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会社の成長を一段押し上げる、新しい組織体制と働き方

こんにちは、mimi編集部です。
今回は、Sansan株式会社の経営陣のCHRO(最高人事責任者)の大間祐太と、プロダクトの責任を担うCPO(最高製品責任者)の大津裕史にインタビューを行いました。
当社が10月に発表した新しい働き方、そして新たな組織体制について、その背景や、Sansanのミッションの実現へどんなストーリーを描いているのか。取材を実施したのは、新しく開設した新エリアです。

プロフィール

大間 祐太(写真左)
執行役員 CHRO

人材系企業で採用コンサルティング事業の立ち上げを経験し、その後独立。取締役として採用領域のベンチャー企業立ち上げに携わる。2010年にSansan株式会社へ入社し、営業部門のマネジャー、人事部長を務める。現在はCHROとして、人材価値を高めるための人事戦略を指揮する。

大津裕史(写真右)
執行役員 CPO

株式会社ビービットにて、デジタル領域を中心に企業のコンサルティングを手掛ける。2010年に株式会社WACULを創業し、代表取締役に就任。ウェブサイトの分析から改善提案まで行う人工知能を開発・提供する。2018年にSansan株式会社へ入社し、CPOとしてプロダクト戦略を指揮する。


創業以来続く事業部体制を廃止
新たな「マルチプロダクト体制」へ

まずはじめに「マルチプロダクト体制」について、従来の体制との違いは何ですか?

大津:これまではSansan事業部、Eight事業部などの事業部に分かれ、その事業部内に営業や開発、マーケティングなど各機能のロールを担うメンバーが所属していましたが、今回事業部制を廃止し、新しい組織体制を作りました。
新組織の「マルチプロダクト体制」は、「Unit」と呼んでいる、プロダクトごとの組織をつくり、それぞれが開発を行い、集中的にプロジェクトに向き合える形になりました。
それに伴い、プロダクトを広めるために必要な営業やマーケティングといったロールに関しては、Unitに所属するのではなく、「ビジネス統括本部」に集約しています。一方でエンジニアとデータ統括組織の研究開発機能は「技術本部」に集約。そこから各プロダクトに対応できるような体制になりました。

今、このタイミングで「マルチプロダクト体制」への移行したのはなぜでしょう?

大津:大きく分けて2つの理由があります。ひとつは向き合うプロダクトが増えたことです。これまでクラウド名刺管理サービス「Sansan」と名刺アプリ「Eight」という2つのプロダクトをメインにした状態から、直近2年くらいで多くのプロダクトビジネスに向き合わなければならなくなりました。
さらにプロダクトの観点から物事を考える人をもっと増やさなければという思いがありました。
私は3年前に入社し、CPOになったのですが、横断的にプロダクトに向き合い、コミットする役割としては、私が第1号だったんですよね。プロダクトがこれだけ増え、人も育成しなければならない今、プロダクトに向き合える人材を増やしたいという採用育成面から考えた結果でもあります。

こういった体制の会社は今増えているのでしょうか?

大津:国内問わず多くのプロダクトを開発する企業、M&Aを行う企業はこのような動きが多いと感じます。

現在、いくつのプロダクトUnitがあるのでしょうか?

大津:CMにも打ち出しているクラウド請求書受領サービス「Bill One」という新しい柱をはじめ、9つのユニットがあります。

エンジニアの技術力を一段押し上げる
新組織体制

マルチプロダクト体制は、事業の成長にどのように貢献しますか?

大津:プロダクトの改善スピードが上がることで、プロダクトが提供する価値が高まることを期待しています。あとは新陳代謝の面でもメリットがあるのではないかと思っています。
つまり、世の中の需要と合わなくなってきたプロダクトに対して、必要以上にリソースを割かなくて良くなるということです。プロダクト事業部内に営業や開発、マーケティングなどたくさんの人材を置いている場合、そのプロダクトを閉じるという行為が、そこにいる人間の仕事をなくしてしまう行為とイコールとなり、プロダクトの提供を必要以上に続けてしまう、無駄が生まれてしまうという可能性があります。

それに対して、Unitは?

大津:専任のメンバーが集まっているUnitの場合、例えば事業的にプロダクトの価値がないと判断されれば、ビジネス統括本部もそれに伴って力点を変えます。こういった自然淘汰によって、会社のもつリソースが無駄になりづらい。
ただし、営業に担がれるか否か、プロダクト間の明暗も分かれやすいことから、プロダクト同士の競争も激しくなるとは思います。ですが、そのことが最終的には、会社全体の成長をドライブするのだと考えています。

大間さんの視点から「マルチプロダクト体制」に期待することは何ですか?

大間:メンバーの成長観点で見ても、エンジニア組織の伸び代が大きくあると感じています。これまでのようにプロダクト事業に専属していると、「Sansanのエンジニア」、「Eightのエンジニア」と分かれていました。
ですが、「マルチプロダクト体制」では全エンジニアが技術本部というひとつの箱に集結しているので、ひとりのエンジニアがさまざまなプロダクトに関わる機会が増えるのと同時に、広く技術に触れることが可能になります。これは、エンジニアとしての経験値、技術力を高める点でもメリットですし、プロダクト開発を横断してアサインできたりと、自ら学ぶ機会を増やせるのではと思っています。
加えて、エンジニア同士のコミュニケーションが円滑になる点も期待しています。新体制は、エンジニアのレベルを高めますし、エンジニア組織の成長を一段押し上げる形になっています。
大津:その通りだと思います。私は本来、会社とプロダクトは一心同体ではないと思っています。あるプロダクトが他の会社に買収された実例を見ても、会社が変わっても、そのプロダクトは力強く成長し、進化することもあります。
逆に、会社としてどうするかという意思決定とプロダクトとしてどうあるべきかの意思決定を密にしすぎると、物事が複雑になっていってしまいます。
事業部制というのは、その事業内にさまざまな役割の人材がそろっていることから、事業部自体が小さな会社のようになります。そうするとプロダクトの意思決定と、事業部という小さな会社のような組織での意思決定が密になりやすいんですよね。
先ほどの大間の話にもあったように、エンジニアの採用や育成、エンジニア同士の交流をどう促進するのかを会社として考えた時に、違うプロダクトのエンジニア同士が交流した方がいいという結論を会社が出しても、事業部制の場合、それが自分の所属する事業にどう役に立つのか、と反発が出てくる可能性もあります。そういった小回りの効かなさがあるのは事業部制のデメリットだと言える点です。
ですが、この問題は実は制度うんぬんの話ではなくて、本来は「プロダクトはプロダクトの意思決定ができるか、会社は会社の意思決定をスピーディに思い切ってできる環境か」が大事なことで、当社においてはその選択が、Unitという組織だったということです。

マルチプロダクト体制に移行した利点はすでに感じていますか?

大津:良かった点としては、エンジニアがプロダクト開発に掛ける時間が目に見えて増えていることや、プロダクトについての議論のスピードも格段に上がっている点が挙げられると思います。
また、社長の寺田がプロダクトのトピックについて、誰と話せばいいのかがはっきりしたことでダイレクトにプロダクトに向き合いやすくなったと思います。議論のスピードやダイレクトさについては、マネジャーも手応えを感じています。
課題としては、プロダクト単位に意思決定をするので、プライシング戦略含めプロダクト本意な意思決定も出てきやすい点でしょうか。そこは、私たちが、会社としてのバランス等、横断的に配慮していく必要を感じました。今後取り組んでいきます。
大間:こういった課題は一時的なものだとは思いますが、それらを解決し、うまくまわり始めたら、新体制は確実に会社の成長を後押しすると考えています。

メンバーの働き方は
経営方針や経営戦略の根幹にあるもの

新体制への移行と同時に、オフィスで働くことを軸にしながらリモートワークを併用する新しい働き方も発表されました。

大間:私たちは「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとし、「働き方を革新する」ことを根本的なスタンスとして発信してきた会社です。当然、自社の働き方についてもイノベーションを起こしていくべきだという前提があります。
新しい働き方については創業以来取り組んできました。例えばリモートワークも10年前からチャレンジしていたんです。
当時、企業誘致をしていた徳島県の神山町に縁があり、Sansanのサテライトオフィスとして「Sansan神山ラボ」を設置しました。当時私は営業だったのですが、その時に7人の営業メンバーと共に神山ラボに出張し、一週間、あえて神山ラボから関東圏の顧客に対してのオンライン営業に挑戦したことがあります。この時は「オンライン営業しかしない」と決めて、このやり方がどこまで通用するのか、どれくらいのことができるかを模索したのです。

10年前とは早いですね。

大間:もちろん当時はそんなことしている会社は珍しかったですし、理解を得られないことも多々ありましたね。営業は対面するのが当たり前、お客さまからは当然「営業なのになぜ来ないんだ!」と否定的な声もいただきました。
ですが、「働き方も含めてチャレンジしているんです」とお伝えし、結果としてリモートでも成果を出せる、という手応えをこの時に得ることができました。
「Sansan神山ラボ」の設置をきっかけに在宅勤務の制度「イエーイ」という制度を作りました。ちょっと名前は軽いんですけどね(笑)。このように早くからいろいろな働き方を試してきたこともあり、今回のコロナ禍では、リモートに対する耐性がすでにあったと思います。

コロナ禍においては、出社のルールはどう決めてきたのでしょうか?

大間:9段階の勤務コードを細かく決めて、政府の要請や感染状況によって出社と在宅を切り替えながら対応していました。

そのような状況下で働き方をアップデートしたことには理由がありますか?

大間:コロナ禍、そしてこの先と確実に世の中が変わっていく中で、会社としてはいつまでも暫定の働き方を用いるのではなく、何を大切にして、どういう働き方をするのかを決定し発信する必要があると感じていました。
働き方は、今後会社がどうアクセルを踏み進んでいくのかに関わる、経営方針や経営戦略の根幹的な部分です。
本当はもっと早いタイミングで発信したかったのですが、状況が刻一刻と変わる中で働き方の大方針は簡単に決められることではなく、約1年かけて経営会議で議論を行い、ようやく方針を固め、時期を見て発表できる形となりました。

アップデートされた働き方は、完全なリモート勤務ではないのですね。

大間:完全なリモートではなく、「エンジニアやデザイナーなど、クリエイティブ職は週1日または3日の出社のどちらかを選べる、セールスやマーケターといったビジネス職は週3日の出社を基準とする」と決めました。
週に何回リモート可、とするのではなく、週に何回「出社」としたのも当社のカルチャーでありメッセージで、これはSansanとしてオフィスの位置付けを大切にしおり、今後も引き続きオフィス・セントリックな働き方をしていこうというものです。
ミッション、ビジョンの実現に向けて全員で同じ方向を見て走っていこうとする中で、メンバーが一堂に会するオフィスは当社にとってとても大切な場所だと考えているんです。
大津:私は今回の働き方のアップデートに際して、議論する側にも加わりましたし、いちメンバーとしての立場で見てきました。そこで改めて感じたのは、人の価値観は環境によって大きく変わるということです。
私もSansanに入社する前は会社を経営していたので、身をもって感じるのですが、会社の意思決定は、個人の決断の延長ではないということです。私個人が「これが面白いからやろう」と決めることと、会社としての最善は、別の話です。
つまり、会社の意思決定の主語は当然ながら会社で、経営陣が会社の方針を語る時に使う主語は常に会社です。
とはいえ、このことを最初からメンバーが理解することは難しいことです。メンバーが、仕事について語る時「私はこんな仕事がしたい」「私はこんな生活がしたい」「私はこんな働き方がしたい」と、主語の多くは「私」です。もちろん、これが悪いと言っているのではありません。それぞれがそれぞれの人生を一生懸命生きているのですから、「私」がどう思うかを大切にするのは当然のことでしょう。
ですが、会社の成長を考えた際に、メンバーの中に会社を主語にした考え方や立ち居振る舞い、意思決定の理解、寄り添いができる人が一定数いる会社は、会社として強いんですよ。
では、その力をどのように身につけるかというと、初手として環境の力を活用することは大きいと思います。つまり、オフィスに来て、会社の営みを感じることでその力が養われ、理解力が高まるのだと考えています。
今回の働き方のアップデートは、会社を主語にしたいいところと、個人を主語にしたいいところのバランスを取って、会社の成長に最大限向き合おうとした結果だと思っています。

メンバーがそれぞれ自分に合う
生産性の高い働き方を選択

改めてリモートワークとオフィス勤務メリット、デメリットをどう捉えていますか?

大間:リモートワーク最大のメリットは、通勤時間にかかる労力を生産性に変えられることだと思います。
当社にも、昔から「H2O」という社内制度がありますが、これは会社の最寄り駅から2駅以内に住むと家賃補助が得られるというものです。
狙いは同じことで、通勤時間を削減し、高い生産性で働こうという取り組みです。通勤時間がなくなるわけなので、当然それ以上の効果が期待できるのがリモートワークのメリットでして、ドキュメント作成や開発などの作業効率も高くなることが期待されます。
一方、直接的なコミュニケーション量が減ることのデメリットは大きいです。オフィスにいると必要なタイミングですぐに声がけすることも可能ですし、その他、自然と雑談が発生することもあります。隣のしまから聞こえてくる営業が今期目標を達成した話や、開発の苦労話など、部門をまたいで聞こえてくる会話もたくさんあります。
そういった会話が活力になったり思いがけない情報を得られたりと、自然発生的に出てくるコミュニケーションが持っている力はとても大きいと思っています。
大津:オンラインでもなるべくリズムよくコミュニケーションが取れるように、朝会や夕会を積極的に行っているチームも多いのは、コミュニケーションの場を作ることの重要性がわかっているからだと思います。
新しい働き方、新しい体制になっても、個人の都合でなく、チームや会社としてコミュニケーションを取った方がいいだろうと意思決定してくれたこと、そういう文化が根付いていることに安心しました。
大間:そうですね、会社として決めた新しい働き方が今後のスタンダードになっていきますし、今後も加速する採用活動を考えても以前スタンダードとしていた働き方には戻れないと思っています。
ですので、今回の新しい働き方を正解にしていくためにも、ひとりひとりが新しい働き方を実践しながら、当事者意識をもって生産性の高い選択をする、そんな文化を浸透させていきたいと思っています。
例えば、週3をベースにしていても、自分は週4、週5出社した方が生産性が高いと判断すればそれを選択することも可能です。
同じミッション、ビジョンを組織全体で達成していくために、それぞれが自分の生産性が高まる働き方を自ら選択して実行する、自律自走するそんな組織でありたいと思っています。

text&photo: mimi