Sansan株式会社は事業やプロダクトの成長や変化が著しく、フェーズごとに求められるクリエイティブもめまぐるしく変わっていきます。そんな中で、プロダクトにおけるブランドイメージを保ちつつ体験やクリエイティブを設計していく重要な役割を担っているのがブランドエクスペリエンス(以下、BX)デザイナーです。今回は、営業DXサービス「Sansan」とインボイス管理サービス「Bill One」のブランディングを担当している2人に、そのやりがいと働き方について聞きました。
PROFILE
原田 統野Toya Harada
Sansan事業部 ブランドエクスペリエンス部 プロダクトブランドグループ グループマネジャー
広告制作会社のデザイナーとしてキャリアをスタートし、セールスプロモーションを中心に多様な媒体に携わる。2018年6月にSansanに入社。現在はグループマネジャーとして、クリエイター一人ひとりが能動的に成果を出せる組織づくりに注力する。
玉井 剛史Tsuyoshi Tamai
Bill One事業部 ブランドエクスペリエンス部 プロダクトブランドグループ マネジャー
新卒で広告制作会社に入社し、さまざまな企業のクリエイティブ制作を経験。 2018年4月にSansanに入社し、ブランドエクスペリエンス部にてプロモーションやブランディングの領域でクリエイティブを担当。プロダクトの認知拡大やブランドの価値向上を目指し、日々モノづくりに励んでいる。
多様なタッチポイントを通じてブランドの一貫性を保ち
効果的なコミュニケーションを実現する
Sansanへの入社理由を教えてください。
原田:2018年にSansanに入社しました。それまでは広告制作会社で、主に飲料メーカーをクライアントにセールスプロモーションやブランディングを担当していました。その経験を通じて、より深く事業会社の自社サービスに関わりたいと思い転職活動をスタートしました。転職先を検討していく中で、ミッションと事業内容に最も魅力を感じたことがSansanに入社した大きな理由です。
玉井:原田さんと同じく前職は広告制作会社で、セールスプロモーションを中心に、紙とWebの両方の媒体を扱っていました。Sansanを選んだ理由は、自分の作ったアウトプットがどのように使われ、成果につながるのかを直接見たいと思ったからです。
入社後はどのような業務を担当しましたか?
原田:当初、研究開発組織のブランディングと、企業のブランディングという二軸の領域でクリエイティブ業務を担当していました。現在はSansan事業部のブランドエクスペリエンス部で、営業DXサービス「Sansan」や事業がもつタッチポイントのクリエイティブのリードと、部門のマネジメントを担当しています。
玉井:私は入社後、マーケティング部のクリエイティブグループに配属されました。最初は「Sansan」のプロダクトサイトやLPの制作を担当、その後「Sansan Innovation Project」という当社主催のビジネスカンファレンスのクリエイティブ全般を任されるようになりました。
クリエイティブと広報を担っていた当時のブランドコミュニケーション部との兼務を経て、インボイス管理サービス「Bill One」のプロダクトサイトのリニューアルなどを担当した後、Sansanが設立支援を行った神山まるごと高専の創立に向けたクリエイティブにも携わりました。その他、当社が提供するサービスを活用して働き方やビジネスにイノベーションをもたらしたユーザーを表彰する「Sansan Innovation Award」の立ち上げ、ゴルフ施策など、多岐に渡るプロジェクトを経験して、今に至ります。
SansanにおけるBXデザイナーとはどのような位置づけですか?
原田:Sansan株式会社が提供するサービスやプロダクトに関連するWebサイト、アプリ、営業資料、イベントなど広い範囲での顧客体験を設計・最適化することが主な役割です。
私と玉井が所属する事業部におけるBXデザイナーは、担当するプロダクトにひも付くWebサイト、マーケティング資料、イベントなどを通じ、あらゆるステークホルダーに対してブランドの一貫性を保ちつつ効果的なコミュニケーションを実現させることを目指しています。
具体的な業務内容を教えてください。
玉井:例えば、マーケティング部が見込み顧客の獲得を目的として、何らかの施策を打つとします。活用する媒体や手段はある程度決まっている状態で私たちに依頼が届き、それをデザインの力を使って加速させることを考えます。ディレクターやエディター、エンジニアなどの専門職を集めたチームを組成して実行していくプロセスですね。
また、目的は決まっているものの、どんな施策を打っていくか、どんな媒体を活用するかなどは未確定の段階から介入することもあります。その場合は、要望をヒアリングしつつ、予算とも折り合いをつけながら企画を提案し、進めていきます。
原田:私たちの役割は、クリエイティブの力でブランドをよりアップデートして、成果につなげることです。ブランドイメージから逸脱していないか、ステークホルダーごとに印象が異なっていないかなどを確認し、Sansanが積み重ねてきた既存のブランドアセットを活用しながら、ブランド体験の構築を通じて会社や事業が目指す成果を生み出すために、時に改善しつつアップデートしています。
事業視点を持った
「ビジネスに強い」クリエイター
事業会社におけるクリエイティブの役割は、制作会社とどのように違うのでしょうか?
原田:最大の違いは「成果」に対する責任です。制作会社では、クライアントの要望に応じた高品質なデザインを納品することが主な役割です。もちろん、その過程で成果を意識することもありますが、事業会社、特にSansanでは、クリエイティブが実際にビジネスへどのように影響を与えるかまで見ながら仕事にあたることができます。そのため難しさはありますが、他部門と連携しながらより大きな「成果」を実感できる点が魅力です。
玉井:制作会社では、アウトプットを納品して終わることが多いですが、Sansanのクリエイターは、そのアウトプットがもたらす結果を見据えた上で、他部門と密接に連携し、次に取り組むべき課題を共に考え、解決していきます。これが制作会社との大きな違いです。たとえば、展示会での集客数や商談化率、Web施策でのコンバージョン数、営業資料での訴求方法など、クリエイティブによる成果が問われます。プロジェクトのスピード感や予算に合わせつつ、高品質なクリエイティブを提供し、事業に貢献し続ける。そのバランスが求められ、そこに大きなやりがいを感じています。
SansanのBXデザイナーが持つスキルやマインドセットについて教えてください。
玉井:常に心掛けているのは、「ビジネスに強いクリエイター」でいることです。クリエイティブスキルが高いだけでなく、事業の目的や戦略を理解し、それに沿ったクリエイティブを生み出せることを重視します。見た目が良いだけのデザインより、事業に対する効果が確実にあるデザインを考えるようにしています。
原田:クリエイティブを突き詰めて、有名なクリエイティブディレクターとして活躍したいというより、クリエイティブの品質は一定レベルを持ちつつも、事業への貢献にやりがいを感じる人が多いです。デザインの品質だけでなく、プロジェクトを牽引するプロアクティブな姿勢や、部内外問わず社内のさまざまなメンバーと協業するためのコミュニケーションスキルは欠かせません。
幅広い経験を生かしながら
1人ではできないアウトプットを生み出せる
前職の経験はどのように生かされていますか?
原田:印刷物、Web、動画、イベントなど、多様な媒体での経験は、当社の顧客との接点やプロモーション活動においてとても役立っています。また、大手メーカーとの仕事を通じて学んだ厳格なブランド管理の視点についても生かされていると感じます。
玉井:私の場合、制作会社時代に培ったスピード感や、ここぞというときにぐっと踏ん張って品質にこだわり抜く姿勢は今でも生きています。また、原田さんと同じように、媒体や手段を問わず多様な引き出しを持っていることもSansanでの仕事に大きく役立っています。
マネジャーとしての業務はどのように感じていますか?
原田:マネジャーになったことで、視野が大きく広がり、より事業全体を見る目が養われると同時に、より大きな責任も求められていると感じます。デザイナーだけでなく、ディレクターやエディター、ライター、エンジニアなど、異なる専門性を持つメンバーと協働することで、新しい視点や学びも得られています。マネジメントは難しい面もありますが、同時にとてもやりがいがありますね。
玉井:同感です。マネジメントの役割を担うようになって、1人では絶対に成し遂げられないようなプロジェクトや業務に取り組めるようになりました。メンバーの人的リソースや多様なスキルを組み合わせて、より大きなアウトプットを生み出せることにやりがいを感じています。
デザイナーという領域に閉じることなく
より広い視野で考える姿勢
現在、Sansanで即戦力のBXデザイナーを求めていますが、その理由は何でしょうか?
原田:当社は事業やサービスを拡大し続けています。それに伴って、クリエイティブの力で事業・サービスを牽引していくことが求められる場面も急速に増えています。そこで今の成長スピードに対応できるよう、デザインにおいて実力や実績を持った方をより増やす必要性が出てきたのが理由です。
例えばSansan事業部では、拡張し続ける「Sansan」のサービス価値を顧客やユーザーにわかりやすく伝えるための、アート/クリエイティブディレクションにオーナーシップを持って取り組んでくれるデザイナーを必要としています。適正にもよりますが、マネジメントとして自部門の成果を最大化するミッションを担ってもらうことも期待しています。
玉井:Bill One事業部ですと、今後の事業領域の拡大も見据えて「Bill One」を一緒に牽引してくれる人がさらに必要だと考えています。また、複数事業部をまたいで取り組む大型のマーケティングイベントを体験から作り上げていくデザイナーも、Sansan・Bill One両事業部のブランドエクスペリエンス部で求めています。
Sansanが求めるBXデザイナー像について教えてください。
玉井:「ビジネスに強いクリエイター」という部分は前提にありつつも、領域を限定しない柔軟性が重要だと考えています。「自分はデザイナーだからここまでしかやらない」という姿勢ではなく、必要に応じてさまざまな役割を担える人が活躍できるのではないでしょうか。
例えば、イベントのクリエイティブを担当する際には企画段階から関わり、全体のスケジュール管理や他部門との調整なども行います。私自身は、前職であるカタログの制作でデザインだけでなく、モデルの募集からオーディションまで一貫して担当したことがあるのですが、そのようなデザイン制作だけではない幅広い業務経験が今の仕事に生きていると感じます。
原田:クリエイティブへの知見、スキルはもちろん必要ですが、それ以上に事業への理解と貢献意識が重要だと考えています。デザインは手段であり、最終的な目的は事業の成長です。そういった視点を持っている方とぜひ一緒にブランディングに取り組みたいです。
採用で特に重視するポイントは何でしょうか?
玉井:少し感覚的な部分もありますが、一番重視しているのは「Sansanのカルチャーに合うかどうか」です。ポートフォリオを見てクオリティーの判断もしますが、大切なのは会社や事業の成長に伴う変化を前向きに捉え、どうクリエイティブの力でより後押しできるかと考えられるか、という姿勢があるかどうかです。
単に「CMのような大きなプロジェクトに携わりたい」といったクリエイティブ側のみのキャリア観ではなく、事業視点を持ち、さらにSansanという会社にマッチするかどうかをしっかり判断していきたいです。
原田:僕自身は当時「ブランディングをやりたい!」という思いで入社したのですが、今は会社のフェーズも求められていることも変わり、その思いだけでは少し視野が狭いかなと感じます。Sansanは事業を作っていく会社なので、ブランディングやクリエイティブも事業貢献の一環として捉える必要があります。玉井さんも言っていたように、広い視野を持って、自分の得意領域に捉われずに柔軟に動ける方と一緒に働けたら嬉しいですね。