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言葉に魂を乗せる。起業経験者が感じたSansanの強さの源泉とは

30%成長を掲げ組織を急拡大させているSansan。近年、起業経験者や大手企業でCXOクラスとして活躍していた人材も多くジョインしています。様々なバックグラウンドを持つ彼らが、今なぜSansanを選んだのか、どのようなことに向き合っているのか。人事戦略を統括するCHROの大間との対談形式でお伝えしていくシリーズです。第4回目は、SaaS企業を起業し経営したのち、現在Sansanで契約DXサービス「Contract One」のPdM、そしてグループ会社の言語理解研究所のCRO(Chief Revenue Officer)を務める尾花との対談です。

 

 

PROFILE

大間 祐太Yuta Ohma
取締役/執行役員/CHRO(Chief Human Resources Officer​)

人材系企業で採用コンサルティング事業の立ち上げを経験し、その後独立。取締役として採用領域のベンチャー企業立ち上げに携わる。2010年にSansan株式会社へ入社し、営業部門のマネジャー、人事部長を務める。現在はCHROとして、人材価値を高めるための人事戦略を指揮する。

尾花 政篤 Masashige Obana
Contract One Unit PdM/言語理解研究所 CRO(Chief Revenue Officer)

東京大学経済学部卒。2013年4月より株式会社ベイカレント・コンサルティングにて、主に保険会社を対象としたマーケティング・IT戦略立案やIT投資管理などに従事。 2017年8月に株式会社hokanを創業し、代表取締役に就任。保険代理店向けの顧客・契約管理システムhokanを開発・提供。2023年3月末に退任。 同年6月にSansan株式会社に入社。契約DXサービスのContract One PdMと、グループ会社である言語理解研究所のCRO(Chief Revenue Officer)を兼務。


最初のキャリアはコンサルティングのベンチャー企業
自分の名前で勝負できるようになりたかった

大間:尾花さんは保険業界に特化した「インシュアテック」と呼ばれる領域でSaaS企業を立ち上げ、代表を務めた後Sansanに入社しました。起業前のキャリアも含めて教えてもらえますか。

尾花:新卒ではいくつかの業種で選考を受けていましたが、いちばん最初に内定が出たベイカレント・コンサルティングへ入社しました。3年ほど在籍し、その後起業しました。

大間:新卒で入社する会社を決めた軸はなんですか?

尾花:当時のベイカレントはまだ上場前で、ベンチャーのフェーズでした。選考を通して経営陣を中心に何人かの方にお会いしたのですが、とにかく皆さん「ビジネス戦闘力」が高いと感じました。洞察力が深くて、初対面にも関わらず、見透かされているような感じがしたことが印象的ですね。惹きつけられました。

大企業と呼ばれる規模の会社の選考も進んでいたのですが、ベイカレントの方たちと会話する中で、会社名や肩書のバリューではなく、自分の名前で勝負できる人になりたいと強く思うようになっていました。コンサルティングという職種はそもそも実力主義であること、しかもベンチャーであること。自分の名前で勝負できるビジネスパーソンとして成長するためには、最高の環境だと思い決めました。

大間:その時からいつかは起業したいと思っていたのですか。

尾花:ベイカレントは全社員が経営に参加する仕組みである「アメーバ経営」を実践していたので、選考中に会った方も皆さん「ミニ経営者」のような感じのスタンスだったんです。ですから、ビジネス戦闘力を突き詰めていくと経営ができるようになるのかなと思い、内定が出たころには何となく起業のことも意識し始めるようになりましたね。

大間:選考での出会いがその後のキャリアの方向性を決めたんですね。入社後はいかがでしたか?


クライアントと心を通わせることができた保険業界で
起業を決意

尾花:様々なクライアントのコンサルティングを担当させてもらいましたが、その中で一番長かったのが保険業界です。初めて一人で担当したのも、プロジェクトマネジャーをやらせてもらったのも、保険業界のクライアントでした。

そして、クライアントと心を通わせることができた、と感じられたのも保険業界でした。

大間:そこから、保険業界に特化したインシュアテックで事業を立ち上げることにつながっていくわけですね。

尾花:はい。起業するなら、思い入れを持ってできる保険業界に関連した事業で、ということは決めていました。インシュアテックの領域は、海外では多くの企業がありますが、日本ではなかったんです。一方で、日本は保険大国ですよね。それなのに、保険はみんなあまりやりたがらないんです。人がやらない領域だからこそチャンスがあると思ったし、そこで勝負したいと思いました。

ベイカレントに入社して3年たったころ、メンター的に伴走すると言ってくれる方との出会いがあり、事業モデルを固めて、共同創業という形で会社を立ち上げました。

大間:Sansan代表の寺田さんと出会ったのは、起業してからと聞きました。

尾花:バーティカルSaaSでビジネスをしていくことになり、国内のSaaSで事業成長を牽引している経営者の話を聞きたいと思い、コンタクトを取っていたんです。そのうちの一人が寺田さんでした。それから色々と相談をさせてもらう機会をいただいて、結果的にSansanから出資を受けることにもつながりました。

大間:代表を退任することを決めた時は、次の道はすでに決めていたんでしょうか?

尾花:再び起業するという思いもよぎりましたが、一度経験してわかったことも色々ありました。経営をしていたときは、とにかくこれを一生続けていくんだと思っていましたが、退任するという選択をしたあとは意外と冷静でしたね。またいつか良いタイミングがきたらやればいいと思うようになりました。それならばここからは、とにかく自分の能力を最大限伸ばすことができる環境に身を置きたいと考えました。いずれもう一度起業するとしても、よりレベルアップして臨みたいと思ったんです。

大間:私も採用の過程で色々とお話しさせてもらいましたが、最終的にSansanを選んだ理由を改めて教えてください。Sansanなら、経営を経験した身であってもさらに成長機会があると思ったということでしょうか。


起業経験があるからこそ感じた、Sansanの凄まじさ
「言葉に魂を乗せる」ことで生まれる強み

尾花:はい。主力である営業DXサービスSansanは、新型コロナウィルスによる名刺交換機会の激減という逆境があったにもかかわらず、堅実に事業を伸ばし、現在ARRは200億円を突破しています。また、コロナ禍でリリースしたインボイス管理サービスBill Oneは、リリースから3年間でARR37億円を突破しました。2019年に売上高100億円を超えて上場した企業が、新規プロダクトでこれだけのグロースを実現し、さらに企業全体としての成長率も再加速しているという事実。経営を経験した身としては、凄まじいと感じました。どのようにしてこれだけの結果を出しているのか、学ぶものがあると思いました。

あとは、そもそもですが自社のプロダクトを通じて価値提供をしているということ。事業を通してダイレクトに社会に貢献できるということが魅力でした。これまでにない市場を切り拓いてプロダクトで突き抜けていく、そんなやり方が美しいと感じたことも大きいです。

大間:実際に入社してみていかがですか。

尾花:自分なりに、強さの源泉になっていると感じたことがいくつかあります。まずはミッション、ビジョン、バリューズへの向き合いです。Sansanでは、これらを「Sansanのカタチ」と呼んでいますが、これを創業前に決め切っていたことに驚きましたし、さらには今でも多大な時間を費やして全社員が「カタチ議論」を行い、更新を続けていること。一言一句こだわり抜いて決めた言葉が、組織を導く揺るぎない指針になっていると強く感じています。

そして、カタチにおける言葉へのこだわりは、プロダクトの強さにも直結していることもわかりました。営業DXサービスのSansanであれば「営業を強くするデータベース」というように、それぞれのプロダクトにタグラインがあります。提供できる価値をシンプルな言葉で表現していますが、これもカタチ同様、フェーズによって議論が行われ、進化に合わせてアップデートされているんですよね。洗練されたタグラインは、プロダクト開発やマーケティング、営業、広報など、様々な組織の目線を合わせる役割を果たしています。これがスパッと決まると、複雑だったものごとがどんどん前進していく。

「言葉に魂を乗せる」ということは、文化として根付いており、Sansanの強さの源泉の一つになっていると思いました。

大間:言葉への並々ならないこだわりは創業時から変わらないですね。カタチ議論は人事本部が主導しており、半年から1年ほどかけて行いますが、1年から2年に一度は実施するので、全社員が常にカタチに向き合っている状態といえます。カタチへの向き合いは、ミッションドリブンな組織づくりに直結していますね。

尾花さんには、契約DXサービスContract OneのPdMを担ってもらっていますが、直近ではどのようなことに取り組んでいるか教えてください。


Contract Oneにエッジを立て
存在感を示していきたい

尾花:Contract Oneは2022年にローンチした契約DXサービスですが、今はプロダクトマーケットフィットに向けてコアバリューの再定義を行っているところです。契約に関わる課題というものはとにかく多岐に渡るので、提供価値をシャープにし、よりエッジを立てていくことが市場で存在感を示すためには重要だと考えています。契約DXはこれから間違いなく伸びていく領域なので、ニーズの強い業界から狙い撃ちをし、導入を拡大していきたいと思っています。

30%成長を掲げる中では、採用が非常に重要になってくると思いますが、CHROとしての現在の取り組みについて教えていただけますか。

大間:人事は、事業成長にレバレッジをかけられる組織だと思っています。現在、Sansanの人事本部は、創業期に新卒第一号として入社した社員が採用統括部の部長を務めてくれていたり、外部からも人事のプロフェッショナルが集まっていて、強固な基盤ができてきていると感じます。 直近では、トップラインを伸ばすために営業人材を毎月30名採用していきます。同時に、経営目線で風穴を開けてくれるような、尾花さんのような起業経験者をはじめ、ハイレイヤー層の採用もさらに加速していきたいですね。

採用だけでなく、社内全体の生産性を向上させるための取り組みにも力を入れています。HR領域のデータと生成AIをはじめとしたテクノロジーを活用して、ハイパフォーマーをどんどん引き上げて、会社全体の戦闘力を上げていくというようなことにも人事本部としてチャレンジしています。引き続き人事としてのアプローチで、非連続な成長の実現に向き合っていきます。

尾花さん、Contract Oneでは「エッジを立てていく」ということでしたが、中長期の、個人としてのビジョンはどうですか。

尾花:経営をしていた時は、何者かにならなくてはいけないという気持ちが強かったんです。でも今は、顧客に価値を届けることに真摯に向き合えばいいんだと思うことができるようになりました。

Sansanは、SaaSとして日本トップクラスの実績を残しています。ところが、経営陣の皆さんは口をそろえて「"事業をつくる"というのは、そんなに簡単なことではない」「創業時から会社を大きくしようと思ったことはない」と言います。謙虚に真摯に仕事に向き合い、一歩一歩進んできたことが、結果として日本随一の結果に繋がっているのだと学びました。

そして、その謙虚さ、真摯さは、チャレンジャーであり続けることから生まれているのだと思います。Sansanは今でも「ビジネスインフラになる」という壮大なビジョンを掲げて、グローバルにも挑戦し続けています。

私も今の自分よりさらに進化し続けられるよう、挑戦を重ねていきたいです。

大間:引き続き活躍を期待しています。ありがとうございました。

 

 

text&photo: mimi