Sansan株式会社が展開する新卒ビジネス職向け育成プログラム「TOPGUN」は、単なる新人研修ではありません。事業部と連動し、実際の成果を追いながら「成果から自分をつくる」ことに本気で取り組む、事業課題解決に向けたプロジェクトです。
この取り組みの根底にあるのは、Sansan新卒採用のスローガン「世界は変えられる」。新卒であっても、実際の事業目標に挑み、自らの行動と成果で価値を生み出す経験を通じて、この言葉を体現していきます。本記事では、プログラムの設計を担う長・田中と、実際にTOPGUNを修了した若手社員3名の声を通じて、その本質に迫ります。
PROFILE
長 幸次郎Kojiro Osa
執行役員/人事本部 採用統括部 部長
2011年、新卒採用第1期の社員としてSansan株式会社に入社。Eightの名刺入力オペレーションの立ち上げを担当した後、プロダクトマネジャーとしてEight事業の成長をリード。イベントテック事業のプロダクト責任者を経て、人事本部へ。現在は、採用統括部 部長として全社の採用戦略の立案・実行、新卒総合職の育成を指揮する。
田中 二郎Jiro Tanaka
Market Growth室 副室長
2013年に新卒でSansan株式会社に入社。名刺入力オペレーションの業務改善やアウトソース管理を担当。その後、Sansan事業部のカスタマーサクセス部門にてプレーヤーからマネジャーを歴任し、西日本エリアの立ち上げやユーザーコミュニティの企画運営等、幅広い業務を担当。2024年よりMarket Growth室に着任し、2025年より人事へ異動。現在は新卒育成プログラム「TOPGUN」の企画責任者として、若手人材の育成に取り組んでいる。
TOPGUNは「研修」ではなく、
未来のリーダー育成プロジェクト
まず「TOPGUN」とはどのようなプログラムなのか、位置付けを教えてください。
長:TOPGUNは新卒社員が成果を通じて自らを成長させる、事業直結型の取り組みです。入社直後の基礎研修や合宿を経て、チームで目標達成に向けて実践活動に取り組む半年間のプログラムとなっています。
重要なのは、最初から実際の事業環境の中で、トップクラスの実績が求められる目標の達成に向けて、それぞれが個人として目標を持ち、考え、行動するという経験を積むことです。
通常の研修は知識やスキルを一方的に教えるものが多いですが、TOPGUNでは「自分が創出した成果で事業にどれだけ影響を与えられるか」を問います。私たちは、成長とは成果に向き合う中でしか得られないと考えており、その実践の場を本気で用意しています。
田中:狙いは大きく三つあります。
一つ目は、Sansanのミッションやビジョン、そしてプロダクトへの理解と愛着を深めてもらうことです。会社がどんな思いで事業を進めているのかを、行動を通じて実感してもらいたいと考えています。
次に、職種を問わず活躍するために必要な汎用的なスキルの習得です。目標達成に向けて自ら課題を見つけ、改善アクションを実行するなど、主体的な行動が求められる環境の中で、課題解決力やチームで成果を出すためのコミュニケーション力を実践的に養うことができます。
そして最後に、一人ひとりの特性や強みを見出し、それをさらに磨いていくための期間として位置づけています。半年間の実践を通じて、その人「らしさ」や「強み」が立ち上がってくるので、それをもとに最も力を発揮できる配属先を一緒に考えていきます。
そこまでTOPGUNを大切に設計する理由は何でしょうか?
長:ビジネスパーソンとしての本質的な成長は、「成果を生むためにもがくプロセス」の中にあると考えています。どれだけインプットしても、行動に移さなければ成果は出ない。頭の中で完璧な戦略を描けても、実行してみないと分からないことだらけです。
考えて、行動して、うまくいったらなぜ成功したかを振り返る。うまくいかなければ、どこに課題があったのかを見つめて改善する。その反復の中にこそ、成長のエッセンスが詰まっています。だからこそ、成果に本気で向き合うことが、最も成長につながると信じています。
田中:私たち自身も、振り返ってみると新卒の頃にこそ、失敗を恐れず動けた経験がありました。だからこそ、今の新卒にも大胆にチャレンジしてほしいし、そのための環境と支援は惜しまないつもりです。
長:また、TOPGUNは組織全体で支えている取り組みでもあります。人事主導の研修ではなく、営業現場のマネジャーたちが伴走しながら育成に関わる。これはSansanの企業文化でもあり、社員一人ひとりの成長が、会社の成長に直結しているという考え方が根底にあるからこそです。
田中:目標はストレッチなもので、事業部と連携しながら現実的かつ成長につながる水準を設計しています。チームで連携しながらも、成果は個人単位で評価するという緊張感のある仕組みにしています。
長:育成プロセスの中核にあるのは「成果が人を育てる」というSansanの人材観です。行動から価値を生み出し、そこから振り返って再現性を高める。この反復が最も成長を促すと考えています。もちろん簡単ではありませんが、だからこそ本気になれる。そして本気になった経験こそが、その人のこれからのキャリアの土台になります。
Sansanが掲げる「世界は変えられる」というスローガンに対して、TOPGUNはどのような意味を持つ取り組みなのでしょうか?
長:「世界は変えられる」は、すごく力強い言葉ですが、それを実現していくには一朝一夕では難しいと思っています。寺田のメッセージにもあったように、日々の積み重ねの先にしか、そうした変化は生まれない。TOPGUNは、その積み上げの第一歩でもあると思っています。
短期的に何か成果を出す、というだけでは、会社としての変化は続かない。むしろ重要なのは、そうしたチャレンジが会社の中で受け継がれて、文化や価値観として根付いていくこと。そのために、TOPGUNのような取り組みを通じて、「成果を出す」「本気で挑む」という経験を新卒の段階から積んでもらう。それが、持続的に「世界を変えていける会社」であり続けるために必要なことだと考えています。
「苦しかったけど、やり切った」
──それぞれの成長曲線
左から、栗林 東也(Contract One Unit)、望月 貴平(人事本部 採用統括部)、小森 史香(Contract One Unit)。いずれもSansanへ新卒入社し、2年目となる
TOPGUNの期間中、定められた目標に対してどのような営業活動に取り組んだのでしょうか?
栗林:TOPGUNでは、商談の創出や売上貢献といった成果目標が個人単位で設定されていました。具体的な数値は明確に決まっていて、それを達成するために毎日戦略を練って動いていました。
しかも、取り組んだのはこちらからお客様にアプローチするアウトバウンド営業。多くの場合、お客様自身に明確な課題意識がない状態から始まるため、ニーズを見極めて提起するところからのスタートで、非常に難易度の高い営業だったと思います。
ただ、完全な個人プレーというわけではなく、私たちはチームに編成されていて、そこにマネジャーが伴走してくれるんです。お互いに相談したり、アドバイスをもらったりしながら取り組めたのは、大きな支えになりました。
TOPGUNに参加した当初はどんな気持ちでしたか? 実際に取り組む中で、どのような変化や気づきがありましたか?
栗林:不安もありましたが、私は新しいことに挑戦できることへのワクワク感の方が大きかったです。実際にTOPGUNに取り組んでからは、営業という未経験の領域で成果を出すために、自分なりに顧客理解を深めようと試行錯誤しました。最初は手探りでしたが、アプローチ先の選定やヒアリングの仕方を改善する中で少しずつ成果が出るようになり、自信につながっていきました。
望月:私は目標達成に強くこだわっていたので、最初はなかなか成果が出ない状況が続き本当に苦しかったです。自分に対して焦りがありましたが、その中で「なぜこの仕事をしているのか」という原点に立ち返り、顧客にとっての価値を第一に考えることで徐々に立て直していきました。
小森:最初は不安な気持ちが大きかったです。そんな私を変えるきっかけになった最大の気づきは、「自分がプロダクトを好きになれば、お客様にも伝わること」でした。商材である経理DXサービス「Bill One」を深く理解し、体験を想像しながらお客様の立場に立って伝える努力を重ねたことで、自然と熱を持って語れるようになり、それが成果にもつながりました。これは、Sansanのバリューである「体験を想像する」をまさに実感した瞬間でした。
当時を振り返って「世界は変えられる」に一歩近づけたと思えるエピソードを教えてください。
小森:担当していた企業様では、経理担当者の退職による体制変更を機に、導入検討が一度白紙になりかけました。しかし、日々の業務の効率化や月次決算の迅速化といった価値を伝え続けた結果、役員の方の判断で「Bill One」の導入が決定。その瞬間、現場の業務に確かなイノベーションをもたらせたと実感できました。こうした一つひとつの変革の積み重ねこそが、未来の「世界を変える」ことにつながると感じています。
望月:TOPGUN最終日前日、悩んでいたお客様へ手書きの手紙を届けました。長年の慣習を変えることに不安を抱えていた地方の建設業のお客様が、最終的に導入を決断してくださったときは涙が出るほど嬉しかったです。どんなにデジタルが進んでも、人の想いが変化を生む原動力になる。その一歩が人の行動を変え、やがて世界を変えていくのだと感じました。
栗林:地方の企業様に訪問した際、「まさに探していたサービスだ!」と目を輝かせておっしゃっていただけたことが印象的でした。距離や規模の制約を越えて、テクノロジーでお客様の課題を解決できる手応えを感じた瞬間です。この一歩を届け続けることが、世界を少しずつでも変えていく力になると確信しました。
TOPGUNを通じて得られた最大の学びは何でしたか?
栗林:会社のミッションと自分の成果が地続きであるという実感です。言われたからやるのではなく、会社が目指す未来に自分がどう貢献できるかを考え続けた半年間でした。
望月:私は「成果にモチベーションを左右されない」考え方です。成果が出ない時期が続いても、顧客視点と組織視点の両方を持ち続けることで、自分のやるべきことに集中できました。
小森:お客様を深く理解する姿勢です。私は現在カスタマーサクセス部に所属し、サービスを導入したお客様の活用支援を行っています。そういった業務でも、相手の解像度を上げることが自然とできるようになっています。
TOPGUNが、今でも自分を鼓舞してくれる
最後に、これから入社を考える人に伝えたいことをお願いします。
小森:本当に不安だらけのスタートでした。でも、走りきった今では「やってよかった」と心から思えます。TOPGUNの半年間が、今でも自分を鼓舞してくれるような経験になっています。
望月:私たちが向き合ってきたのは、お客様のこれまでの業務の当たり前を変えていくことでした。もちろん簡単なことではありませんでしたが、だからこそ、チームで一体感を持ちながら挑戦することができました。TOPGUNは、研修ではなく、入社直後から実際の事業の一端を担い、成果に本気で向き合う経験です。入社を考えている方には、「世の中やお客様にとっての新しい当たり前をつくることって本当に楽しい」と胸を張って伝えたいです。Sansanには、そんな挑戦ができる環境がありますし、高い熱量と視座で仕事に向き合う経験は、社会人としてのスタンスを形作ってくれると思います。
栗林:TOPGUNの意義は、ミッションに基づいた責任ある行動を通じて、「自分が何のために働くのか」を言語化できるようになることです。会社と自分の進む先を重ねたい人には、これ以上ない環境だと思います。