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AI活用、シフトレフト、自動化。SansanのQA組織が挑む「次世代の品質保証」

QAエンジニアに求められる役割は、時代の変化とともに大きく変わりつつあります。テストの自動化やシフトレフト、さらにはAIの活用など、従来型のQAの枠組みを超え、より広範な業務領域へと広がっているのです。SansanのQA組織では、こうした変化にいち早く対応し、次世代の品質保証に挑戦しています。今回は、2025年からSansanに加わった2人のQAエンジニアである、林樹坤と中居宗太にインタビュー。林はインボイス管理サービス「Bill One」を、中居は営業DXサービス「Sansan」のモバイルアプリをそれぞれ担当しています。彼らに、Sansanに惹かれた理由や日々の成長機会について語ってもらいました。

 

PROFILE

林 樹坤Shukun Lin
技術本部 Quality Assurance Engineering Unit Emerging Productsグループ

2021年株式会社LegalOn Technologiesに入社。プロダクト専属のQAとして、品質向上やQAプロセスの改善に取り組む。約1年間はマターマネジメント機能のQAリードも担当し、少人数体制の中で複数の開発案件を並行支援しながら、開発チームと密に連携した効率的なQA体制の構築に貢献。 2025年1月、Sansan株式会社に入社。現在はインボイス管理サービス「Bill One」の受領領域を中心に、現場に根ざしたQAプロセスの見直しや改善に加えて、各QAフェーズでのAI活用も推進し、チーム全体の品質保証活動の高度化を図っている。

中居 宗太Sota Nakai
技術本部 Quality Assurance Engineering Unit Matured Productsグループ

サイト制作フリーランス、バックエンドエンジニアを経て、2023年からQAエンジニアにキャリアチェンジ。エンジニア、QAそれぞれの立場で複数のプロジェクトを経験。幅広い知識を活かしながら機能開発や品質向上に取り組む。2025年4月、Sansan株式会社に入社。現在は営業 DX サービス「Sansan」のモバイルアプリを担当。エンジニアと QA両方の経験を活かしつつ、QAプロセスの改善や回帰テストの効率化に取り組み、プロダクトの更なる成長を推進する。


強い仲間が集い、QAエンジニアが研鑽できる環境

Sansanに入社した経緯について教えてください。

:私は前職でもQAエンジニアとして働いていました。最初は業務委託として参画し、プロダクトの品質向上やQAプロセスの改善に取り組みました。これらの実績が評価され、正社員に登用された後は、QAのリードエンジニアを務めました。より挑戦できる環境を求めていたところ、「Bill One」のエンジニアをしていた知り合いの縁でSansanを紹介してもらいました。

採用面談で印象に残っているのは、「次の時代に求められるQA業務」についての話です。AIが急速に進歩する中で、QAの仕事がどう変化していくかという話をしました。さらに、アマゾン出身のマネジャーである秋元真理子さんとも、キャリアにおける挑戦や技術探求の意義などを話し合えたのです。技術的な議論ができる文化や、キャリアを自分の意思で切り拓ける環境に魅力を感じました。

それに、Sansanは「AIファースト」を掲げており、AI関連のツール利用を推奨しています。社員はChatGPTのエンタープライズ版を利用できますし、新しいツールの導入も柔軟に検討されます。自分自身もAIを活用して文書を作成したり、インシデントの分析に役立てたりしており、SansanのAIファーストな姿勢には強く魅力を感じました。

中居さんからもお願いします。

中居:私は前職でSESの会社に所属しており、バックエンドエンジニアとしてキャリアを積んだ後、QAエンジニアに転身しました。その後、自分の市場価値を測るつもりで転職サービスに登録した際、Sansanからスカウトメッセージをもらい、採用面接を受けて入社を決めました。

正直、スカウトを受けた段階ではSansanの事業についてほとんど知りませんでした。でも、社員の話を聞くうちに、「人とデジタル」を組み合わせるプロダクトは面白そうだと感じましたし、自動化やAI活用、シフトレフトといった多様な分野に挑戦できそうだと感じました。30代に差しかかるキャリアの節目に、自身の成長につながる挑戦的な仕事ができそうだと思いました。

何よりQA組織に秋元さんや、マイクロソフト出身の佐藤水哉さんのような実績のあるメンバーがいることが大きかったです。そういう方々と一緒に仕事をする機会はなかなか得られませんし、この環境ならば大きく成長できるだろうと考えました。

キャリアの転機。そして、QAへのAI活用

ここからお二人のキャリアや取り組みをそれぞれ深掘りさせてください。中居さんはなぜ、バックエンドエンジニアからQAエンジニアに転身されたのですか?

中居:SESの会社で開発のプロジェクトが終わった後、次のプロジェクトで空いていたポジションがQAエンジニアでした。上司から「やってみない?」と声をかけられたのがきっかけです。最初は、正直なところQAを担当することにネガティブな気持ちがありました。ずっと開発の仕事をしていたので、もっとスキルを伸ばしたかったためです。でも、半年くらい取り組んでいるうちにQAの魅力に気づき、その後も続けることにしました。

開発経験があることが、QAとして開発側とのミーティングでも技術的な話をスムーズに理解でき、チーム内の連携を円滑に進められるという強みにつながっています。

林さんにもお聞きしたいのですが、なぜAI活用に興味を持たれたのですか?

:以前からプライベートでもAIを活用しており、まだ多くの人が使い始める前からGoogle検索の代わりにChatGPTで調べものをしていました。単に情報を探すだけでなく、「どう伝えれば相手にとってわかりやすいか」という観点で情報を再構成してくれるところに、ユーザー体験(UX)に通じる価値を感じていました。

また、QAの現場でよくある「UX視点のテストが手薄になりがち」という課題に対しても、対象機能のターゲットユーザーの業務内容や業務フローをAIに整理させることで、ある程度補えるのではないかと考えるようになりました。そこから本格的に、業務の中でもAI活用を進めるようになりました。

現在の業務では、どのようにAIを活用していますか?

:もともと、ユーザー体験を意識したテストが不足しがちという課題意識からAIを使い始めたのですが、今では日常的なQA業務に欠かせない存在になっています。たとえば、Product Backlog Itemの分析時にはAIにも観点を洗い出してもらい、自分の観点と照らし合わせて抜けや偏りを確認しています。

また、複雑な条件が絡むケースでは、ディシジョンテーブルを自分で作成したあとにAIでロジックや観点の抜けを再チェックするなど、精度向上にも役立てています。さらに、ユーザー業務の流れをAIに整理させ、UXシナリオの発想にも活かすなど、単なる効率化ではなく、品質向上の観点でも活用しています。

こうした取り組みができているのは、Sansanの「AIファースト」な環境があるからです。Slackの専用チャンネルでは日々さまざまな活用事例が共有されており、周囲のメンバーも積極的にAIを試しているので、QA領域におけるアイデアや課題も気軽に相談できるのが大きな支えになっています。

SansanのQAを、もう一歩前へ

SansanのQA組織の特徴はどのような点にありますか?

中居:組織内の横のつながりが強いです。プロジェクトごとに担当者は分かれていますが、定期的にQA組織全体のミーティングがあることに加えて、1on1で他のプロジェクトの状況を聞く機会もあります。また、個々の裁量が大きく、自ら動く姿勢が求められる環境ですね。私が担当している「Sansan」のモバイルアプリのQAでは、もう一人の社員と相談しながら、自分たちで主導しつつプロセス改善やテスト効率化を進めています。

:圧倒的に成長できる環境だと思います。先ほど述べたように、上司がアマゾンやマイクロソフトの出身者なのですが、テストの知識だけでなく、仕事に取り組む姿勢や考え方も学ばせてもらっています。SansanのQA組織では3カ月ごとにOKRを書いていますが、最初私は薄い内容しか書けませんでした。ですが、上司からナラティブ文化やロジカルシンキングについてのフィードバックを受け、徐々に改善できています。上司やメンバーとの日常的な対話やフィードバックの積み重ねが、確かな成長につながっていると感じています。

ここからは、今後さらに伸ばしたい分野について教えてください。

中居:まずはQAプロセスの改善です。現在は、機能がある程度できた段階でQAの見積もり・テスト設計・実行をしており、ウォーターフォール的な流れになっています。これを、もっと上流からQAエンジニアが関わる形に変えていきたいです。

Product Backlog Itemの発案段階から抜け漏れを確認し、システム設計と並行してテスト設計も同時に進める。そして、開発中に品質上の懸念を潰す「シフトレフト」を推進したいと考えています。

他にも、回帰テストの効率化をしたいです。モバイルアプリはライブラリやOSのアップデートによって思わぬ箇所に不具合が出る懸念があり、影響範囲を正確に把握するのが難しいため、多くの回帰テストを実施しています。これを、影響分析を行いながらケース数を調整し、適切なカバレッジを維持することで、テスト運用の負担を減らしたいと考えています。

また、「Sansan」のモバイルアプリでは、回帰テストの多くを手動テスト、一部を自動E2Eテストで実施しています。テストピラミッドの考え方では、ユニットテストや結合テストで多くのケースをカバーし、E2Eテストは重要なクリティカルパスのみに絞るのが理想とされています。こうした状況を踏まえ、開発側と連携しながら、各テストレベルでの自動テストの最適化に取り組み始めています。

:私はテスト自動化を強化したいと思っています。特に回帰テストのボリュームは、私の担当する「Bill One」でも多いので、なるべく効率化したいです。アプリの機能修正が行われた際、自動テストがCIで即座に流れる仕組みを整えたいと思い、勉強しながら自動化の方針を立てています。

加えて、AIを活用して安定したテスト観点やテストケースを生成することで、担当者の知識差や属人性を抑え、品質の高い成果物を継続的に出せるようにしたいと考えています。プロダクト品質を安定させるためにも、AIの運用や新しい技術の検証にはこれからも積極的に取り組んでいきたいです。

最後に、これからSansanのQAエンジニアへの応募を考えている人にメッセージをお願いします。

:Sansanでは、従来のQAの枠にとらわれず、次世代のQAの在り方を探求できます。常に「もっと良くできる方法はないか?」と問い続けられる環境です。QAエンジニアに必要な知識や仕事との向き合い方、行動力、推進力などが自然に身につきます。成長したいとか、挑戦したいと思う人にとっては、最高の場所です。AIを活用しながら、これからのQAの可能性を一緒に広げていきたいと思っている方にとっても、きっと面白いフィールドだと思います。

中居:Sansanは自ら課題を発見し自主的に動いていく必要のある、良い意味でチャレンジングな環境です。少しストレッチな目標を立てて挑戦し、周囲の優秀なメンバーと相談しながらプロジェクトを進める経験ができます。成長の機会がたくさんあるので、違う環境で新しい経験、チャレンジをしてみたい方にはとても向いていると思います。

 


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text&photo: mimi