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「人脈を生かす」プロダクトをもっと世界へ。Sansanに必要なのはグローバル視点を持つエンジニア

Sansan株式会社は、「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げ、ビジネスで人脈を最大限に生かすためのプロダクトを開発しています。そして国内にとどまらず、世界中の企業の発展に貢献することを目指して進化し続けてきました。実際、ここ5年ほどで本格的にグローバル進出に向け舵を切り始め、現在はタイ、シンガポール、フィリピンに拠点を設けています。グローバルのメンバーも増え、2021年からは国内でグローバルエンジニアの新卒採用も開始しました。そこで今回は、その採用活動に力を注ぐ、技術本部 海外開発拠点支援室室長の藤倉成太(ふじくら・しげもと)に、グローバルで活躍するエンジニアがSansanで働くことで発揮される価値や得られる経験について聞きました。

本記事は、グローバルのメンバーに限らず、日本のメンバーにも通用する内容です。これから活躍の幅を広げて行きたいと考えている日本の若手エンジニアの皆さまもぜひ読んでみてください。

 

PROFILE

藤倉成太 Shigemoto Fujikura
海外開発拠点支援室室長

シリコンバレーでITベンチャー企業の研究開発に携わった後、帰国して金沢工業大学大学院で工学修士号を取得。2009年にSansanに入社し、CTOなどの要職を歴任。現在は、Sansan初の海外エンジニアチームの立ち上げに注力している。


ビジネスに人脈が有効なのは万国共通。
Sansanなら世界のビジネス発展に貢献できる

藤倉さんは今、Sansanでどんなことに向き合っていますか?

技術本部 海外開発拠点支援室室長として Sansan Global Development Center(以下SGDC)の取締役兼CTOを担っています。私たちの海外開発拠点は、日本本社から指示された業務を行うのではなく、日本のメンバーと密にディスカッションしながら自ら考え、判断し、 プロダクトを開発する組織です。現在25名以上のエンジニアが在籍し、さらに採用を強化していますが、まだまだセブだけでは完結できないことも多く、私が日本とセブを行き来しながら仕組みづくりや日本のメンバーとの関係構築などを行っています。

 

SGDCのオフィスにて。月に一回開かれるイベントPeople’s Hourで誕生日のメンバーと一緒に撮影

Sansanは創業時からグローバル進出を視野に入れていました。そこにはどんな思いがあったのでしょうか。

創業当初から、ソフトウェアのビジネスをゼロからスタートするならその舞台はグローバルであるという考え方が当たり前のようにありました。一方で、当社のビジネスモデルが本当にグローバルで成功するのかという議論も重ねてきています。その中で、都度自分たちのモチベーションを保つために立ち戻っていたのが、“我々がやりたいことは名刺のマネジメントではなく、人脈をビジネスに取り込み、会社の資産としてアップデートできるようにすることである”という考え方です。

代表の寺田や私を始め、当社には海外で仕事をした経験を持つメンバーが多くいますが、皆、人脈がビジネスに全く寄与しない地域は見たことがないと言います。日本では初めて会う相手とビジネスを行うことにさほど違和感を感じませんが、例えば私が働いていたアメリカのビジネスでは、元々の知り合いだったかどうか、もしくは共通の知り合いがいるかどうかがとても重要な要素でした。 バックグラウンドが全然違う人同士が出会うマルチカルチャーな環境では、お互いを信用することが想像以上に難しいのです。このように、どの国でもビジネスと人脈は密接に関わっています。だからこそ当社のプロダクトなら、世界中のビジネスで人脈が生かされ発展することに必ず貢献できるという強い想いがありました。

少しずつグローバル進出を実現していますが、現時点ではどんな未来を描いていますか?

当面は、グローバルでの売上を日本と同等にすることが目標です。そしてその先には、グローバルマーケットならではの着想やアプローチから新規のプロダクトを開発し、その後日本語ローカライズ版が誕生するような、今とは逆の世界を描いています。そうなって初めて、国内のマーケットのみに依存せず、グローバルマーケットでビジネスをしている会社と言えるようになるのではないでしょうか。


グローバル進出に必要なのは、
さまざまな文化的背景を持つメンバーの力

グローバルへ進出していく上で、エンジニアの組織はどう変わっていくでしょうか。

ビジネスをグローバルで展開するなら、働くメンバーもグローバライズする必要があります。そこで大切なのは、 さまざまな文化的背景や考え方、視点を持ったメンバーとチームを作ることです。

日本のマーケットでは、皆が同じ商習慣や文化を共有して物事が進むことが当たり前ですが、世界的に見るとそれは非常に特殊で、海外のマーケットは大きく異なります。 しかし日本の文化の中で身についた感覚を持っていると、その違いに気づきにくい。だから海外で通用するプロダクトの開発は、日本人だけでなく、違う文化の背景や常識を持つメンバーの力が必要なのです。

もう少し詳しく教えてください。海外向けのプロダクトの開発において、具体的にどんな場面でグローバルのメンバーの感覚が必要になるのでしょうか?

営業DXサービス「Sansan」の開発を例に挙げます。Sansanに取り込む名刺には住所が記載されています。ソフトウェアエンジニアは、 その住所を「どう構造化するか」について考えます。しかし住所と一言で言っても、各国でその正確さは全然違う。日本の、特に東京都心の住所は厳密に一区画だけを指し示しますが、海外の住所はもっと曖昧な場合があります。そのような地域では、住所は郵便が届けば良くて、地理的情報をピンポイントで指し示す必要はないという考え方だからです。

住所の捉え方によってソフトウェアの作り方も変わるので、 日本人の感覚で東京都心の住所を基準にソフトウェアを作ると、 海外に展開する時に作り直さなければならず、とても時間がかかります。それなら最初に海外の住所に対する考え方を基準にして開発してから、日本限定のパターンを作った方がスムーズに進む。そのためには、グローバルの視点を持ったメンバーが必要であるということです。


知見や技術だけでなく、
想像し、考え、判断する力が不可欠

グローバルな視点を持つエンジニアの中でも、特にどんな人と一緒に働きたいと思いますか?

メンバー同士の文化の違いを理解した上で、正しい方向を判断する力が必要です。日本固有の会社をグローバライズされた会社に変えていくことは難しいことですが、正しい判断をしながら、そのチャレンジを楽しむことができる人と一緒に働きたいですね。

技術面ではどうでしょう。

エンジニアリングの知識や技術があることは大前提ですが、それだけでなく想像力や思慮深さ、言語化する力も不可欠です。

例えば、抽象度の高い話ができるかどうかも大切なスキルです。ソフトウェアエンジニアが取り組むのは、抽象度が高いテーマを議論し、開発の方向性を決めて形にする仕事です。 先ほどお話しした住所の構造化に関しても、各国固有の考え方があるけれど、一段抽象度を上げて、まとめて「住所」という概念で扱います。抽象度の高い議論は、エンジニアの中でも得手不得手がありますが、 世界に通用するプロダクトを作るという課題と向き合うためには抽象度を上げて考える力も養えると良いですね。

なぜ「抽象度を上げて考える力」が重要なのでしょうか?

ソフトウェアの開発では、物理的に存在しているものをそのまま扱うことはあまりしません。 例えば名刺管理という機能を開発する場合、「ユーザー」や「名刺」を私たちの世界観ではどう捉え、定義し直すかを考えます。このように、私たちは画面上に出てくる全ての言葉について一つひとつ定義を考えます。何となく頭で分かっているようなものを改めて問い、考え、 言葉にして、ソフトウェアに落とし込む。難しいことですが、開発においてはとても大切なプロセスなので、苦手意識を持たずに積極的に取り組んで欲しいです。


グローバル進出はまだスタート地点。
だからこそ枠を超えて活躍してほしい

Sansanが求める人物像について話をしてきましたが、逆に、働くメンバーから見てSansanならではの面白さはどんなところにあると思いますか?

Sansanは、社員数1500人規模の会社へと成長し、パワーもダイナミズムもあるけれど、グローバル進出という点ではまだスタートラインに立っている状態に過ぎません。その相反する感覚を同時に合わせ持っているのが今のSansanの面白さです。成長過程にある会社の中で、自分の成長と会社の成長のどちらにもモチベーション高く向き合える人はきっと楽しめます。

グローバル進出は挑戦の連続ですし、開発のスピードも上げていかなければいけません。 その中でも特に若手のメンバーには、自分の枠も期待されている役割もどんどん超えて挑戦して欲しいですし、それができる環境であることもSansanならではの面白さではないでしょうか。

確かにSansanには、自分の役割を超えて提案したり活躍したりする文化がありますね。

そうですね。そのためには、組織は誰でも変えていけるし変えなければいけない、そういう考え方を持つことが大切です。 例えば私はマネジメントをしていますが、できないこともたくさんあります。 そんな中でメンバーの声から気づかされることも多く、 それがチームの状態をアップデートしていくのに役立ちます。メンバー一人ひとりがチームと向き合い、 チームからグループ、部、本部、そして会社へと意識を広げていけると良いですね。 もちろん会社は「これがベストだ」という仮説のもとで運営していますが、 アップデートした方が良いと思えば積極的に発言しても良いし、 そういうマインドでいることが大切です。一人ひとりが環境を良くしようとすればそれぞれのパフォーマンスも上がり、 もっと良いものを作れたり、もっとスピーディーに動けたりする。グローバルのメンバーと日本のメンバー、皆でそんなポジティブな雰囲気を作っていきたいと考えています。

ありがとうございます。では最後に、エンジニアとして育っていく全ての若者に向けて、これからのエンジニアリングの世界がどう変化していくか、そしてどんな力が求められるのか、メッセージをお願いします。

エンジニアが身につけておくべき知識や技能は、時代とともにどんどん変化しています。 私がエンジニアになった25年前とは違い、 技術だけで評価される時代はとっくに終わっていて「その技術を使って何を成すか、どんな価値が生み出せるか」が重要視されています。限定的な専門技術を持つ働き方も良いですが、それよりも、高い技術力を持った上でビジネスとして結果を出すこと、そしてビジネスの結果につながるような技術の使い方、判断、選択ができる人が求められています。

それから「ビジネス上何が正しかったのか」という答え合わせは常に続けていけると良いと思います。例えば複数のプログラミング言語を扱えるとして、言語を選ぶ時に「好きだから」「今のトレンドだから」では判断をしたとは言えません。数年後にその選択が正しかったかどうかを振り返るためには、少なくともまず「判断すること」をしなければいけない。 判断をする、言葉にする、それを後から振り返って、その判断が正しかったかどうかを評価する。 そうすると後から正解が見えてくるので、 それを繰り返しながら判断自体の精度を上げていく。そんな風にして自然と自分で判断や選択ができるエンジニアが増えれば、ソフトウェアが正しく作られ、より大きなビジネスインパクトにつながるのではないでしょうか。

 

 

text&photo: mimi