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「採用」を事業推進力へ。Sansan人事の挑戦

Sansan株式会社の人事メンバーは、各部門の課題や目標、組織文化までを徹底的に把握し、まるでそれぞれの事業部の一員のような視点で採用に取り組んでいます。なぜ、そこまで深く関わるのか? 独自の採用哲学と、現場との密な連携によって、どのように組織変革を実現してきたのか。今回は、Sansanの人事を代表する輪田と市川に、その特徴的な取り組みと、採用への熱い思いについて語ってもらいました。

PROFILE

輪田 温子Atsuko Wada
人事本部 採用統括部 コーポレート採用グループ グループマネジャー

新卒で不動産会社、二社目の人材会社を経て、2020年10月にSansanに入社。Sansan入社後はEight事業部にて新規事業立ち上げを経験した後、2023年10月に人事本部へ異動。現在は採用統括部門のコーポレート採用グループでマネジャーとしてリクルーティングに従事。

市川 慎二Shinji Ichikawa
人事本部 Biz HRBP統括部Recruiting1グループ アシスタントグループマネジャー

新卒で大手旅行代理店に入社。法人営業を約7年行い、2021年の3月にSansanに入社。Sansan事業部のフィールドセールスとして、Sansan社の全プロダクトの営業を2年ほど経験。社内公募制度「Jump!」を活用して現在のBiz HRBP統括部に異動。現在はビジネス職種の中途採用グループでマネジャーとしてリクルーティングに従事。

採用から、事業成長に
どんな一手が打てるかを戦略的に考える「人事」

まず、 Sansanの人事の特徴について教えてください。

輪田:私たちが採用を進める上で最も重視しているのは、採用を行う部門の状況を深く理解することです。部門が抱える課題や目標はもちろん、組織体制、業務内容、カルチャー、そしてメンバー一人ひとりの特性まで詳細に把握することを心がけています。部会へ積極的に参加するなど、部門メンバーとコミュニケーションを密に取る機会を多く設け、そのための時間や労力を惜しみません。私は、前職で人材エージェントに務めていた時に100社以上の企業人事と関わりましたが、採用目標数の達成に集中するケースが多く、現在のSansanほど人事が各部門に深く入り込み、密に連携を取る企業は少なかったと感じています。

市川:当社の採用面接では、現場の採用担当者との面接後、必ず人事担当者による面談を行っています。これは、私たちが日頃から各部門のメンバーと同じ目線で目標に向かい、その組織や業務内容、カルチャーを深く理解しているからこそできることです。それによって、候補者の方々へ会社全体のカルチャーはもちろん、各部門ならではの雰囲気や仕事の細かなニュアンスまで、しっかりと丁寧にお伝えすることができます。この点もSansanならではの採用活動だと思います。

各部門のビジネスパートナーのような存在なのですね。

輪田: はい。採用の目標数を達成すれば良いということではなく、採用をその部門の事業成長にひもづけることが大切だと考えています。今の事業状況を鑑みた上で、採用面からどんな一手が打てるかを先読みする。そんな「組織戦略パートナー」のような存在でありたいと思っているからです。

Sansanはとにかく変化が早い会社なので、採用の年間計画は立てるものの、各部門の状況に合わせて進めていると、2~3カ月に一度は更新や修正が発生します。だから企業理念「Sansanのカタチ」のバリューズの中の「最速を目指す」や「変化を恐れず挑戦していく」にあるように、各部門の状況を即時キャッチアップして、適宜チューニングをします。私たちは、変化をいとわず臨機応変に対応できるパートナーでなければいけません。

市川:私たちは「採用は事業成長を実現するためのひとつの手段」だと考えているので、ただ各部門が言うとおりに採用活動をするのではなく、事業成長を見据えた上で、各部門が求める採用が本当に適切かと考えながら採用活動を進めることを大切にしています。「その採用計画がなぜ必要なのか?」を各部門と念入りにすり合わせる中で、新たな提案だけでなく、時には反対意見も伝えることもあります。

各部門の部長クラスの人とコミュニケーションを取ることも多いと思います。新たな提案や反対意見を伝えにくいと感じることはありませんか?

市川:いえ、役職に関わらず、人事として伝えるべきことは率直に伝えます。たとえばリクルーターとして採用に携わる中で、「この候補者にはぜひ内定を出すべきだ」と感じる方に出会うことがあります。たとえ最終面接官が内定を見送る判断をした場合でも、私はその決定をただ受け入れるのではなく、納得がいくまで対話を重ねることを大切にしています。これまでの面接官評価や人事面談を踏まえて、入社後の具体的な業務イメージやキャリアを最終面接官に伝えるのです。結果として採用を見送る判断になったとしても、その経験を今後の採用活動に生かせるからです。その過程では、仮説思考や課題解決能力が求められますが、そこにもこの仕事のやりがいを感じます。

輪田: Sansanは、どの部門も採用のプライオリティが高く、「人事の仕事」と捉えず、みんなが採用を自分ごと化しています。それは人事のメンバーの採用への真摯な向き合い方や、現場への啓蒙の賜物だと思いますが、このように採用しやすい土台が整っているのも、職種や役職を越えて意見が言いやすい理由だと思います。

市川:そうですね。以前は、会社全体のOKR※に採用目標が入っていたこともありました。他社ではあまり見られない例だと思います。多くの企業では、「採用は人事単体の仕事」という意識が強いのではないでしょうか。それにSansanでは採用に対する予算配分も大きく、さまざまなリソースを使えるので、私たちも思い切った提案がよりしやすいと感じています。

※OKR(Objectives and Key Results):組織の目標達成を促進するフレームワーク。企業やチーム、個人の目標を明確にし、その達成度を測る指標を設定する。

事業成長を加速させる戦略的アプローチ

現場と二人三脚で採用に取り組む中で、組織の変化に貢献できたと感じた出来事はありますか?

輪田:はい、あります。2023年から私が関わっている部門では、月に1〜2名のペースで第二新卒の若手人材を採用していました。これは採用活動するチームの強化を目的としたもので、採用は順調だったのでこの状態を崩さずに採用を進めてほしいと言われていました。

一方で、2030年までに事業規模を数倍に拡大するという大きな構想が掲げられていました。採用に対して明確な課題認識があったわけではありませんが、私は当時の採用のペースやターゲットでは、この成長構想を実現するには不十分だと感じました。そこで、部門長に対して採用ターゲットの見直しと採用の強化策を提案し、実行に移しました。

具体的には、従来の第二新卒層中心の方針に加えて、プロジェクトを推進できるようなリーダー層の人材も新たにターゲットに設定。年間の採用決定数もこれまでの数倍規模へと拡大しました。この変化により、既存メンバーにとっても刺激となり、組織内の対話や視座が広がるきっかけにもなったと感じています。最終選考を担当していた部門長からは「部門の景色が大きく変わった」との評価もいただきました。

また、定例会議には関係者を巻き込んで参加し、部門の飲み会などにも顔を出すなど、日常的な接点を増やしました。こうした積み重ねにより、少しずつ事業部の一員のように受け入れてもらえるようになり、今では目指していた「伴走するパートナー」の姿に近づけていると感じています。

ありがとうございます。市川さんはどうですか。

私が所属するチームでは、COO室配下の各事業部(Sansan、Bill One、Contract Oneなど)のビジネス職の採用を担当しています。各事業部の状況に応じて採用の重点を迅速に切り替え、成果につなげます。

これが可能なのは、Biz HRBP統括部傘下の採用戦略を担うグループが、各部門の事業状況を密に連携してくれて、「今はこの事業部に採用アクセルを踏むべき」という判断を正しく行えるからです。迅速な採用と入社したメンバーの早期立ち上がり、売り上げへの貢献を通じて、各部門のメンバーと一体となって目標達成に取り組んでいる手応えを感じます。

採用の可能性を切り拓き
事業成長を共に成し遂げる

今後取り組みたいテーマや、やりたいと思っていることがあったら教えてください。

市川: 少し前に、Biz HRBP統括部Recruitingグループと関連部門のメンバーで2日間の合宿を行い、組織ミッションとバリューズの策定を行いました。ミッションは、「採用の可能性を切り拓き、事業成長を共に成し遂げる」に決まりました。

採用は人的リソースを増やすためだけではなく、長期的に事業成長に貢献できる可能性を秘めていること、そして「共に」と入れることで、各部門のメンバーと肩を組んで事業成長を加速させたいという意図を込めています。今後は、このミッションの実現に向けてやるべきことを言語化し、実行していこうと思っています。

具体的に構想していることはありますか?

輪田:まずは採用ブランディングの強化です。Sansanは今、名刺管理の域を越えて、働き方を変えるさまざまなDXサービスを提供する会社へと変わってきています。こうしたSansanの今の姿を、エージェント企業や、採用候補者になるような層へと正しく広く伝えていくことで、ファンになってもらいたいです。なぜならそれが採用の活性化および事業成長へとつながると考えているからです。

市川:それから、当社の統合報告書には2030年にリファラル採用比率35%を目指すと記載されていますし、リファラルに限らず自社サイト経由の応募などを含めて転職エージェント企業以外からの応募を増やすことも考えています。

加えて、当社は2025年のテーマに「AIファースト」を掲げていることもあり、採用活動におけるAI実装も実現したいです。AI活用による採用活動の生産性向上は、至る所にチャンスが眠っています。もちろんリクルーターとして「ヒト」の介在を大切にしていきながら、採用活動の革命を起こしたいですね。

ありがとうございます。最後に、この記事に興味を持ってくれた方へメッセージをお願いします。

輪田:リクルーティングを担当する以上、採用目標の数字を追うことは必須です。その目標を追いながら、採用の本質も見失わないようにする。目標達成に追い込まれて視野が狭くならないような環境をつくることも私たちの仕事です。自分の仕事を「人事のやることかどうか」で判断せずに、各部門に積極的に入り込み、事業成長のために自分にできることなら手間を惜しまず何でもやれる。そんな気概のある方と一緒に仕事ができたらうれしいです。

 

 

text&photo: mimi