皆さん、J-WAVEで放送しているSansanのラジオ番組「Sansan MEET THE INNOVATION!」は聴いていただけましたか? 今回は、この番組の企画や番組制作にも携わるブランドコミュニケーション部の小池真之介に、日々の業務から、ラジオ番組の話、人生を変えた出会いのことまでいろいろな話を聞いてみました。
プロフィール
小池真之介
ブランドコミュニケーション部 ブランドエディター
2008年から出版社で雑誌編集者としてキャリアをスタート。2011年からはフリーランスの編集者としても活動しながら、大手ゲーム機メーカーで映像配信サービスなどにも携わる。2014年に出版社での勤務を再開し、中央省庁へ出向。2年間の任期を満了した後に、雑誌編集を再び担当する。2017年、Sansan株式会社に入社。編集者としての経験をバックグラウンドとして、ブランディングやマーケティングを担当する。
編集をするのが
雑誌や本から会社に変わっただけ
はじめに、自己紹介をお願いします。
ブランドコミュニケーション部でブランドエディターとして勤務しています、小池真之介です。前職までの編集者としての経験やいろいろなスキルを新しい環境で発揮したいと思い、2017年にSansanへ入社しました。「ブランドエディター」って、あまり聞き慣れないポジション名だと思いますが、どんな業務をしているんでしょうか。
世の中にはもうあったのかもしれませんが、Sansanでは私が勝手に作ったんで、聞き慣れなくて当然かと思います(笑)。ブランドエディターは、編集者としてのバックグラウンドを基にして、テキストコミュニケーションを設計しながら、ブランディングやクリエイティブの制作などを担当するポジションです。領域はとても広くて、関わり方もさまざまです。Sansan株式会社のブランディングはもちろんですが、Sansanのデータ統括部門「DSOC」のブランディング、インナーブランディングや採用ブランディングなどにも、私は携わっています。
一言でブランドエディターを説明するなら、「Sansan株式会社」という媒体を編集するポジションだと話しています。雑誌でいえば、「一つのテーマを徹底的に掘り下げる」「美しい写真で表現する」「必ず図解する」といったような編集方針があります。Sansanでいえば、Mission、Values、Premiseで構成された「Sansanのカタチ」がそれに当たると思っています。
Sansan株式会社という会社を構成する全てのヒト・モノ・コトを集めて、整理して、ブランドとしてまとめる。そして、それを社内外へと広めていく。これまでは雑誌を作ってきましたが、それが会社に置き換わっただけだと思っています。だから、考えていることや考え方は、本を作っていたときとあまり変わらないです。
編集するものが、雑誌からSansanという会社になったと。確かに分かりやすいですね。私は、小池さんと言えば「オリジナルクラフトビール」のイメージがとっても強いんですが、あれもブランドエディターの仕事ですか?
オリジナルクラフトビールは、現在はイベントクリエイティブやノベルティーの一つとして業務の中で作っていますが、最初は違いました。JuiceというSansanの取り組みの中で思い付いて、始めたんです。当時のJuiceは、ICEという名前の取り組みでしたが、業務から離れて自由にクリエイティブを作ったり、ディスカッションできたりする活動時間が毎週3時間あったんです。その中で、あるデザイナーのメンバーと話していたときに、何となくビールに話題が移りました。それで「じゃあ、次のイベントに合わせて造っちゃいますか」と始めたんですよね。Sansanのサテライトオフィスがある、徳島県・神山町のブルワリー「KAMIYAMA BEER」と共同開発。Sansanのミッションをテーマにして、ラガー酵母とエール酵母という2種類の酵母を使用して醸造したオリジナルクラフトビール。
何気なくしていた話の中でひらめいたアイデアであっても、そこから「なぜクラフトビールを造るのか」「Sansanのクラフトビールはどんなものなのか」ということを整理して、ちゃんとブランドとして、クリエイティブとして成立させること。それが、ブランドエディターが果たす役割の一つだと思っています。
東京都八王子市にあるShared Breweryと共同開発したオリジナルクラフトビール。こちらも2種類の酵母を使って醸造している。
Sansanのミッションから生まれたラジオ番組 -はじまりは、ミッションのアップデート
番組ロゴやキービジュアルのデザインは、Juiceに所属するデザイナーのメンバーが手掛けている。放送されたコンテンツの公開は、現在終了しています。
いよいよ本題のラジオ番組「Sansan MEET THE INNOVATION!」について聞きたいと思います。この取り組みも、かなりビックリさせられましたが、スタートした経緯を聞かせてください。
前職のころからお世話になっていて、Sansanの社員の名刺や社員証に載っている写真の撮影をしていただいている写真家、ハービー・山口さんに紹介されて、ラジオ制作会社の方と出会いました。その後、何度かその方とお会いしている中で、たまたまSansanのことを改めて説明する機会がありました。ちょうど、Sansanのミッションが「ビジネスの出会いを資産に変え、働き方を革新する」から「出会いからイノベーションを生み出す」にアップデートされた時期です。Sansanのことや「出会いからイノベーションを生み出す」というアップデートされたミッションを説明している中で、いくつかの例を挙げながら話をしていたんですが、その時にSansanのミッションをラジオ番組のテーマにすることを思い付きました。
例えば、ビートルズ。彼らが出会わなければ、私たちが聴いている音楽は全く別のものだったかもしれない。また、これまでに番組で取り上げた「USB」「バーコード」「リチウムイオン電池」など、私たちがいまや当たり前と思っているようなモノ・コト(イノベーション)が生み出された経緯を調べていくと、そこには「出会い」がちゃんとあったんです。それまでは、何となく「たくさんあるだろうな」とは思っていましたが、実際に調べてみると、本当にそうだった。
確かに。人の出会いは、何かを生み出すきっかけになっている印象はありますよね。
便利で生活に欠かせないけど、もはや「当たり前」になりすぎて、その存在に対して驚きやありがたみ、疑いといった感情すら抱かなくなっているもの。「イノベーション」って、最後にはそういった存在になっていくものだと、Sansanは考えています。その考えをベースにして、Sansanのミッション、そして「出会い」「イノベーション」をテーマにしたら、Sansanがどんな会社で、どんなことをしているのか、そして何を目指しているのか、ラジオ番組を通して伝わるんじゃないかなと思いました。そこからは、制作会社の方と一緒に企画を固めて、最終的にはJ-WAVEさんでラジオ番組にしていただくことになりました。
このラジオ番組自体が「出会い」から生み出されたんですね。テーマ選びとか、どうやって制作を進めているんですか?
オフィスとか家の中など、そこら中にあるものを見渡して、いまの暮らしにおいて当たり前だと思っているモノやコトを探しています。制作会社の方との打ち合わせでは、そうやって見つけたテーマをそれぞれが持ち寄ったり、テーマになりそうなモノやコトをとりあえずひたすらに挙げ続けたりしています。テーマの候補案が出たら、イノベーションが生み出されるまでのストーリーを史実や記録から調べて、そこに「出会い」を探します。諸説あったり、裏付けが取れなかったり、英語の文献しか見つからないものもあったりするので、行ったり来たりしながら進めています。
日常生活において意識されないものをあえて探すこと、文献を調べるのも大変そうですね。来週からは、もっとありがたみを持って聴かせてもらいます(笑)。
制作側のことなんか考えず、楽しんで聴いてもらえれば大丈夫です(笑)。Juiceでのチャレンジ。人生を変えた出会い
少し話題を戻して、Juiceについて改めて教えてください。最近は、Juiceの活動としてどんなことをしていますか?
Juiceに所属するメンバーも40名を超えたこともあって、最近になって事務局が立ち上がり、今は事務局のメンバーとして活動することがメインになっています。Juiceの活動については、それぞれの自由な解釈があっていいものですし、必ずしも何かを作らなきゃいけないとも思っていませんが、私は自分が活動する上では「やったことないことにチャレンジする」ということを活動のテーマに据えています。せっかく業務から離れて、自由に何かできるなら、慣れていないことは大変かもしれませんが、やったことがないことを選んできました。得意なこと、経験していることなら、業務上で発揮する機会が作れるとは思っているので。
そういったJuiceという活動の場があったおかげで、業務上では接することのないメンバーとコミュニケーションする機会も生まれましたし、オリジナルクラフトビールやSansanの会議室やイベントで使っているオリジナルペットボトルの水とか、いろいろなノベルティーの制作やプロジェクトをスタートすることができました。
オリジナルペットボトルの水は、来客時の会議室やイベントなどで活用されている。
やろうと考えた人がいたとしても、誰もやりきらなかったこと。そっちの方が、Sansanらしさがあっていいかな、と思っています。「自分たちで作れるの?」と言われましたが、クラフトビールを造った流れで、ビールサーバーもホームセンターでイチから作りました。やろうとする人も、やりたい人も、そんなにたくさんはいないとは思いますが。
本当に何でも作りますね(笑)。今後、Juiceをどうしていきたいですか?
Sansanのクリエイティブ制作のほとんどに、Juiceのメンバーが携わっていることを広めたいです。Sansanに入社する前の私は、事業会社がクリエイティブの機能をインハウスに置いていること自体にビックリしたんです。それまでは制作を依頼されることもあって、事業会社は外部に制作を依頼するものだと思っていたので、そういった職種の人が活躍する場所がないと思っていました。だからこそ、私で言えば「編集者としてのキャリアが生かせる場は、何も出版社や制作会社だけじゃないぞ」っていうことを未来の仲間はもちろん、社会へ伝えることできたらなと思っています。
最後の質問です。ラジオでは、イノベーションを生み出した「出会いのストーリー」を発信していますが、小池さんの人生を変えた出会いってありますか?
人生を変えた出会い……。難しいですね。強いて言えば、高校3年生のときですかね。当時は、高校を卒業したらニューヨークに行きたいと思っていました。「百聞は一見にしかず」ということで、とりあえず勢いでニューヨークに行ったんです。そのときに、初めて自分の職業を「編集者」と答える方に出会いました。結局、その人に会ったことがきっかけで、編集者っていう仕事自体を知りましたし、編集者になるという人生の選択肢が生まれました。だから、その人ですかね。命の恩人だと思っていますし。
命の恩人って、どういうことですか?
出国の2・3日前に、ホテルが取れてないことが発覚したんです(笑)。それなりにできるつもりだったんですが、今からしたら英語が全くできなくて。メールを読み間違えていたんです。それで、現地の日本人が「売ります」「買います」「ルームメイトの募集」といったような内容の投稿をするインターネットの掲示板に「ニューヨークで泊まるところを緊急で探しています」って書き込みをしました。そしたら連絡をくれたのが、その人だったんです。宿泊先の紹介と手配をしてくれました。その後、現地でお礼もしたいと思ってお会いして、そこでいろいろな話を聞いているうちに、編集者であることを知って、いいなと思ったんです。その方は、ガイドブックである地域の担当をされていたんですが、その方の切り取り方や表現次第で町の見られ方や感じられ方を変えてしまう、ものすごく重要な仕事だなと思ったんです。その方とは、実際に編集者になってからも何度か仕事を一緒にしましたし、今でも交流がありますよ。
最後の最後に、すごい話がきましたね……。「出会い」の大切さを改めて感じました。その状況で編集者の方に出会うなんて、奇跡に近い確率だと思います。今日はありがとうございました。ラジオ番組で紹介される出会いのストーリー、これからも楽しみにしています!
こちらこそ、ありがとうございました! Sansanのミッション「出会いからイノベーションを生み出す」という言葉だけを読むと、何だかとてつもなく壮大なことのように感じてしまう方がいるかもしれませんが、ラジオ番組で紹介しているように、これまでも歴史の中でたくさんのイノベーションが出会いから生み出されてきました。今後も起こるであろうイノベーションにつながる出会いに、今後はSansanが介在していたい、そんな気持ちを込めて、これからも番組を作っていきます。これまでに放送された「Sansan MEET THE INNOVATION!」のエピソードは、radikoのタイムフリーが終了した後も、番組の公式Youtubeチャンネルや各種ポッドキャストなどでも聴くことができます。ぜひ聴いてもらえるとうれしいです。
Sansan MEET THE INNOVATION!
ラジオ局:J-WAVE(81.3FM)放送時間:毎週日曜日 8:30頃〜(毎週日曜日6:00〜9:00放送「MAKE MY DAY」内)
ナビゲーター:宗方 脩
※ 放送されたコンテンツの公開は、現在終了しています。
interview & text: ブランドコミュニケーション部 長倉紀子 photo: 鈴木規仁、プロダクト戦略開発室 高橋淳