Sansan株式会社には、経験したことのない物事にも果敢に挑戦していくカルチャーがあります。挑戦に伴うさまざまな変化がある中で、事業成長とともに自己成長を遂げているメンバーも多いですが、時には自身のキャリアの壁にぶつかるメンバーもいます。今回はキャリアや仕事について、社内のキャリアコンサルタントに相談できる社内制度「キャリトーク」をご紹介します。制度の運営を担当し、自身も働き方の変化や産休・育休を経て、キャリアについて悩んだ経験があるという人事本部 Employee Success(ES)部の佐藤琴美に、創設の背景や思い、相談事例を聞きました。
PROFILE
佐藤 琴美Kotomi Sato
人事本部 Employee Success部 Learning & Developmentグループ 兼 DEI & Wellnessグループ
2016年にSansan株式会社へ入社。中途採用およびES領域を経験。家庭の事情により休職や雇用形態の変更をしつつ、2022年にキャリアコンサルタントの国家資格を取得。育休を経て2024年に復職。社内公募制度Jump!の運用や個人面談のフォローを行う。
主な目的は対話や壁打ち。
相談後の道は、新たな挑戦、現状維持、転職など
十人十色
まずは、キャリトークについて教えてください。
キャリトークとは、キャリアや仕事に関する悩みや迷いを抱えた際に、気軽にカウンセリングを受けることができる社内制度です。キャリアコンサルタントの国家資格を持つ社内の担当者が、相談者の話を聞きながら悩みや課題に対して壁打ち相手となります。具体的な解決方法やソリューションを提案して解決するというよりは、対話を主とした相談の場です。もちろん相談内容は、一切口外しません。
申請は社内のポータルサイトからフォームに入力するだけで簡単に行えます。オンラインかオフライン、どちらでも受けることができ、回数は無制限。中には何度も継続して利用するメンバーもいます。現在カウンセリングを行う担当者は4名。それぞれバックグラウンドや担当業務が異なるため、相談者は自身の状況や属性にフィットする担当者を選んで申請することができます。
キャリトークでは、どんな風にサポートするのでしょうか?
前提、私たちは、転職や配置転換を勧めたり、良し悪しなどの答えを与える「アドバイザー」ではありません。「伴走者」というイメージが近いかなと思っています。 相談者の将来への不安やキャリアの悩みに対して、共に考えながら自己理解を深め、可能性や選択肢を発見できるようサポートします。そのプロセスを経ることで、自信を持って相談者が主体的にキャリアの選択ができるようになることを目指しています。
そもそもSansanのキャリトークでは、「キャリア」という言葉をビジネスとしてだけでなく、より広義な「ライフキャリア」として捉えています。肩書や職種、組織的地位などの外的キャリアにとどまらず、内的キャリアと呼ばれる「仕事の動機付け」や「大事にしている価値観」などを、ご本人と一緒に確認していくことが特徴です。
さらにもう一つの特徴は、社内制度でありながら相談者のプライベートなことや、場合によっては転職に関することまで相談に乗ります。本人のキャリアとSansanの事業成長は、重なる部分が大きければ大きいほどお互いにとって幸せですし、それこそがSansanのありたい姿です。 とはいえ、相談者にとってSansanライフはあくまで人生の一部分ですし、Sansan社員の多くは意思と意図をもって「自らのキャリアをデザインしていく」意識が高いように思います。人事としてもそのような姿勢を尊重し、より良いキャリア形成を後押ししたいと考えています。
キャリトークはどのような経緯で始まったのでしょうか?
2019年に社内異動を公募する制度「Jump!」を創設しました。これは私たちのバリューズにある「意思と意図をもって判断する」、「変化を恐れず挑戦していく」を前提とし、自分のキャリアを自ら切り拓くメンバー、変化を恐れずに挑戦するメンバーを後押ししたいという目的で生まれたものです。
当初はJump!の中に、キャリアコンサルタントの資格を持つメンバーがキャリアについて相談に乗る「キャリアアドバイス」という仕組みがありました。その後、急激に組織が拡大していく中で、今までとは違った悩みを抱えるメンバーが増えている状況でした。そんな社内の悩みやキャリアアップに関するニーズを受け止める形で、「キャリアアドバイス」を「キャリトーク」へと名前を変えてJump!から独立させることになりました。
私自身、ただがむしゃらに走ってきた自分のライフキャリアを改めて考え直し、今後のためにキャリアコンサルタントの資格を取得した経緯があります。Sansanに入社してから人事として一定の達成感を持ち始め、停滞を感じるキャリアの「踊り場」を迎えていたころ、想定外の家庭事情の変化があり、仕事に100%フルコミットしていた状況から仕事とプライベートの割合を半々にせざるを得ない状況になったのです。理論としてキャリアを学ぶと、自分のキャリアの踊り場はただの「停滞」ではなく、必要な「転機」だったと気づきました。これは誰にでも当てはまることだと考えています。
そして2022年、人事部では「人と組織の可能性を拡げる」というミッションを掲げました。キャリトークもその理念のもと、一人ひとりが自分らしいキャリアを描ける環境を支える役割を担っています。
「ここでの仕事はやり切った」?
目の前にある成長機会への気づき
実際にキャリトークではどのような相談があるのか教えてください。
新卒でSansanに入社して数年目にキャリトークを利用したAさんは、業務では一定の成果を挙げて「やりきった」という思いがある一方で、「最近、成長している実感があまりなくなってきた」「今後のキャリア形成について漠然とした不安がある」と相談に来てくれました。
キャリトークでは、まずはAさんに自分史を書く提案をしました。それを基に、今までAさんが経験してきた出来事が今のAさんの価値観にどうつながっているのか、自分の強みや選択、成果などを具体的に聞きながら言語化していきました。
その結果分かったのは、Aさんが成長を実感する場面は、「新しい知識を習得すること」や「目標を達成すること」、「新しい仕事をすること」であること。そして、Aさんのキャリアアンカー(キャリアを考える上で譲れない軸となる価値観)は「仕事の期待役割を通して、自分の市場価値を上げていく」だということが整理されました。
カウンセリングの中で言語化を促進するために、どのようなアプローチをするのですか?
先の自分史を振り返る他に、今回の相談では、藤原和博さん(リクルートなどを経て義務教育初の民間校長を経験。キャリアについて独自のメソッドを提唱する)の、「キャリアの大三角形を作る」という話を紹介しました。異なる三つの領域でキャリアの軸を作り、大きな三角形を確立することで市場価値が高い人材になることができるというものです。
また、他の領域へも視野を広げ、視座を高く持つ「π型人材」という考え方や、キャリアに関する考え方として、目標を立てて自己研さんしていく「山登り」と、目の前の期待役割に取り組んで成果を出し続ける「いかだ下り」という概念があることなどを伝えていきました。「いかだ下り」のタイプだったAさんは、自分が大事にしている価値観やキャリアにおける立ち位置を再認識し、結果として不安を解消しました。その後、新たな経験を積みながら活躍されています。
異動・離職・転職をしても、しなくても。
率直な気持ちを話せるのが魅力
異動や転職の相談をしたいというケースもあるそうですね。
はい。例えばBさんは、キャリトークをきっかけに別の部門を兼務することになりました。BさんもAさんと同様に、現在のポジションで自分が納得できるキャリアを積めるのだろうか、と考える中で答えを出し切れずにいたそうです。転職も視野に入れる一方で、「入社して比較的日が浅かったことから、キャリアに傷がつくのではないか?」といった不安も抱えていました。
カウンセリングを通して自身の強みや不安のタネを言語化していくと、「データに触れる仕事をしたい」という希望が浮かび上がってきました。そしてその思いをSansan内でかなえるべく、自身で希望部署との兼務を上長に相談しました。自分の得意領域を生かせる環境が整い、現在はやりがいを強く感じながら仕事をすることができているそうです。
キャリトークでは、心理的安全性の高い環境で率直な気持ちを話せることが大きな魅力です。Bさんは最終的に「転職はしない」という結論になりましたが、たとえ相談者が転職を考えている場合でも、それを否定することなく、次のキャリアを一緒に考えていくサポートの姿勢は大事にしています。
産休・育休からの復帰のタイミングも、キャリアを再考する大きなタイミングです。そのような相談はありますか?
Sansanには男女ともに若手から子育て世代が多いので、そのような相談はよくありますね。例えば営業職の女性Cさんは、仕事内容も組織も大好きで働き続けていきたいと思う一方で、結婚の予定を前に、産休・育休を経て復職するイメージを具体的に持つことができないと悩んでいました。同じチーム内には産休・育休を経て復職している女性社員がいなかったこともあり、不安を持っていたのです。
私自身も、産休・育休から復職した経験があります。そこでまず、Cさんには自分の経験を共有しました。その上で、今の仕事や組織のどんなところが好きなのか、具体的にどのようなことが不安なのかを一緒にひもとき、解像度を上げて問題点を言語化しました。さらに、他のポジションに移る可能性や、働き方の可能性とスキルアップの両立などを検討するために、Jump!の募集ページを見ながら相談したり、組織をより具体的に知る意味合いでHRBP(Human Resources Business Partner) の担当者を紹介したりしました。
そういった壁打ちを通じて、Cさんの不安は少しずつクリアになっていったように思います。最終的に本人からは「ゆくゆくは自分が組織の中での女性活躍のモデルになれればうれしい」との言葉もあり、前向きに話が終わりました。
さまざまに押し寄せる変化の波
楽しみながら乗りこなそう
今現在、キャリアに不安を抱いている方へ向けて、メッセージをお願いします。
「変化はストレス」といいます。転職や異動も大きな変化の一つ。期待と不安の中で誰しも少なからずストレスを感じていると思います。またSansanは、プロダクトやグループ会社なども含め組織が大きくなり、メンバーもどんどん増えています。「変化を恐れず挑戦していく」Sansanの変化の波を楽しみながら乗りこなすことができればベストですが、ときにはその波に飲まれそうになることも当然、あると思います。
悩み、立ち止まることは、悪いことではなくむしろチャンスです。今その節目にいる方は、大いに悩み、使えるものは使いながら、自分自身や今後のキャリアの可能性にとことん向き合った方がいいと自身の経験からも実感しています。
直属の上長や同期入社の同僚などとは話しづらいことも、キャリトークではSansan社内以外の話でも何でも聞きますし、一緒に考えます。Sansanでのキャリアも個人の人生の1ページですから、悩んだときの拠りどころ、壁打ち相手として活用してもらえたらうれしいです。一人ひとりが「自分らしいキャリアを描ける」カルチャーと、それを実現するための仕組みが整っているSansanで、ぜひ一緒に新たなキャリアを積み重ねていきましょう。
他にも、働きやすい環境を整えるための社内制度が多くあります。詳しくは以下をご覧ください。
Sansanは共に働く仲間を募集しています。あなたのキャリアも次のステージへ。