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「DSOC」のエンジニアに必要なのは抽象的な目標から、具体的な課題を発見し、自走する力。

こんにちは、人事部の杉本裕樹です。今回は、Sansan株式会社のデータ統括部門「DSOC」のサービス開発部で働くエンジニアにインタビューをしました。クラウド名刺管理サービス「Sansan」や名刺アプリ「Eight」をはじめとした、Sansan株式会社が展開する事業の要でもある名刺のデータ化、そしてビジネスデータの整理と活用。これらの目的にDSOCで働くエンジニアがどう向き合っているのか。DSOCサービス開発部のGEES/JESグループの相川俊介、データ編纂(へんざん)グループの近藤 悠太郎、Nayoseグループの石畑翔平に聞きました。

プロフィール

近藤 悠太郎(写真左)
DSOC サービス開発部 データ編纂グループ エンジニア

公立はこだて未来大学大学院博士前期課程修了。前職では、大手電機メーカーでミドルウエアの開発に従事。2017年にSansan株式会社へ入社し、現在はクラウド名刺管理サービス「Sansan」および名刺アプリ「Eight」が共用する基盤システムの設計・開発を担当。一筋縄ではいかないデータに向き合い、オペレーションとテクノロジーの組み合わせで課題を解決するため、日々の業務に取り組む。

相川 俊介(写真中)
DSOC サービス開発部 GEES/JESグループ エンジニア

SIerや事業会社、ベンチャー企業など、幅広い業界でさまざまな開発プロジェクトに従事。2018年にSansan株式会社へ入社し、名刺データ化システム「GEES」の開発・運用を担当する。現在はプロジェクトマネジャーを兼ねながら、GEESを含めるさまざまな情報のデータ化に向き合う。

石畑 翔平(写真右)
DSOC サービス開発部 Nayoseグループ エンジニア

2014年、Sansan株式会社に新卒として入社。名刺データ化システム「GEES」の開発に従事し、多種多様な名刺と向き合う。現在は名寄せに関するシステムの開発とプロダクトへの活用を担当し、名刺にあらゆるビジネスデータがひも付く世界を目指す。


三者三様のSansanとの出会い

まずは皆さんのSansan株式会社に入社するまでの経歴について教えてください。まずは、GEES/JESグループの相川さんからお願いします。

相川:僕はSIerで開発を経験した後、事業会社を経て、2017年にSansanに入社しました。前職では、営業が売ってきたものを作る、という感覚で開発をしていましたが、徐々にそういう仕事の流れに疲れてしまって、転職を決めました。

Sansanに入社を決めた理由は何だったんでしょうか?

相川:名刺のデータ化に対して面白そうだなと思ったことと、そもそも扱っているデータに魅力を感じました。あとは、前職を辞めた理由でもあった「売れたものを作る」という環境とは、まるで違う環境が待っているんだろうなと思ったことも決め手ですね。その点は、想像した通りの環境で働けている実感があります。
近藤:僕は大学卒業後、大手電機メーカー会社でストレージ管理をしていたのですが、使っている技術や開発体制に対して、世の中の一般的な感覚と比べて古い、もっと言えばズレてるんじゃないかと感じたことが転職したきっかけです。
当時、Sansanには勤めていてた友人に紹介されて、Sansanのリファラル採用制度「マイミャク」を使って入社しました。
マイミャク
リファラル採用のための社内制度。社員の知人で、Sansanで活躍できそうな方がいる場合に、会食やカジュアルな話し合いを行うためにかかる飲食費を補助する(限度額有り)。実際に入社に至った場合は、紹介者と被紹介者に対して謝礼金を支給。

他の会社は考えていなかったのですか?

近藤:いえ、並行して何社か受けていましたが、BtoB SaaSに注目していたのと、サービスのユニークさが際立っていたこと、急成長をしている企業の中で目立つ存在だったことなどが決め手になり、入社しました。
石畑:僕は新卒で入社をしました。就活をしているときに重要視していたのは、エンジニアが主体的に開発できる環境であることと、海外展開をしていることの二つ。Sansanはその二つを満たしていると感じたので、入社を決めました。

データ化システムを一元管理で効率的に

DSOCのサービス開発部では何を開発しているのでしょうか。

相川:僕らが作っているものは、「Sansan」と「Eight」の両方に関わるシステムです。DSOCのサービス開発部は、名刺をデータ化する「GEES」を担当するGEES/JESグループ、人物や会社に関するビジネスデータを整理する「名寄せ」を行うシステム開発を行うNayoseグループ、SansanやEightで展開されているニュース配信のシステムを作るデータ編纂グループなどに分かれています。
僕が担当している名刺データ化システム「GEES」は、スマートフォンやスキャナーから取り込まれた名刺画像をデータ化します。DSOCが独自に研究開発したさまざまな画像認識技術を駆使しながら、精度を高く保つために人力とテクノロジーの力を掛け合わせてデータ化を行い、そのデータがユーザーに提供されています。
近藤:名刺のデータ化は、SansanにもEightにも必要なものですが、名刺のデータ化は、とても複雑で難しいんです。名刺は、形も情報の書かれ方もいろいろなパターンがありますから。
DSOCのメンバーである永井がmimiでも話していますが、以前はSansanとEight、それぞれでシステムを構築してデータ化していました。現在は、一つのシステムでデータ化をしています。

SansanとEightに共通して必要なシステムをDSOCが開発しているということですね。

近藤:はい。それは、データの名寄せにしても、データの編纂にしても同様です。さかのぼれば、SansanとEight、それぞれで名刺のデータ化を行っていたのが、ニュートンと呼ばれていた社内のプロジェクトで統合することになったことが始まりですよね?
石畑:そうです。

それ以前はどんな感じだったんですか?

石畑:ニュートンが始まる前は、仕事が終わったら社員が集まって深夜まで入力作業をするような状態でした(笑)。もちろん代表の寺田も。
近藤: DSOCとして開発を一元化することで、SansanとEightそれぞれのエンジニアも本来作るべき機能の開発に集中できるようになったことも良かった点だと思います。

これまでに積み上げた
ロジックが詰まったシステム

今回は、サービス開発部の各グループから一人ずつ来てもらいましたが、各グループでどのようなものを作っているのか、もう少し詳しく教えてください。

石畑:Nayoseグループで開発しているのは、簡単に言えば、データを統合するシステムです。人や組織の単位でデータを統合し、他のサービスとも連携しながら、関連するデータをひも付けて情報を渡すことができるシステムを開発しています。

データを統合するシステムは、どんなニーズから生まれたのですか?

石畑:企業がCRMやマーケティングオートメーションなどを使うことが当たり前位になっていますが、ツールの中でデータが眠った資産になっていることに気が付き、そこからのデータも一つにまとめて一元管理したほうがいいのでは、と始まったのが背景です。

企業や人の名前を問い合わせると、一つにまとまったデータを見ることができる、ということですか?

石畑:はい。それを作るのは、けっこう難しいんですよね。技術的な問題というよりは、知識がないとできないことも多いんです。例えば、Sansan株式会社の社名の「Sansan」ですが、昔は漢字で「三三」と書いていたなど、知らないと判断できない情報です。こういった情報を整理することは、多くのビジネスデータを取り扱ってきたSansanのDSOCだからこそできることだと思います。

では、続いて、GEES/JESグループはどうですか?

相川:先述した名刺データ化システムが「GEES」で、「JES」は公表された人事情報を収集するシステムです。

GEESは名刺の情報をデータ化するシステムだと分かりますが、JESはそもそもどういったデータを扱うのでしょうか?

相川:新聞社などが報道する人事異動に関する情報や官公庁が発表する国の役員人事などに関する情報をデータ化しています。

何か特徴はありますか?

相川:GEESは長く運用しているので、会社のノウハウやいろいろなロジックが詰まっています。名刺データ化の精度を上げ、そのコストを下げるために、地道に小難しくて泥臭い工程を踏む、そういうロジックに触れたい人にはいいけど、トレンドの技術や、華やかさが好きだという人には刺さらないかも(笑)。開発に関わるチームは10人で、GEESとJESで半々です。

データ編纂グループについてはどうでしょうか?

近藤:私たちが開発しているのは、パーソナライズを見据えたニュース配信システムです。ビジネスに役立つようなデータをSansanやEightに提供できるような形に整えること。ユーザーがSansanやEightを開いたときに、今ビジネスで知るべきことを自然と知ることができるような機能を作ることが私たちの目標です。
配信しているのは、基本的にニュースですが、ビジネスに役立つデータそのものも扱います。例えば、有価証券報告書や非上場企業なら官報に掲載された決算報告など、そういった世の中に公開されている情報も提供しています。そういった情報は、必ずしも統一されたフォーマットで作られていないので、いろいろな企業に関する情報をカバーしようとしたら、さまざまなフォーマットの情報を取り扱わなければならない。私たちが、バラバラな体裁のビジネスデータから必要な情報を抽出してまとめて、統一的なフォーマットで提供できるようにしています。

課題を自ら「発見」すること

DSOCにおける特有のカルチャーなどはありますか? 裁量やエンジニアの特性について教えてください。

相川:うちのグループは、特に個の集まりな気がしますね。
石畑:分かります。SansanやEightのプロダクト開発のエンジニアと違うのは、役割が明確じゃないことかもしれないですね。例えば、通常のプロダクト開発ではPMがいて、彼らが決めたものをデザイナーがデザインし、それをエンジニアが作るといったプロセスがあると思いますが、僕らの場合はそういった基準となるプロセスがありません。KPIに対して指標となるデータを見ながら、エンジニアが何を作るところから考えるといった感じですね。
近藤:そう考えると、KPIに基づいて開発や運用をすることは、DSOCのユニークな点と言えます。抽象的な目標が設定されているがゆえに、エンジニアが自走して施策を走らせ、改善のサイクルを回していくことが求められる文化があります。
相川:その通りですね。抽象的なことを、具体的な課題にして、自走するところまで落とし込める人が活躍している人です。
近藤:確かに。課題を与えられるのではなく、自らで発見することが大事ですよね。
相川:あと、短期的な売り上げ目標に業務をせっつかれないのも個人的にはいい点だと思っています。転職前の会社では、目の前の売り上げのために、誰も使わないであろう機能の開発をしていたこともあったので。
今は、自分は何のためにこれを作ってるんだろうと悩んだり迷ったりすることはありません。自分たちの目標や目的が、会社のミッションにつながっていることは改めてすごいことだと感じますね。


拡大し続けるDSOCの役割

データ化に終わりはなく、そういう意味ではDSOCはずっと同じものを地道に作りつづけるとも言えますね。

近藤:ただ、この数年でだいぶ役割が広がってきています。DSOCがデータ化だけを行っていた時から比べて、データの名寄せをDSOCが担うようになったのも、期待される役割が大きくなっているからだと思います。データの名寄せをはじめ、2018年から走り始めたニュース配信もそうですが、データ化の手法を確立した以降、さまざまな分野に業務範囲が広がっています。新たに優れたシステムを開発し、SansanやEightと連携して、事業成長に貢献しようというのが最近の流れです。
相川:データ化のノウハウを他の領域でも生かすという意味では、請求書のオンライン受領・一元管理を可能にする「Bill One」における請求書のデータ化はまさに横展開だと思います。

地道に同じものを作り続けることの面白さ、モチベーションを教えてください。

相川:自分が想像して考えたことが形になり、それがコスト削減につながったりすることは面白さの一つです。膨大な量のデータを扱っているので、少しの改善が大きなインパクトをもたらすことなど、目に見える形で成果が分かることもいいですね。
石畑:そういった地道な改善を繰り返してきたことで、今があるのだと思います。名刺のデータ化を始めた頃に比べて、今は処理できる量やスピードは格段に上がりました。システムを開発しても精度がなかなか思うように出なかった頃は、求められる精度を実現させるために地道な作業をずっとしていました。でも、その地道な作業を続けてきたからこそ、今があります。

海外展開や時代とともに変化する名刺の形。
DSOCが描く今後のビジョン

最後に、それぞれの仕事における今後のビジョンについて教えてください。

近藤:ユーザーがSansanやEightを開いたときに、知りたい情報を自然と知れるシステムを作ること。
石畑:システムをもっと使いやすくして、さまざまなユーザーに使ってもらえるようにしたいですね。また、今後の海外展開においては、日本だけでなく、海外のビジネスデータをどう集めるのかなどの課題に向き合って、もっと人を増やして大きな開発に携わっていきたい。
相川:GEESで言えば、2020年にオンライン名刺の対応が始まりました。時代とともに名刺の形は刻々と変わっています。そういう変化に僕らも付いていくだけでなく、変化をリードできるような存在にならなくてはと思います。JESの人事異動情報にしても、単なる情報を提供するのではなく、組織や人を軸に体系的にした情報を作り、サービスを通して提供できる価値をもっと上げていきたいです。

Sansanのエンジニア情報サイト「Sansan Engineering」

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インタビュー後記

今回は、分かりやすく目に見えるプロダクトを開発しているわけではない、DSOCのエンジニアが何を開発しているのか?に迫ってみました。
印象的だったのは、自分で課題を見つけに行くこと、そして小さな改善が大きなインパクトにつながっていくということが、DSOCならではのチャレンジであり、やりがいなのだなと思いました。そして、名刺のデータ化に向き合い続けてきたからこそ、DSOCの業務範囲が拡大していったのだなと感じました。Sansan株式会社の果敢なチャレンジを支え、牽引するDSOCの今後がさらに楽しみになりました。
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また、Sansanのものづくりを発信するブログ「Sansan Builders Blog」もぜひお読みください。

text&photo: mimi