満点中何点か?」ということを定量化することができるようになった。つまり、開発者たちが何処を目指せばいいかが分かるようになったんだ。それでエンジンの性能が大幅に改善されてきた。

西 田 :なるほど! 僕がプライベートで取り組んでいるファッションに関する研究において、究極の目的は「おしゃれとは何か?」を解明することです。「おしゃれさ」というのは、各個人の感覚に依存しすぎていて、普遍性を見つけにくいとされています。しかし、大量のストリートスナップやファッション誌を見ていると、どこか共通している法則があるように思えてきました。そこで、僕なりに考えていた「おしゃれの法則」をデータ分析で検証しながら、普遍的な法則を導きたくなりました。
この研究から「おしゃれの法則」が解明できれば、カルノーのようにおしゃれの「限界」を提示することができ、ひいてはファッション産業の発展にも貢献できるかもしれないということです!僕は服が好きですが、デザイナーにはなれないと思ってるので、この研究を通じて、服を作ること以外のアプローチで自分の好きなブランドがもっとクリエイティブなものになったら、これ以上嬉しいことはありません!
今では「『おしゃれとは何か?』という問いに本気で取り組んでいます」と言えるのですが、正直に言うと、善樹さんから「おしゃれを点数化する研究したら?」と提案された時は、仮にたとえ点数化できたとしても、「ファッションは自己表現なので評価されたくない」という人が多そうだなと思い、バッシングを受けるからやりたくない、というのが本音でした(笑)。

石 川 :確かに、俺が提案した時は消極的だったよね(笑)。俺としては「おしゃれとは何か?」という問い以前に、ファッションについてこれまで全く関心を持ってこなかったので、西田くんが「どうやって服の組み合わせを選んでいるのか?」が気になって、仕方なかったんだよね。

西 田 :善樹さんは、インターンシップ中に会うたびに、「今日はどうしてその組み合わせなの?」と言われてましたよね。いざ説明しようとすると、自分なりのイメージはあるものの言語化することが難しく、それがいつからか悔しくなってきたんですよね(笑)。そこから、本気で考え始めるようになりました。
そして、今振り返ると、この誰もが主観的すぎてデータで解析できないと思い込んでいる「おしゃれとは何か?」という問いに挑戦してよかったな、と心底思います。この研究に取り組むまでは、基本的に計量経済学ばかり勉強していましたが、その問いを解くために機械学習の勉強を始めただけでなく、これまで「どういう人がおしゃれだとされてきたか」という仮説を立てるために、美学や社会学、最近では哲学の文献も手に取るようになりました。そうすることで、ただ知識が身に付いただけでなく、解き方を知ることによって立てられる問いの種類、分析のアプローチの種類も増えたと感じています。

石 川 :それは良かったね! 志の高さは、視点の高さにつながるからね。「良き問い」を持てたからこそ、視点を上げ、視野を広げて、いろいろなものを吸収しようとするんだよね!

西 田 :本当にその通りでした! そこで、どうやったら人々の思い込みを取り払い、社会にインパクトを与えるような「良き問い」を立てられるようになるのか、そのポイントをお聞きしたいです。

石 川 :学問に偉大なる貢献をしてきた研究者やビジネス界・政界で成果を上げてきた人を振り返ると、前提条件を疑うことから始めている。なぜならば、物事の前提条件が変われば、見える景色が大きく変わってくるから。それを彼らは知っているんだよね。
例えば、政治家というのは「何が可能なのか?」、「何を実行できるのか?」を考えることが仕事なんだよね。未来を考える時に、現状の整理をしてそこから社会がより良くなる政策を考えていく。そうすると、現在起こっている問題に意識が向いてしまって、そうとは気付かずに前提条件にとらわれてしまう。その結果、多くの専門家が集まって議論し尽くしても、これといった解決策が出てこない。
そういう場面で、その行き詰まりを切り開くことができるのが、前提条件に気付いて、「その前提条件を無くして考えてみませんか?」と問いかけて議論を進めることができる人なんだ。多くの人は暗黙のうちに、前提条件になっている事項があることに気づけていないんだよね。
じゃあ、どうすればとらわれを生む前提条件に気付けるかというと、次の3ステップを意識するんだ。

1. 「ちょっと待て!」と対象と距離をおく!

2. 「そもそも●●とは?」と本質を問う!
3. 「ということは?」と結論を導く!

したがって、「良き問い」を立てるにはまず、「ちょっと待て! そもそも? ということは?」と考えるのがポイント!

西 田 :確かにミーティングしていると前提条件に縛られすぎて、なかなか良いアイデアが出てこないこと、議論が進まないことはよくありますね。
そんな時の3ステップとして「ちょっと待て! そもそも? ということは?」というポスターを会議室に貼っておきたいくらいです!(笑)

石 川 :あー、それいいかもね!(笑)
「ちょっと待て! そもそも? ということは?」という思考のステップは、本当に重要だと思っていて、もう座右の銘と言ってもいいくらいに愛してる(笑)。

西 田 :座右の銘!(笑)
これまで取り組んできた経済学の研究では、ある事象のメカニズムに着目して、「なぜそうなるのか」という「Why」の視点で問いを立ててきたので、「What」の視点というのはほとんど考えたことがなかったと気付きました。研究をするに当たり、色々と論文を読んでいると、先行研究の問いの立て方やアプローチに固執してしまいがちになり、新しい知見は生まれにくくなるのかなと思いました。これからは、論文を読む前に自分で考える癖を付け、論文を読みながらも前提条件を意識していきます!
本日はありがとうございました!

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「Sansanピース」をしてくれた石川先生と。


次回は、連載最終回! お楽しみに!

過去記事

▼第3回 
Sansanとの出会い

▼第2回 
ビッグデータ分析との出会い

▼第1回 
データ分析との出会い

text:西田貴紀 photo: byabya, oki

 

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