こんにちは。人事部のびんです。
唐突ですが、皆さん「マインドフルネス」という言葉を知っていますか?
Googleが開発した、リーダーシップや集中力を高めるためのマインドフルネスプログラム「Search Inside Yourself(以下「SIY」)」。Sansanは、そのSIYを2017年9月に全部門のリーダー(マネージャー)以上の社員を対象に実施しました。その取り組みについては、Webメディアでも記事として紹介いただきました。
その後、SansanではSIYを「マインドフルネス研修」として、2018年1月に全社員を対象にして実施しました。なお、SIYを全社規模で導入した日本企業は、Sansanが初めてとのことです。
もちろん私もマインドフルネス研修をしっかりと受けてきましたので、今回の記事では研修の様子を個人的な感想も交えながら伝えたいと思います。
社員の生産性向上を目指して
まずは、SIYをマインドフルネス研修として導入したきっかけについて書きたいと思います。これまでも何度かこのブログで書いていますが、Sansanの社内制度をはじめとした社員を対象とした取り組みは「社員や組織の生産性向上につながる」ことを最も重視しています。
それは、今回のマインドフルネス研修においても同様です。社員一人一人がマインドフルネスな状態になるためのプロセスを知ることで、会社全体としてのパフォーマンスが向上することを期待して実施しています。
社内のスペースでは行えないため、外部の会場を借りて、約半日ずつ2回に分けて実践しました。全社員を対象に実施するというところが、Sansanらしさの1つでもあるのかなと思います。みんな、真剣な様子でした。
ただ呼吸しているだけなのに、ちょっと不思議な感覚に
ここからは、私の感想を中心に研修の概要を紹介したいと思います。
「マインドフルネス」という状態は、脳の働きと密接に結び付いています。そこで、SIYの場合、まずは座学で脳科学の知識をインプットします。ここでは、脳のどの部位がどのような反応をしているのかを学んだのですが、学生時代から個人的に脳科学の分野が好きだった私は、話の内容に興味津々でした。
座学を終えた後は、いよいよ各種ワークを行う実践編のスタートです。ワークとはいっても、特に難しいことはしませんでした。
では、まず何をしたかと言うと……そう「呼吸」です。
自分の呼吸に意識を向け続けながら、呼吸することはとても難しかったのですが、SIYでは呼吸が全ての土台になるそうです(SIYと呼吸については、冒頭で紹介した記事で解説されています)。
私も「呼吸」に取り組んでみたものの、最初は「あのメール返さなきゃ」「家に返ったら何しようかな」と雑念が入ってきてしまい、どうしても呼吸に意識を向け続けることができませんでした。しかし、何度か繰り返し行っているうちに「呼吸を意識する、とはこういうことか」と不思議な感覚が得られるようになりました。
この感覚は、言葉で表すのがとても難しいので、気になる方は本などで情報を探してSIYにおける「呼吸」をぜひ試してみてください。
マインドフルネス研修で講師を担当いただいた、一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュートの荻野淳也さん。丁寧に分かりやすい説明で研修を行ってくださいました。
呼吸に意識を置くという、実践の始まりと終わりの合図としてベルが鳴らされました。ベルの音が、瞑想の出入口を司ります。
自分の価値観を再認識する
呼吸のほか、研修の後半には「ジャーナリング」と呼ばれるワークも行いました。
ジャーナリングというワークの目的などを説明すると、とても長くなってしまいそうなので、今回は実際に行ったことだけを紹介します。
今回は、1つのテーマにつき3分間、自分の頭に浮かんだことをとにかく書き出し続けました。「ペンを止めてはいけない」というルールがあるので、思い浮かばなかったら「ない」とか「出ないよー」と書きます。例えば、「私が本当に大切にしていることは、○○○」この「○○○」にあてはまる言葉や思いをひたすら書き続けます。
今回の研修では、3つのテーマについてジャーナリングを行いました。そこに書かれたことから共通する言葉や考えを整理して、最終的に自分の価値観を再認識することにつながったと思います。
3分間、とにかく手を止めない。かなり頭を使うワークでしたが、言葉や考えが自分の奥底からポッと出てくるような感覚を味わえました。
生産性の向上につながるならば、新たな取り組みを積極的に取り入れる
最後に、マインドフルネス研修としてSIYの全社導入を進めた、人事部の我妻小夜子から預かったコメントを紹介します。
担当者のコメント
人事部 我妻小夜子
今回の全社員を対象としたマインドフルネス研修は、全社員向けに行う前に実施したリーダー以上を対象としたプログラムで行った内容の中でも、特に重要なエッセンスをまとめた内容で行いました。
取材いただいた記事でも話した通り、SIYが万事の特効薬とは思っていませんし、全員に同様の効果があったとは思っていません。しかし、自分自身を見つめ直す時間を意識的に作れたことと、全社で「マインドフルネス」を共通言語にして会話が展開できるベースができたという点に大きな意義があったと思います。
また、こうした取り組みをきっかけにして、仕事に向き合う姿勢を高めるために、今回の研修で得たことを継続したり、自分に合う別の方法や最新の取り組みについて調べたり触れたりする機会を作ってもらえたら、と思います。
私が所属する人事部内のEmployee Success Teamでは、事業成長のカギを握るのは社員一人一人の力にかかっていると考えて、個人やチームとしての成果を最大化するために必要なエッセンスに日々フォーカスしています。
マインドフルネスは、心身の健康や幸福度、自己認識力など、ビジネスシーンでのアウトプットを高めることに効果が期待できるものとして導入しました(効果はプライベートにも期待できるようです)。
これからも社員の生産性向上につながるであろうと期待できるものについては、常に気を配っていきたいと考えています。
マインドフルネス研修(SIY)の導入背景について、参加した社員の前で説明する我妻(写真奥、ステージ左)。
今回の研修は、短期的というよりも中長期的に効いてくる内容だなと感じました。私自身、まだまだ呼吸に意識を向けている最中にあれこれと雑念が入ってきてしまい、そこまでうまくできていません。
今回の研修で講師を担当してくださった荻野さんによると、「エレベーターの中で一呼吸」とか「大事なプレゼンの前に一呼吸」と、一呼吸でもいいので継続していくことによって効果が出てくるとアドバイスをいただきました。少しずつでも、今回の研修で得られたことを続けていきたいと思います。
text: 伊東敏 photo: 安藤早紀、馬場健太