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プロダクトデザインで事業を後押し。デザイナーに求められる目線

こんにちは! ブランドコミュニケーション部のPR担当、長倉です。今回は、クラウド名刺管理サービス「Sansan」のデザイングループでマネジャーを務める鈴木翔にインタビュー。Sansanのデザインやグループのマネジメントで意識している点など、じっくりと語ってもらいました。

プロフィール

鈴木翔
Sansan事業部プロダクト開発部組織デザイングループ グループマネジャー

エンジニアとしてSIerに勤務する傍ら、独学でデザインを学ぶ。デザイン事務所に転職し、ウェブデザインを中心に受託制作に携わる。2016年にSansan株式会社へ入社し、クラウド名刺管理サービス「Sansan」のUI・UXデザインを担当。現在はマネジャーとしてグループのマネジメントに向き合う。


さまざまな経験を経て
プロダクトデザイナーに

まずは自己紹介をお願いしたいのですが、最初からプロダクトデザイナーではなかったんですよね?

そうなんです。社会人になってすぐは身内の建築事務所で図面を作成していました。その後友人の誘いで、未経験ながらSIerに入社して、サーバーサイドエンジニアという肩書でプロジェクトにアサインされてましたね。
デザイナーになりたいと思ったのはその頃です。社内にいたウェブデザイナーの先輩と仲良くなったのがきっかけで、自分は何となくプログラムを書くことよりも画面を作るほうに興味があるんだ、と気付きました。そこからデザイン要素のある案件に少しずつ携わるようになり、独学で知識を身につけました。もっとスキルを磨きたくてデザイン事務所に転職して、4年くらいウェブデザイナーとしてクライアントワークをこなしていた、という感じです。

いろいろ経験をお持ちなんですね。ではSansanに入ろうと思ったきっかけは何だったんでしょうか。

今度は一つのサービスに腰を据えて向き合いたいと思ったので、事業会社を視野に入れて転職活動をしました。求人エージェントからの紹介でSansanに出会いましたが、最初はあんまり志望度は高くなく…(笑)。でも採用面接でUIやUXデザインのポジションを打診されて、興味が湧いたんです。Sansanはプロダクトの会社じゃないですか。だから、この会社ではプロダクトデザインをするのが「本丸」のデザインなんだろうなと思いましたね。面接官から伝わってくる会社の雰囲気や事業への思いも後押しとなって、2016年の7月に入社しました。

入社してからは、どのような流れでマネジャーに?

最初はいちデザイナーとして、クラウド名刺管理サービス「Sansan」の設計を小規模なものから担当していました。マネジャーのような業務をやるようになったのは、入社して1年たった頃です。当時のプロダクト開発部の部長だった藤倉から、1on1の中でそれとなく「デザイナーたちをチームとして動けるようにしてほしい」と言われたのが始まりです。当時はメンバー数が少なかったこともあり、まだチームの枠組みはなかったんですよね。そのときはマネジャーという立場についてあまり考えてはいませんでしたが、次第にデザイナーをまとめていく業務を増やしていきました。
そうしているうちに「Sansan」のロゴを差し替えるという大きなプロジェクトが立ち上がって(※)、その仕切りをやったあたりで、本格的にマネジャーとしての役回りを意識するようになりました。そこから徐々に採用や人事評価にも関わり始めて、今はグループマネジャーとしてマネジメントが中心になってきています。
(※)Sansan株式会社は2017年にコーポレートロゴを刷新。これに伴い、クラウド名刺管理サービス「Sansan」のロゴも変更となった。

二つの目線でプロダクトをデザインする

ではデザイングループについてお聞きします。何名くらい在籍していますか? 役割分担などはあるんでしょうか。

人数は僕を除くと7名です。PC版のSansanとSansanスキャナを担当する5名と、スマホアプリのSansanを担当する2名。開発の都合で二つに分かれていますが、媒体が違うだけで「プロダクトをデザインする」というところは同じです。
デザインの流れについて簡単にお話しすると、まずはプロダクトマネジャーから課題が起案されます。それに対して、まずは解決するためにざっくりとしたデザインをします。画面を作っては捨て、作っては捨てっていうことをしながら、こういう方向なら体験が成立するんじゃないかっていうところまで持っていく。そして体験デザインの方向性が決まったら、ピクセル単位での画面調整やボタン一つひとつの文言選びなどを細やかに詰めます。
どんな場合でも、作ったデザインに対しては必ずレビューをします。要件を満たせているか、より良いデザインがあるのではないか、そんな観点からグループ内で意見を出し合います。そのレビューが通ったらエンジニアと連携して、実装に向けて動き出せるようになります。
僕が何をしているかと言うと、デザインが始まる前段階の、課題が起案されるタイミングで動くことが多いですね。プロダクトマネジャーが起案の妥当性を探るための素材として、彼らと連携しながらプロトタイピングして画面を作ったりしています。
また、起案された課題の解決を誰に任せるかを割り振ります。デザインするプラットフォーム以外は、明確に役割が決まっているわけではないですね。特定のデザインしかさせない・できないということはなく、その人の業務量や要望に応じて割り振っています。僕はここでは他のデザイナーの手が回っていない部分や、あふれた部分を拾っていく立ち位置でもあります。

当社には「プロダクト戦略開発室」もありますが、どのような関係ですか?

プロダクト戦略開発室はCPOの大津を部長とする組織で、主に中長期的な目線でプロダクトを考えます。まだはっきりと顕在化していない課題に向き合うんです。ただ、その大きな方針を受けて、どんな体験をいつまでにユーザーに届けなければならないかという設計には、プロダクト開発部のデザイナーが大いに関わります。
先日オンライン名刺がリリースされましたが、これもプロダクト戦略開発室と一緒に概要を詰めて、実際に実装まで持っていくところまでうちのデザイナーが担当しました。
なので、プロダクト開発部のデザイナーは二軸で「Sansan」に携わることになります。顕在化していない課題が眠る「未来」への目線と、顕在化した課題がある「今」への目線です。

なるほど。UI・UXの知識以外にも幅広いスキルが必要になりそうだと思うのですが、今のグループにはどんな人が集まっているんでしょうか。

経験の面では「こういう人」っていう定型はなくて、いろいろな経験をした人が集まっているなと思います。例えば、雑誌などのデザインをやっていたけれど、Sansanでプロダクトデザイナーを始めて、最近はスマホアプリを担当している人。事業会社でプロダクトデザインをやっていて、今も同じように自社のプロダクトに向き合っている人、その他のデザインをずっとやり続けてきた人もいます。
さまざまな経験をしている人たちが集まって、自然とお互いを高め合っている、そういう感じがしますね。
年齢で言うと30代が中心ですが、20代後半のメンバーも活躍していますよ。

白熱するレビューと開発スピードの向上

出身がばらばらなデザイングループですが、根付いているカルチャーって何かありますか?

みんなプロフェッショナルな意識を持ってデザインに向き合っていて、お互いが作ったものに対して真剣にレビューします。プロダクトに対して持っている思いが強いこともあって、デザインレビューが白熱することもしばしば。すごくいい文化が根付いているなと思います。

みんな熱いですね!

ただ、それぞれの思いが強い故に、レビューが白熱しすぎてしまうこともあって…。誰が正解で誰が間違っているというものではないので、議論が平行線のまま収束しないんですよね。それだとデザインのスピード、ひいては開発スピードが落ちてしまう。
そもそも僕たちプロダクトデザイナーは、ユーザーに価値を提供するまでの時間を短くしながら、プロダクトのクオリティーを上げるのが仕事。そのためにユーザーとの接点やユーザーの体験デザインに向き合っています。

となると、スピードを落とさないようにする工夫が必要がありますね。

そうです。ここでマネジャーとしてできることは何だろうって考えると、「『Sansan』のプロダクトデザインはこういうことを軸にしよう」っていう指針を定めることだと思っています。
指針があれば、議論が平行線になっても帰結すべきところがわかりやすくなるし、最終的に業務効率とクオリティーの向上を実現できるはず。そこで、グループ全員で時間をとって指針作りをしています。「会社のミッションとプロダクトのコンセプトを踏まえると、今こういうUI・UXになっているべきではないか」という仮説を立てて、メンバーと議論を重ねています。
普段から「この画面のUIは何でこうなっているんだっけ?」とか「今このUXになっている理由はなんだっけ?」っていう話をすることが多いのですが、そういうことに時間を割いてしっかり向き合おうとする人たちで構成されているのもグループの特長ですね。

では、メンバーのマネジメントについて意識していることはありますか?

基本は「口を出さない」ようにしています。こちらが細かく管理するのではなく、ただ突き放すのでもなく、自立してやってもらうというイメージですね。
もちろん困ったときには相談には乗ります。もともとみんな自分の仕事に関してはオーナーシップを持って取り組む人たちですが、時には悩むこともあるし、1on1には力を入れています。何が課題の根っこなんだろうというのを一緒に考えて、「じゃあこういう風にしてみたら?」とアドバイスをしたり、僕が動いて解決できる部分であれば動いたりもしています。
グループに対してで言うと、毎週定例ミーティングを設けていて、今週の良いこととか良くなかったこととか、いま困っていることなどをみんなで共有するようにしています。KPTを使って振り返りながら、困っていることを誰かが助けられないか聞いてみたり、心理的安全性を担保できるように意識していますね。
また、半期(6カ月)ごとにグループでじっくり振り返りをします。社外のレンタルスペースで半日くらい時間をとって「この半年間どうだったか」を出し合います。定例ミーティングでやっているのと似ていますが、「良かったこと」「良くなかったこと」「次にトライしたいこと」を共有して、そこで上がったものを次期の目標に設定するようにしています。

デザインで事業の後押しをするグループに

今後の展望についてです。デザイングループをこういう組織にしていきたい、こんな力を付けていきたいという中長期的なビジョンを聞かせてください。

プロダクト開発部のデザイングループですし、売り上げの根幹を作っているのは我々だっていう自負があるので、社内では一番レベルの高い人たちで形成されている組織でありたいと思っています。社内の他の部署のデザイナーから「プロダクトのデザイナーになりたい」と憧れられるような存在感を出していきたいですね。
社外に向けては、ビジネス目線・事業目線で施策を発信できることが重要です。「どうしてこのような体験をデザインしたのか」という問いかけに対して、ビジネスや事業と関連づけて「だから今これを作って、今後こうしていきます」というのを語れるグループ。事業に貢献することを意識しながらデザインできる、そしてデザインから事業を後押しできる、そんな組織にしていこうと思っています。

そのビジョンを踏まえて、どんな人と働きたいですか?

さまざまなデザインを経験している人は、デザイナーとしての基礎力もあるしどんなデザインにも向き合える力もあるので、そういう人が欲しいですね。今のデザイングループのメンバーも経験はばらばらですが、みんないろいろなデザインに向き合ってきました。そういう人がうちのグループで活躍できているんだなと思います。
考え方で言うと、会社が掲げる目標とプロダクトデザインを関連づけて考えられる人。主体性を持って考え、アウトプットまで持っていける人。長期的な目線でプロダクトデザインを議論していくことも多いので、先まで見ようとする目線が求められます。
マインドの部分では、オーナーシップを持っている人がいいですね。自分が中心となって、他者を巻き込みながらプロジェクトを動かしていけること。Sansanでは部署を超えて連携することもあるので、さまざまな関係者をリードする場面が多々あるからです。

難しいからこそのやりがい、
世の中を変えているという実感

デザイナーから見た「Sansan」の魅力って何でしょう?

プロダクトそのものの魅力は、設計が難しいからこそ手応えがあるというところでしょうか。
「Sansan」は完成されたプロダクトだと見られがちですが、実はそんなことはないんです(笑)! どうしても10年以上プロダクトを運営していくと、いろいろなものが積み重なってきます。今の時代の流れに合わなくなった部分や、当時こうしたかったけれども何らかの要因で実現しきれなかったことなど、いわば「負債」がたまっている状態。それらの負債をどのように今の流れにフィットさせつつ改善していくか、手を入れるべきところはたくさんあるんですよね。
プロダクトが多機能化していることもあり、これらの改善をどう進めていくかはデザイナーの手腕にかかっています。「Sansan」は名刺を管理するためだけのツールではなく、あらゆる業務で網羅的に活用できる万能なソリューションになりつつあります。さまざまな機能が複雑にからみあっているので、設計は簡単ではありません。でもその難しさを乗り越えてちゃんとしたプロダクトデザインができると、多くのユーザーに使ってもらえます。そういう手応えを感じられるのも、「Sansan」だからこそですね。
また、事業目線でプロダクトを考えていくと、機能を「追加する」方向に進みがちです。でも、それを追加することがユーザーにとって本当にいい体験なのかを突き詰めるのが僕たちの領域。もちろん事業を軽んじるわけではありません。ユーザー目線と事業のバランスを考えるというのは、大規模なプロダクトだからこそ向き合えることだと思います。

当社でしか体験できないことってありますか?

自分たちが生み出す新しい価値で市場を作っていけること、そしてそれをプロダクト中心で進めていけるというのは、やりがいの一つです。
人に求められたものをただ作るのではなく、これまでに世の中になかったものの仕組みをデザインして、市場を作っていく。「名刺交換」という行為を抽象化して「出会い」というところにまで昇華させ、プロダクトを展開する。そういう営みを会社一丸となってやっていて、それをしっかり実感できるというのは、この規模の会社だとそんなに多くないんじゃないかなと思います。
例えばオンライン名刺。これまでの紙の名刺交換にメスを入れているわけです。人々の習慣を変えていくという局面にデザイナーとして関与できるというのは、極めて貴重な体験ですよね。人生でこんな大きな転換点に携われることはなかなかないぞ、という感覚を持てるのも魅力です。
あとは、グローバル目線でプロダクト開発できることですね。グローバル対応は昔からやっていますが、今後はさらに加速していくでしょうし、世界にも目を向けてプロダクトを作ろうとしているところはSansan株式会社だからこそだと思います。

インタビュー後記

「デザインで事業を後押しする」「人々の当たり前を変えることに、デザイナーとして関わることができる」この2つの言葉がとても印象的でした。当社ではどの職種にも当てはまることですが、「今までになかったものを作り、世の中に広めていく」ことに携われるのはとてもエキサイティング。誰もが経験できることではないなと、インタビューを通して私も再認識することができました。

Sansanのデザインやデザイングループについてもっと詳しく知りたい方は、鈴木のnoteをどうぞ。
showshowsuzuki|note
https://note.com/showshowsuzuki

また、Sansanのプロダクトデザイナーに興味がある方は、Sansanの採用情報をぜひご覧ください。

text&photo: mimi